新型コロナウイルスの影響で、海外から日本を訪れる観光客がいなくなった。
コロナ前には外国人観光客が年々増加していた静岡県内でも、観光地は苦しい状況を強いられてる。
こうした中、コロナ後を見据えた新たな動きが始まった。
ドローンを遠隔操作しているのは…
勢いよく空に飛び立つドローン。
上空からカメラで撮影しているのは、緑が広がる富士山のふもとだ。
ドローンは、あるオフィスから遠隔で操縦している。

その場所とは…5000キロ以上離れたシンガポール。
実はこの取り組み、コロナ禍で日本に行けない海外の人たちに静岡の魅力をアピールする、県のバーチャルツアーだ。

狙うはポストコロナの“リベンジ消費”
狙うのは新型コロナウイルスの収束後、これまでの反動で拡大が期待される「リベンジ消費」。
静岡県地域外交局・影島英一郎局長:
一足先に静岡の魅力に触れて頂いて、コロナが収束しましたら『自分の目と足で静岡を訪れて体験したい』という欲求に応えていけるのではないかと
静岡を訪れる外国人観光客は2019年には160万人を記録したが、新型コロナウイルスの影響でその姿はなくなった。
渡航が規制され旅行したくてもできない海外の人たちに、コロナ後の旅行先として今から静岡をアピールしようと考えている。

バーチャル“お茶体験”とは?
この日行われていたのはバーチャルツアーのリハーサル。
関係者が集まったのは富士山のふもと、富士宮市の朝霧地区。慌ただしく準備を進める。
一方で海外側の会場は、県の事務所があるシンガポール。こちらもスタッフが本番を想定して準備する。
まず行われたのは静岡名物、お茶の体験。
ガイドの女性:
今から、こちら富士山のふもとで日本茶をいただきます。そちらシンガポールでも楽しんでみてくださいね
現地を案内するのは、通訳を兼ねたガイドの女性だ。リハーサルとあって、撮影位置や説明の表現など試行錯誤を繰り返しながら進める。
地元の茶園の社長が紹介する茶葉を、英語で説明。その様子をスマートフォンで撮影して配信する。
ガイドの女性:
きれいな色ね
茶葉を選び、入れるまでを余すことなく伝え、ガイドの女性がお茶を試飲する。

一方、シンガポールでも…
現地スタッフ:
さきほどの緑茶を飲みます。どうですか?
観光客役:
ベリーナイス
同じ緑茶を用意し、味わってもらう。海外にいながらでも、日本を訪れたような体験をしてもらおうと心がけている。
シンガポールからドローンを遠隔操縦
さらにその後行われたのは、富士山をドローンカメラで楽しむ飛行体験。
ポイントは、シンガポールからコントローラーを使って自由に操縦できること。インターネットを使った遠隔操作の技術で、5000キロ以上離れた場所からでも自分で操縦しながら見たい景色を楽しむことができる。

静岡側:
鳥が周りを飛んでるので
シンガポール側:
そうですね、見えます
あいにくこの日は雲に隠れ、富士山を眺めることはできなかった。
富士山を楽しめるこのドローン飛行は、今回のバーチャルツアーのメインコンテンツの1つだ。

天候に左右されることにはやや不安も残るが、他にも酒蔵見学や日本酒の試飲体験なども用意し、ツアーの充実を図る。
静岡県地域外交局・影島英一郎局長:
このアクティビティとしての魅力は、シンガポールに限らず海外、そして国内でも魅力としては発揮できるものではないかと思います。新しい魅力で、この静岡に訪れて頂く提案を頑張っていきたいと思います
このバーチャルツアー、9月にはシンガポールの観光関係者などを招いて今回の内容を紹介する。
海外の人たちに静岡の魅力をアピールし、コロナ後の誘客につなげられるか?
取り組みは始まったばかりだ。

バーチャルツアー今後は?
このバーチャルツアー、一般向けの商品化はこれからで、まずは海外のイベントなどで静岡をアピールする方法として活用する予定だ。
コロナ後を見据えて、日本への旅行に来られなかった家族が海外からドローンを操縦して一緒に富士山を眺めたり、お茶やお酒などを一緒に楽しんでもらったりする取り組みも検討している。

(テレビ静岡)