ますます熱を帯びてきたアメリカンリーグのホームラン王争い。

9月12日時点で、エンゼルス・大谷翔平が44本塁打、ブルージェイズ・ゲレーロJr.が43本塁打、ロイヤルズ・ペレスが42本塁打と、3人が2本差の中にひしめく大混戦となる中、残すは約20試合だ。

しかし気になるのは、後半戦からホームランのペースを落としている大谷の状況。ライバルたちの猛烈な追い上げに不安を抱くファンもいるだろう。

今回はホームラン王を狙う3選手を間近で見てきた記者たちが大胆予想。大谷はタイトルを獲得できるのだろうか?

エンゼルス番記者「翔平は70%くらいの確率でHR王」

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まずは大谷を最もよく知るエンゼルスの番記者ボリンジャーさん。大谷がホームラン王に輝く可能性について、「翔平は70%くらいの確率でホームラン王になるよ」と力強い言葉で答えた。

「翔平はほかの2人よりもパワーがあり、真のホームランバッターだからね」

大谷は8・9月の成績が打率.198 、7本塁打、12打点と、他の2人に比べ調子の上がらない。しかし不安は全くないという。

「確かにスイングのタイミングがずれていると思うけど、彼ならしっかり修正できるはず。特に今週は休むことができたのは良かった。そこで気持ちの切り替えができるし、フォームの修正に時間を取れたかと思う。ここからまた波に乗り始めホームランが増える予感がするよ」

指名打者がない交流戦による「休養」。

ここまで二刀流でフル稼働だった大谷にとって、それがメリットだったというエンゼルスの番記者は分析した。

一方、ライバルたちを取材する番記者はどう見ているのだろうか?

ブルージェイズ番記者「大谷とゲレーロが40%ずつ」

ブルージェイズのゲレーロJr.を取材し、10年近く地元メディアでレポーターも務めるベン・ニコルソン=スミスさん。

「ゲレーロは球界のベストバッターと言えます。ただホームラン王は大谷とゲレーロが40%ずつですね。今、大谷がリード(取材時)していますから、残りのシーズンで4本から6本打つことができれば十分逃げ切れます」

三冠王を射程圏内に入れ、MVP候補にもあがるゲレーロJr.。それでも、大谷が逃げ切る可能性があると予想した。

そしてポイントとなるものについて、コンディションを挙げた。

「タイトルを取るにはコンディションも重要です。大谷は二刀流という挑戦に成功し、素晴らしい状態にありますが、シーズン終盤に休養や調整が必要になる場合もあります。そうなると、ゲレーロにとって有利な状況になるでしょう」

エンゼルスの番記者とは反対に、試合に出続けることがホームラン王につながると主張。交流戦も全て終えたため、残りの全試合に出場することも可能だが、果たして大谷は、そしてチームはどちらを選択するのだろうか。

ロイヤルズ番記者「大谷が70%で一番」

そしてペレスが所属するロイヤルズの番記者ロジャースさんも、ホームラン王に大谷の名前を挙げた。

「3人ともホームラン王になるチャンスはあると思っていますが、大谷が70%で、その中でも一番ね。私自身もシーズン最後に彼がホームラン王になっているのを見たいわ」

ロイヤルズの番記者が口にした、まさかの“大谷”の名前。ライバルチームの記者をも魅了する今シーズンの大谷だが、こんな不安要素もあるという。

「メジャーリーグのほとんどのピッチャーが、今では大谷と勝負することを怖がっているの。今後は状況によって四球で歩かされたりすることが増えるでしょうね」

確かに大谷の四球数は、4月は3、5月は13、6月は16、7月は16、8月は21と、シーズンを重ねるにつれて増え、歩かされることが多くなった。

さらに他の2人と異なりこれからの対戦は、西地区首位のアストロズと5試合、中地区首位のホワイトソックスと3試合、西地区2位のアスレチックスと2試合など、プレーオフがかかるチームとの試合を控えおり、勝負どころでより対戦を避けられる場面も予想される。

「でも、ピッチャーを責められないわ。大谷が与えるダメージは大きいですから」

取材の結果、メジャーリーグを見続けてきた各番記者たちは、大谷が優位に立つと予想した。
日本人初の偉業へ向け、残す約20試合。周囲の期待に大谷は応えることができるのだろうか。