さまざまな統計データから、知られざる富山の日本一をピックアップして背景を探るシリーズ「どうして富山が日本一?」。
今回は、「世帯あたりのコーヒー飲料への支出額」について。

缶コーヒーやペットボトルなど、液体の状態で売られているコーヒー飲料への支出額は、富山市が日本一ということが分かった。

スーパーでは「ケース売りが一番売れる」

総務省の家計調査によると、2020年の世帯あたりのコーヒー飲料への支出額が、富山市は全国の政令指定都市や県庁所在地の中で1位だった。

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全国1位は、2018年から3年連続だ。

記者:
富山市が支出額日本一のコーヒー飲料。市内のスーパーではこのように、コーヒー飲料が所せましと並べられていて、さらにまとめ買いする人も多いのでしょうか、このようにかなりの銘柄で箱売りが展開されています

売り場の壁一面にコーヒー飲料
売り場の壁一面にコーヒー飲料

壁一面に並ぶコーヒー飲料。
このスーパーによると、店頭での箱売りは県内ならではの光景だという。

箱入りもずらり
箱入りもずらり

客:
1日に1本は飲みます。家族で。手軽だし、ちょっと氷入れて飲むのが好きなので

こちらの女性もブラックコーヒーを購入。

客:
市販のコーヒー牛乳は甘いので。これ(ブラックコーヒー)を足して飲む

記者:
なんで富山市が支出額1位だと思いますか?

客:
うーん、わからない。お茶があんまり好きじゃないものだから

ちなみに、茶飲料への支出額は19位で全国平均並み。
ペットボトルや缶の飲料なら、なんでも売れているというわけではなさそう。

こちらの女性は缶コーヒーをまとめ買い。

記者:
けっこう飲みますか?

客:
たまに

記者:
この缶コーヒーはご自宅用?

客:
いまちょっと、家に大工さんが入っているので、差し入れに

このスーパーによると、このように贈答用としてコーヒーをまとめ買いする人が多いという。

大阪屋ショップ呉羽店 樋熊道広店長:
ケース売りがやっぱり一番売れる。一番多いときで(1日)200箱くらいは売れる。お中元とか、来たお客さんにコーヒーを持たせるという人が(富山は)多いみたいです

コーヒー飲料への支出額が高いのは、缶コーヒーを人にあげるという昔からの風習からなのか?

市民の“コーヒー愛”が高まっている?

次なる理由を求めて、富山市内のコーヒー専門店を訪ねた。

まめやコーヒー(富山市)
まめやコーヒー(富山市)

世界約20カ国から仕入れたこだわりの35品種を、その場で焙煎して提供するオーナーの萩原さん。

まめやコーヒーオーナー 萩原浩さん:
富山市内でもけっこう個性的なコーヒー屋さんが多くて。お客さんがコーヒー屋めぐりとか、個性豊かなコーヒーを楽しむっていう街だと思います。そういう意味で、少しずつですけど裾野が広がって、コーヒーが愛されるようになってきているのかなと感じます

こだわりのコーヒーショップが増え、市民のコーヒーへの愛が高まっていることが理由の1つという、専門店ならではの見解。

しかし、統計を調べると違った一面が見えてくる。
コーヒー飲料への支出額が全国1位の一方で、豆や粉のコーヒーは全国26位、喫茶代では全国31位。
コーヒーなら、どんなタイプでも支出が多いというわけでもなさそうだ。

コーヒーで「プチ贅沢」が理由?

話が複雑になってきたところで、専門家に聞くことに。
「家計と消費」にくわしい金沢大学の尾島恭子教授の見解は…?

記者:
支出額が多い理由は?

消費生活にくわしい 金沢大学 融合研究域・尾島恭子教授:
富山県は共働き世帯が多いので、外に出ていることが多い。そういう背景もありますし、自家用車の普及台数も多いので、車での移動が多い。外に出ているときに手軽にコーヒーを買うことが多いのではないかと推測できる。
お茶はあまり買わない、日常的に家で飲めるので。水をあえてお金を出して買うなんてことはしない(ミネラルウォーターへの支出額、全国最下位)。
買うならコーヒー、ということで、ちょっと贅沢できるような、プチ贅沢ということで、コーヒーを求めるところがあるんじゃないかと思う

さらに、「缶コーヒーを人にあげる文化」についても尾島教授に聞いた。
コロナ禍(2020年4~12月)の支出額を見ると、人と接する機会が少なかったにもかかわらず、前の年よりも365円増えている。

ということで、「人にあげる」というよりも、「日常的に飲む人が多い」というのが支出額が多い要因なのではないか、と話していた。

(富山テレビ)

富山テレビ
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