2020年の米大統領選でバイデン氏に投票した有権者の5人に1人が、後悔しているという調査結果が出た。

調査会社のゾグビーは、2020年の大統領選でバイデン氏に投票した2173人を対象に「バイデン大統領に投票したことを後悔していますか?」と尋ねた。
その結果、「イエス」20%、「ノー」76%、「不明」4%と出た。

「結束を目指す大統領になる」と誓ったバイデン大統領だが・・・(2020年11月)
「結束を目指す大統領になる」と誓ったバイデン大統領だが・・・(2020年11月)
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“民主党支持”有権者の21%が「後悔」

ちなみに、2020年の大統領選の得票率はバイデン氏51.3%、トランプ氏46.9%でその差は4.4ポイント(CNN調査)だった。勝敗は各州に割り当てられた選挙人の獲得数で決まるわけだが、得票で20%の大差があれば結果は逆転していたことは容易に想像できる。

注目すべきは、「後悔」する有権者が共和党支持者に多い(29%)のは分かるとしても、民主党支持者にも相当数(21%)いることだ。

また、「後悔」しているのは都市有権者(28%)の方が郊外の有権者(14%)より多く、18~29歳の若者(27%)の方が65歳以上(6%)より多く、女性(13%)より男性(27%)の方が「後悔」している有権者が多い。

2020年大統領選ではなかなか敗北を認めなかったトランプ氏
2020年大統領選ではなかなか敗北を認めなかったトランプ氏

アフガン政策などで急降下するバイデン大統領の支持率

バイデンは沈みゆく船で、救命ボートもないように思える。アフガニスタンからの米軍撤兵の失敗やインフレが米国人の購買力を削いでいるのが大統領の大きな問題だ。

調査会社のオーナーのジョナサン・ゾグビー氏は言う。

この調査を待たずとも、バイデン大統領の支持率はここへきて急降下を続けている。
USAトゥデー紙の共同世論調査では、大統領支持率は5月には57%あったものが41%に、不支持率は38%から55%に達している。

政治の潮流はバイデン大統領に逆流している。

政治ニュースに特化したサイト「ザ・ヒル」は8月29日にこのような見出しの記事を掲げ、次のように厳しい見通しを伝えている。

最近のバイデン大統領とその政権への支持の凋落は、2022年の中間選挙で民主党は下院を失い上院も負けることを意味しているようだ。そうなれば、バイデンは一期のみの大統領で終わる可能性が濃くなる。

根強い“トランプ人気”?

政治活動を再開したトランプ氏(2021年6月)
政治活動を再開したトランプ氏(2021年6月)

その可能性について、世論調査で定評があるボストンのエマーソン大学が2024年の大統領選をめぐる調査結果を4日発表した。

調査は、まずバイデン大統領に対して共和党員は誰を対抗馬として予備選で選ぶかという設問で、結果はこうなった。

しかし、トランプ前大統領が出馬しないとなると結果はこうなる。

 この対抗馬で、バイデン大統領との選挙戦はどうなるかだが、トランプ前大統領が出馬した時だけは、「バイデン46%対トランプ47%」で共和党候補が勝利するが、他の対抗馬では、「バイデン48%対デサンティス36%」あるいは「バイデン42%対ロムニー23%」で、いずれも共和党候補者には可能性がないと出た。

次の大統領選まではまだ3年余あるわけだが、バイデン大統領の思わぬ失速でにわかに現実性を帯びてきた。今後、共和、民主両党の駆け引きが活発化することだろう。 

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン+図解イラスト:さいとうひさし】

木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。