苦境からの脱却。長野・高山村の温泉旅館を買い取って、再生に取り組んでいた経営者。
コロナの影響を挽回しようと、人気のサウナを屋上に設置、その名も「天空のサウナ」。

「思い出の山田温泉を活性化させたい」

熱した石に水をかける「ロウリュ」で、さらに発汗を促すフィンランド式サウナ。じっくり汗をかいたら水風呂へ。仕上げは夕日に照らされながらの外気浴。

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利用者:
高いところから見るというのがないのでよかった。すっきりしています

標高約1,000メートルにある、その名も「天空のサウナ」。
設置したのは高山村・山田温泉にある松川館。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
屋上に造ったので建物の屋根よりもテラスが上にきまして、目の前に何も遮るものがなく、北信五岳まで一直線で見られるので「天空」と名付けた

「天空のサウナ」からの眺め

屋上の「サウナ施設」。コロナの影響にあえぐ旅館の新たな一手。代表を務める涌井貞朋さんのアイデア。

涌井さんは名古屋市出身。
実は、ここの経営者となってまだ3年ほど。祖父母が高山村に住んでいたこともあり、山田温泉は小さいころから訪れている馴染みの温泉街だった。
かつて20軒ほどの旅館があった温泉街。バブル崩壊以降、一気に減り今は7軒ほどになった。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
よく言えば静かな温泉街、悪く言うと人気の少ない閑散とした温泉街

涌井さんはリゾートなどの事業再生を手がけるコンサルタント業をしていたが、思い出の山田温泉を活性化させようと、空いていた「松川館」を買い取り、経営を始めた。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
人が歩いている姿が、まばらというよりもほとんどいない状態なので、見るに耐えなかった。静かなのは素晴らしいが、経営できない静かさはだめだねということで、何か手伝いができればという思いは強かった

一家4人で高山村に移住。
客のニーズを細かく分析し、新たに貸し切りの露天風呂も作るなど設備や価格を一から見直した。料理も近場で採れたキノコや地元の猟師がとったイノシシ肉など食材にこだわった。

客:
おいしいね

さらにプロモーションビデオも制作。
生まれ変わった「松川館」の経営は、少しずつ軌道に乗り始めていた。

絶景を楽しめる「天空のサウナ」

しかし、2019年の台風19号や、既に1年余り続く新型コロナの影響で売り上げは減少。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
私が旅館を引き継いでから4年目になるが、1年半は(しっかりと)営業ができていない状態が続いている

「源泉かけ流しの温泉と料理だけではコロナ禍を生き残れない」…そこで目を付けたのが近年のサウナブームと景色を見渡せる自慢の屋上。「天空のサウナ」を思いついた。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
今まであった温泉とか地元のおいしい料理とかというのは、どうしても横並びで他の地域と一緒になってしまう。そうじゃなくて、とがったことをやっていかないとだめかなと

温泉を期待している客に受け入れてもらえるか不安もあったが、クラウドファンディングで資金を募ったところ、目標の100万円を大きく上回る270万円ほどが集まり、先月から稼働させている。

「天空のサウナ」のおすすめは夕方の時間帯。沈みゆく夕日を眺めながらの外気浴は格別。

利用者:
普段こういうところは見ないですからね、高いところからこれだけの風景が見られて。サンセットの時間に見られたというのは、なおさら気持ちいい

利用客を増やそうと、信州プレミアム牛を使ったランチセットと合わせた日帰りプランなども新たに用意した。

コロナ禍の打開策として取り入れた「サウナ」。
涌井さんは一定の手応えを感じていて、旅館の客を増やすだけでなく、長期的には温泉街の活性化にも寄与したいと考えている。

梅の屋リゾート松川館・涌井貞朋代表:
未来10年に限っては、うちはサウナというものを真ん中に据えていくのであれば、今のところなんとかやっていけるのかなと少し安堵した部分はある。もう一度、山田温泉、高山村という場所に振り向いてほしい

(長野放送)