災害時に耳にすることもある「災害用伝言ダイヤル(171)」(以下、「災害用伝言ダイヤル」)。

知ってはいても実際に使ったことがある人は多くないだろう。その「災害用伝言ダイヤル」が月に2回体験できる機会を設けているという。

使い方と災害への備えとして提供されている体験利用について、NTT東日本・災害対策室の佐藤俊平さんに聞いた。

メッセージを届ける2種類の“伝言板”

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特定の相手にメッセージを残せるため、被災した家族や友人の安否や状況の確認につながるツールが「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版(web171)」(以下、「災害用伝言版」)だ。

まずは、2つある“伝言板”の使い方を教えてもらった。

「『災害用伝言ダイヤル』『災害用伝言版』ともに、地震や台風、噴火などの災害が発生し、被災地で電話がつながりにくくなった際に、安否確認を行う手段として提供している機能です。『災害用伝言ダイヤル』は、電話を介してメッセージを録音する“声の伝言板”。『災害用伝言版』は、インターネット上でテキストのメッセージを登録する“伝言板”です」

2021年夏に九州・中国地方を襲った大雨に伴い、9月10日まで2つの伝言板の運用を行った。運用開始の8月13日から運用終了の9月10日までで「災害用伝言ダイヤル」は約24万件、「災害用伝言版」は約16万件の利用があったという。

●災害用伝言ダイヤル(171)
連絡を取りたい相手の電話番号を登録し、その相手へのメッセージを録音できる機能。利用可能な電話は、加入電話、INSネット、公衆電話、ひかり電話、災害時にNTTなどが設置する災害時用公衆電話、携帯電話(※INSネット及び、ひかり電話でダイヤル式電話を使用している場合は利用できない)。

被災者らが登録できる電話番号は、加入電話、ISDN、ひかり電話、携帯電話、IP電話。固定電話の番号は市外局番から入力する。1つの伝言につき30秒以内、1つの電話番号につき1~20件まで録音でき、伝言保存期間は「災害用伝言ダイヤル」の運用期間終了まで。

【災害用伝言ダイヤルの伝言録音方法】
(1)「171」にダイヤル。
(2)音声ガイダンスで「録音される方は1、再生される方は2、暗証番号を利用する録音は3、暗証番号を利用する再生は4をダイヤルして下さい」と流れたら、「1」をプッシュ。
(3)音声ガイダンスに従い、被災地の人は自宅の電話番号または連絡を取りたい被災地の相手の電話番号、被災地以外の人は連絡を取りたい被災地の相手の電話番号をプッシュ。
(4)音声ガイダンスに従って登録した電話番号を確認したら、30秒以内でメッセージを録音。

【災害用伝言ダイヤルの伝言再生方法】
(1)「171」にダイヤル。
(2)音声ガイダンスで「録音される方は1、再生される方は2、暗証番号を利用する録音は3、暗証番号を利用する再生は4をダイヤルして下さい」と流れたら、「2」をプッシュ。
(3)音声ガイダンスに従い、被災地の人は自宅の電話番号または連絡を取りたい被災地の相手の電話番号、被災地以外の人は連絡を取りたい被災地の相手の電話番号をプッシュ。
(4)音声ガイダンスに従って登録した電話番号を確認すると、録音されたメッセージが再生される。

「『災害用伝言ダイヤル』用のサーバーは全国数カ所に分散して配置し、アクセス集中による輻輳(ふくそう:電話がつながりにくい状況)が発生しないような仕組みを採用しています。そのため、通話が集中する状況下でもご利用いただけるのです」

●災害用伝言板(web171)
被災地の連絡を取りたい相手の電話番号を登録することで、その相手へのメッセージを登録できるインターネット上の伝言板。1つの伝言につき100文字以下、1つの電話番号につき20件まで登録でき、伝言保存期間は最長6カ月。

災害時に伝言を登録できる状態の「災害用伝言版」トップページ

「災害用伝言版」を利用するには、まずは利用者登録が必要。パソコンやスマートフォンで「災害用伝言板」のサイトにアクセスし、「伝言板の登録・更新・削除」をクリックすると、自分や伝言を届けたい相手の連絡先を登録できる。登録が完了していれば、トップページの「登録」からメッセージの登録、「確認」からメッセージの確認を行える。

「利用登録は、災害時でなくても行うことができます。事前に済ませておくことで、災害時にすぐ『災害用伝言版』を活用していただけるので、あらかじめ登録しておくことをおすすめしています」

なお「災害用伝言ダイヤル」と「災害用伝言版」は情報連携を行っているため、「災害用伝言ダイヤル」で録音した音声データを「災害用伝言版」で確認することもできる。

「どちらの機能も電話番号で登録するものなので、同じ番号であればデータの連携ができます。自動的に連携するので、特別な手続きは必要ありません。『災害用伝言版』で登録したメッセージも音声変換され、『災害用伝言ダイヤル』で聞けるようになっています」

毎月1日&15日は「体験利用」の日

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「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」は基本的に災害時に使う機能だが、事前に操作に慣れてもらうための体験利用日が設けられている。

「災害時という切迫した状況下で、精神的にも疲弊している中、初めて使う機能でスムーズに伝言を登録することは難しいところがあります。そのため、あらかじめ練習していただくことが重要です。操作手順を知り、登録する内容を考える機会となるよう、体験利用の日を設定しています」

●「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」体験利用提供日
・毎月1日、15日(0:00~24:00)
・正月三が日(1月1日0:00~1月3日24:00)
・防災とボランティア週間(1月15日9:00~1月21日17:00)
・防災週間(8月30日9:00~9月5日17:00)

体験利用では、災害が起こった場合とほとんど同じ状態で利用できる。

実際に体験してみると、あらかじめ伝言を送る相手の電話番号を確認しておく必要性に気付く。実家の固定電話や家族の携帯電話の番号など、書き出して整理しておくと良さそうだ。また、その作業を被災時に行うことは現実的ではないため、平時に行っておくといい。操作自体は決して難しいものではないため、一度でも体験しておけば、必要になった時に焦らずに使えるだろう。

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「メッセージを録音、登録し、再生や確認もできるので、限られた時間や文字数の中で何を伝えれば、相手に自身の安否や被災状況を知ってもらえるか考えるきっかけになると思います。今はどこにいるのか、これからどこに向かうのか、ケガをしているかといった録音する内容を、家族や親せき、知人と一緒に考えてみてください」

最近では、2021年1月の防災とボランティア週間に「災害用伝言ダイヤル」で約8万7000件、「災害用伝言版」で約9万2000件の利用があったという。多くの人が体験を通じて、「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」に触れているのだ。

「体験していただいた方から、『操作方法に慣れることができたので、災害時もスムーズに利用できると思う』という声が、非常に多く届いています。まだご利用いただいたことのない方にも、ぜひ体験してほしいです」

ポイントは「番号の共有」と「2つの機能の試用」

体験利用をより有意義なものにするため、事前に確認しておきたいポイントを、佐藤さんに教えてもらった。

「『災害用伝言ダイヤル』『災害用伝言版』、どちらも電話番号をキーにして伝言を登録するものなので、災害時に連絡を取り合う家族や親せき、知人と、登録する電話番号を共有しておくことが大切です。事前に決めておくと体験利用もスムーズに行えますし、番号が間違っていて伝言が届かないといった状況を避けることができます」

また、「災害用伝言ダイヤル」と「災害用伝言板」のどちらかだけでなく、両方とも体験することが大事とのこと。

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「被害の状況によって、被災地で電話もしくはインターネットのどちらかが使えなくなる可能性がゼロではありません。そのような状況を想定して両方の手段を利用し、使えるようにしていただく必要があるといえます。事前準備をして安否確認の選択肢を広げておくと、安心にもつながると思っています」

体験利用の機会を活用し、家族や友人を巻き込んで取り組むことが、防災の第一歩になるといえるだろう。

「我々も被災地での困り事などのヒアリングを行い、災害時の通信の早期復帰をはじめ、被災されたお客様のサポートに全力で取り組んでいます。同時に、いざという時のために『災害用伝言ダイヤル』の使い方を確認するなど、1人ひとりが災害に対する備えを進めていくことも重要だと考えています。体験利用を活用して、防災や災害対応について考えるきっかけにしていただければと思います」

取材・文=有竹亮介(verb)