2008年の北京オリンピックから13年越しの連覇を成し遂げたソフトボール日本代表。

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チーム最年少の後藤希友(20)は今大会、憧れの上野由岐子(39)からマウンドを引き継ぐと、ストレートとチェンジアップを武器に打者を翻弄。防御率は驚異の0.00、あまりにも完璧なその投球は“神リリーフ”と称えられた。

そして同じく神といえば、アメリカとの決勝戦の抜ければピンチとなる場面で、名手・渥美万奈(32)が見せた“神ゲッツー”。SNSでも「#渥美たまらん」などと大きな話題となり、自らも「奇跡」と表現するほどだった。

五輪を終えて、金メダルを手繰り寄せた神がかったプレーを見せた2人が、奇跡の7日間を振り返った。

神ゲッツー秘話!真実は守備位置の変更

決勝戦を象徴するシーンとなった“神ゲッツー”には、ある真実が隠されている。
“神ゲッツー”を奪った時の遊撃手・渥美の守備位置を見てみると、定位置よりも三塁側によっているのがわかる。

守備位置を変更した理由について「後藤の調子がイマイチだと思ったのと、打者がバットを振れていると感じていたので、引っ張られて三遊間に飛ぶという予測をしていました」と、渥美は経験に裏付けされたひらめきであったことを明かした。

マウンドに立っていた後藤も、“神プレー”と感謝する。

「リーグ戦(トヨタ自動車)でも渥美さんに助けてもらうことがたくさんあります。『#渥美たまらん』、その通りの神プレーでした」

ピンチを救った神リリーフ秘話

後藤の神リリーフの始まりは、予選リーグのメキシコ戦だった。

この試合、先発した上野が7回に同点タイムリーを許して降板。偉大な先輩の後を受けた後藤は、緊迫した場面にも臆せず、自分の仕事を全うする。連続三振を奪いこの回をしのぐと、延長タイブレークでノーアウト二塁三塁の絶対絶命のピンチでも本領を発揮。ここも連続三振で無失点に抑え、日本の勝利の立役者となった。

この活躍はSNS上でも、「神すぎる」「完璧なリリーフ」など大きな話題を呼んだ。

さらにカナダ戦では6者連続の圧倒的なパフォーマンスを見せ、まさに“神ってる”投球で、五輪連覇に大きく貢献した。

「メキシコ戦は登板した時も、次のタイブレークの8回もすごいピンチの状態で、自分の人生でもあんなにピンチを背負ったのは初めてなので、それを抑えられたのは一番うれしかったです」

ピンチを抑えられた一番の要因は「気持ち」だったという。

「マウンドに上がる前の気持ちの持ちようというか、自分の気持ちをマウンドで出せたかなという思いはあります」

強心臓を見せた頼もしい後輩に渥美も「やっぱりやってくれたなという感じですね」と表情を緩ませた。

五輪の熱を日本リーグへ

五輪を終え、9月4日からは日本リーグの後半戦が始まる。

「今回のオリンピックを機に、たくさんの方にソフトボールを知って頂けたので、ソフトボールを広げていけるようにチーム一丸となって、今度はトヨタ自動車として戦いたいと思う」と話した後藤。

渥美は、「開幕戦は無観客になってしまいますが、日本代表だけでなく世界中の代表組が日本リーグに合流して、たくさんの対戦が見られると思うので応援に来て下さい」と応援を呼びかけた。

2人の「神ってる夏2021」は、始まったばかりだ。