2月8日に行われた衆院選で新潟4区から出馬し、落選した中道改革連合の米山隆一氏を直撃。選挙戦を終え、新党合流の舞台裏や中道の立て直しに向けたポイントなどを聞いた。また、選挙期間中に炎上したSNSや26年5月に行われる知事選への思いについても明かした。
「完全に制空権取られた」選挙戦で感じた“自民党の勢い”
選挙戦を終えて数日…後片付けが進む新潟県長岡市の事務所で今回の衆院選について語ってくれたのは、新潟4区から出馬した中道改革連合の米山隆一氏だ。
「大変だった。物理的にも気候的にも、いろんな制限の中で、かつ、厳しい自然条件の中で大変だったというのが率直な感想。なかなか聞いてくれないし、そういう空気にもならなかった」
記録的な大雪の中での選挙戦の難しさについて口にした米山氏。その物理的な過酷さとともに感じたのが、自民党の勢いだったという。
「いくつかの失敗はあったが、私自身の力不足はもちろん大前提として、全体的な結果を見れば、自民党の勢いが非常に強かったというのは否定できない。個々人の努力で反省すべきところと、制空権的な話がある。もう制空権は完全に取られている状態で、地上戦でうまくいかなかったという反省はある。同時に、地上戦がうまいと定評のある人まで多く落選しているのは、完全に制空権を取られたからだと思う」
選挙直前の新党結成 無所属での出馬は困難に「立憲で戦いたかった」
制空権を完全に取られてしまったと敗因を語る一方で、選挙直前に結成した新党・中道改革連合について「結成のプロセスに関しては大いなる反省が必要というか、率直に言って自己否定でしょう、という感じ。政党として自己否定ですよね、という以上には言葉が見つからない」と口にした米山氏。

中道に合流せずに無所属で出馬する意思はなかったのかとの問いに対しては「考えはしたが、間に合わない。あの状況で無所属でやるなら相当な用意がいる。それをカバーするものを用意するのは非常に困難な日程だった。当選をしようと思って一定の選挙活動をするなら、無所属という選択肢は極めて困難だったと思う」と明かした。
その上で、「立憲で戦いたかった…」と本音をこぼした米山氏。高市内閣の圧倒的な支持に加えて、選挙戦で展開される“野合批判”に抗うことができなかったと振り返る。
「無党派への影響は大きかった。野合批判というものは極めて強くあった。合流そのものが悪いというよりは、そのプロセスがどういう影響を及ぼすかということに対して、あまりにも考慮が不足していたと思う」
中道立て直しのポイントは「未来像を明確につくり上げること」
中道の新代表には小川淳也氏が選ばれた。果たして中道を立て直すことができるのか…。
米山氏は党を立て直すポイントについて「党というのは『こうありたい』という未来像を示すためにある。まず、中道が目指す未来像を明確につくり上げることが大事。その未来像に基づいて広報をしたり、批判をしたりすれば、それは生産的なものとして伝わる。小川さんには、それをまとめることを期待する」と話した。
一方で、参議院の立憲民主党と公明党の合流に関しては慎重であるべきとの見解を示した。
「結論ありきで合流を進めるのは禍根を残す。参議院の方々は意思決定のプロセスに加わっていない。なので、合流ありきというのはおかしい。小川さんが時間をかけて未来像を示し、参議院の方々に説明し、納得してもらった上で合流すべき。もし「我々の目指す未来像ではない」ということなら、強引にしないのが本来あるべき姿。今度こそ丁寧なプロセスを踏むべきで、それ以外の選択肢もあるという前提で進めるべきだと思う」
今後、批判覚悟で離党する考えはないか聞くと「今は中道の一員。自己否定的だったとはいえ、自分で選択したプロセスなので、今何かをしたいということではない。ただ、参議院に関しては結論ありきではない議論をすべきだと強く要望する。その上で次の状況ができたときには、そのときをよく見て、自分の納得のいく選択をする」と含みを持たせた。
得意としていたはずのSNSで苦戦「対策が足りていなかった」
高市内閣の支持率・新党だけでなく、米山氏が苦戦した理由の一つが、自身が得意としていたSNSだった。

「前回の勝利そのものも、自民党が失点を犯したことに対して一気に批判が高まった結果。そこにはSNS的な変化があった。一度失点を犯したと見なされたグループに対して、一気にネガティブに風が吹くということが分かった。参議院選挙でもその傾向は突きつけられました。立憲はそれを大いに反省し、SNS対策班まで立てたはずだったが、率直に言って適切な対応ができていたとは言い難い。私なども『こうすべきだ』と言っていたが、なかなか党内の優先順位の中では採用されなかった。従前の活動のほうが本筋で、SNSは付属物だという空気であったのは間違いない」
このSNSを巡っては、衆院選の前から立憲民主党議員の政府批判が切り取られて炎上するという現象も見られていた。国民民主党は「対立から解決」を掲げ、衆院選で躍進したチームみらいは「分断を煽らない」と訴えた一方で、政府批判を展開していたれいわ新選組や共産党は議席を大幅に減らした。それでも米山氏は「批判するのが野党議員の仕事」だと話す。
「そもそも『批判ばかり』と言うが、例えば『国旗損壊罪を導入するのはダメだ』という批判は、『現状でいい』という提案でもある。ただ、今は『現状で十分ではないか』ということまで言わないと『批判ばかりだ』と批判されてしまう。そういう意味では、批判の仕方を工夫しなければならない。批判というのは、うまくいっているものを壊さないための生産的なプロセスなんだということを、きちんと伝えるべき」
選挙期間中にSNSが炎上…運用は「試行錯誤しながら最適化する」
一方で、米山氏自身のSNSが選挙期間中に炎上したことも選挙結果に影響した可能性は否定できない。従前から間違った投稿に対しては指摘してきた米山氏。

炎上したことに対して「自身の失敗もあったので、しょうがない部分もある。同時に、1年半も前のイベント参加の様子を悪意を持って切り取るというのは、さすがに行き過ぎ。今後は、そういった著作権法違反にあたるものには即座に対応するチームをつけないといけない。発信しないほうがいいという時代になってしまうと、それはそれで問題。私は個人としてきちんと発信を続けたいので、注意しながら対策を整えながらやっていく」と話した。
また、今回の選挙結果を受けて、今後のSNSの運用については「試行錯誤しながら最適化する」と述べた。
5月の知事選に意欲も「出馬は状況が整えばありうる」
落選しても目指す未来像の実現のために政治活動を続ける考えを示す米山氏。2026年5月には知事選が行われ、現職の花角英世氏が18日に3選に向けて出馬する考えを表明した。

2018年に任期途中で知事を辞任した米山氏にとって、県知事への思いはかねてから抱いている。改めて知事選への出馬の意思について尋ねた。
「まず、野党側が候補者を立てられるかという問題がある。勝負にならないのに記念で対抗馬を立てるのはよろしくない。一方で、県政に課題がないかと言えば大いにある。立てられる状況なら立てるべきだと思うし、その中で自分が候補者となる可能性も、状況が整えばありうると思う。可能ならばという意思はある」と意欲を見せた。
知事選の構想については描いているものがあるようだ。
「原発はいくつかの争点の一つにはなると思う。3つの検証は再開させていただき、避難計画の実効性をもう少しきちんと示すべき。ただ、ただちに再稼働を止めろという話ではないので、主要な争点ということではないと思う。人口を増やす“人口減少対策”ではなく、人口が減っている現状に合わせる“人口減少社会への対策”を正面から打ち出していく。花角さんは、自民党的な積極財政の夢に浸ってしまっているように見える。縮小社会に希望を持って向き合っていく県政への転換を訴えるべき」
県政にも国政にも熱い思いを抱いている米山氏。ただ、思い描いている仕事は選挙に勝たなければできない。
落選という現実と向き合ったとき、米山氏は声を詰まらせて目に涙を浮かべた。その表情は、理想と現実の間で揺れる葛藤を物語っていた。
