佐賀・伊万里市のナシ農家のグループが、食べられるのに廃棄される「規格外」のナシを使ったスイーツを開発。
いわゆるフードロスを、おいしく解決しようと奮闘する姿を取材した。

年間のフードロスは600万トン

これからが旬の、みずみずしくさっぱりとしたナシを使ったチーズケーキ。
レアチーズがすごくさっぱりしていて、その酸味とナシのさわやかな風味がよく合う。ナシのコンポートが上品な甘さでみずみずしい。

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商品開発に携わった、ナシ一筋35年目、伊万里市の田代慎仁さん(55)。

100年以上続く、伊万里梨の発祥の地といわれている伊万里市大川町立川で、幸水など8つの品種のナシを生産し、全国に出荷している。

ナシ農家・田代慎仁さん:
ナシを作ったうえで、規格外のナシが出るわけで…。去年は9号、10号の台風で、収穫間際のナシが残念なほどに落ちて、泣きたくなるような…本当にショックだった

農水省によると、国内では2018年度、食べられるのに廃棄される食料、いわゆるフードロスの推計は約600万トンとみられている。

ナシ農家・田代慎仁さん:
農業をする方、全てにおいて(野菜や果物など)規格外があると。これを何とかしたいなと前から考えていた

規格外のナシでスイーツ開発へ

田代さんは17年前に、ナシの生産販売に親子3代で取り組む農家を中心に「大川三世代」というグループを立ち上げ、年間80トンほどを生産している。

また2019年には、収穫体験を通してナシの魅力をPRしたいと、観光農園をオープンした。

2020年は、シーズンを通して2,000人を超える人が訪れた。
ここで2年半前に出会ったのが…

ナシ農家・田代慎仁さん:
ここにパティシエの亀飼さんが訪ねてきまして。自分の気持ちと亀飼さんの気持ちが一致した

地元で長年パティシエをしていた亀飼さんと、規格外のナシでスイーツを開発したいと意見が一致。
一緒に試作を重ねて完成したのが、今回のチーズケーキ。
完成までに約2年半かかった。

ナシ農家・田代慎仁さん:
ナシはすぐ酸化する。酸化したらすぐ茶色になって、見た目が悪くなる。そこが時間かかった

チーズケーキの上には、研究を重ねた企業秘密のナシやイチゴ、レモンのコンポートが乗せられていて、冷凍で半年間保存できるという。
田代さんと大川三世代で一緒に活動する大坪さんも満足げ。

ナシ農家・大坪敬介さん:
おいしいと思った。(伊万里梨が)100年続いたので、あと100年。目指せ200年ということで、また100年続いていけばいい

ナシ農家・田代慎仁さん:
ナシだけにこだわらず、全ての農家さんが同じ悩みを持っていると思うので、力になれたらなと

「後継者を育てるのが自分たちの仕事」

また、田代さんは、このチーズケーキが農家の魅力を伝え、深刻な若者離れに対する起爆剤になればと話す。

ナシ農家・田代慎仁さん:
自分たちの目的は、ナシ農家の減少をなんとかしたいというのがある。伊万里梨を守るというか、後継者を育てるのが自分たちの仕事だと思っている

(サガテレビ)

サガテレビ
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