新型コロナ禍の巣ごもり需要の高まりにともない、インターネット通販の市場が拡大している。
経済産業省のまとめでは、2020年  物販分野の消費者向けインターネット通販の取引額は前年から2兆円以上増え、12兆円を超えた。

今後もインターネット通販の市場拡大が予想される中、県産品の通販サイトを手掛ける企業が9月、新潟市に実店舗をオープンする。
なぜ、今あえて実店舗なのか…そこに込めた思いを取材した。

ネット通販売上げが伸びる中、実店舗オープン

7月末、新潟市のキッチンスタジオを訪ねると…

杉本一機キャスター:
見た目にもかわいらしいおにぎりなどが並んでいます。奥では、こうした料理の写真撮影が行われています

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次々と撮影されていく料理の数々。
調理するのは、料理研究家の佐藤智香子さん。

料理研究家 佐藤智香子さん:
メニュー開発を一からさせてもらった。農家さんがたくさんいらっしゃるので、皆さんのおいしいものをメニューに落とし込んで、提供できるように開発している

料理のプロが一からメニュー開発したという、これらの料理はいったい?

クーネルワーク 谷俊介社長:
「新潟直送計画」がオープンする産直セレクトショップ、「KITAMAE(キタマエ)」というお店の飲食メニューの撮影をしている

ーーー新潟直送計画の実店舗ができる?

クーネルワーク 谷俊介社長:
そういうことです

こう話すのは、新潟県産の食品などを集めたインターネット通販サイト「新潟直送計画」を運営する会社の社長で、今回のメニュー開発を依頼した谷俊介さん。

新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まり、インターネット通販の売上が伸びる中、「新潟直送計画」も2020年度の売上は4億5,000万円と、前の年から2倍近く増えた。

まさに勢いに乗る中、新たな取り組みとして新潟市中央区のショッピングセンターの一角に、実店舗をオープンすることにした。
かつて日本海側の経済をけん引した商船・北前船にちなみ、KITAMAEと名付けられた店舗。

クーネルワーク 谷俊介社長:
生産者が持ち寄った野菜や果物をメインの売り場として出したいので、コンテナなど置いてある

約230平方メートルの売り場には、「新潟直送計画」に出店している県内の生産者や飲食店による農産物や加工品・酒などが並ぶ予定のほか、イートインスペースも設け、県産食材を使ったカフェメニューを提供する。

「新潟の人が地元のモノに誇りを持てる形に」

9月1日のオープンに向け、急ピッチで準備にあたる谷社長だが、一方で2020年にインタビューした際には…

クーネルワーク 谷俊介社長(2020年4月):
実際に買って食べるというものから、通販で買うという動きがすごく加速していくタイミングだと思う

今後もインターネット通販の市場が拡大していくと予想される中、なぜ今あえて実店舗の展開を始めるのだろうか?

クーネルワーク 谷俊介社長:
インターネット通販で何でも買える時代だけど、実際にリアルな場で手に取って商品を見て・試して、地元の方々があらためて新潟の魅力を再発見できるような店舗を目指して運営していきたい

「通販サイトのターゲットとなる全国の人ではなく、地元の人に新潟の魅力を発見してほしい」

それが今、実店舗を始める最も大きな理由だという。

ーーー新潟の魅力に気付いていない人が多い?

クーネルワーク 谷俊介社長:
新潟の人が「新潟なんて米しかないから」と、自虐的に言うのがずっと引っかかっていて。新潟の人が地元のものに、もうちょっと誇りを持てる形になるといいなと思っていた

そこで今回の実店舗で力を入れたのが、新潟の食材を生かした食事メニューの開発。
なかでも特に思いを込めるのが、“県産米を使ったおにぎり”を提供するブース。

これまでも観光客などをターゲットに、県産米を使ったおにぎりを提供する店は多くあった。
今回は、県民自身に より県産米を楽しんでもらえるよう形や具材など、これまでと違ったさまざまなアレンジを加えたおにぎりを提供する。

クーネルワーク 谷俊介社長:
フォルム的にも具材的にも、今までのおむすびにあまりとらわれずに、自由な形で地元の方にちょっとワクワクしてもらえるようなおむすびにしたい

県産農産物をネット販売する動きには遅れが…

一方でこうした取り組みの背景には、本業であるインターネット通販をめぐる県内の現状がある。

県食品・流通課 渡辺慎一課長:
産地直送型インターネット通販サイト、この中に新潟の出店事業者・生産者がどれくらいいるのか調べたことがあるが、非常に率としては低い

こう県が指摘するように、例えば全国4,000以上の生産者の農産物などを扱う日本最大規模の産地直送通販サイト「食べチョク」の県内の生産者は全体の1%あまりにとどまる。

県も農業経営の安定化のため、生産者向けのセミナーの開催など通販サイトへの出店を後押しするキャンペーンを行っているが、現状では県産農産物をインターネットで販売していく動きは遅れているといえる。

県のセミナーにも協力する谷社長は、「生産者・消費者ともに県産品の魅力を認識し誇りを持つことが、県産品を全国に広げていくことにつながる」と話す。

クーネルワーク 谷俊介社長:
何の脈略もなく、新潟のものをネットで外にバンバン出していけるかというとなかなか難しい。新潟出身の方が自分たちのものに誇りを持って、お裾分けしたり贈り物にしたり、自分たちで広げていくという流れがすごく重要

クーネルワーク 谷俊介社長:
(実店舗が)新潟でものを作っている方々の誇りにつながっていくような、そういった機会を生むような場所になったら

新潟の魅力を再発見するきっかけとなる場所を目指す実店舗。
そこには、さらに県産品を全国へ広げていく願いが託される。

(NST新潟総合テレビ)