開催まであと僅かとなった2022年の北京オリンピック。

オリンピックに向けて挑戦し続けるアスリートたちに、「村上信五∞情熱鼓動」の番組ナビゲーターの村上信五(関ジャニ∞)が迫っていく。

今回は2年ぶりに開催された世界フィギュアスケート選手権2021で、初出場とは思えない、堂々たる演技を披露した鍵山優真、18歳。

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父親は2度、オリンピック出場を果たしたトップスケーター。幼い頃からエリート街道を歩いてきたかと思いきや、鍵山は果てなき闇の中をさまよい続けた。

後編では、二人三脚で歩んでいた中で、コーチでもある父親の入院により一人になってしまった鍵山に起きた変化と、北京オリンピックに向けての思いを追う。

(【前編】鍵山優真「小学生の頃は全国大会の表彰台に上ってない」コーチである父と歩んできた13年

(この記事は2021年3月に放送したものを記事にしたものです)

父親の病気を機に選手として「自立」

2018年、コーチでもある父・正和さんが脳梗塞で倒れた。

そこで振り付けの指導をしていた佐藤操さんに、臨時コーチの就任を依頼した。メニューは自ら組み立て練習に臨み、動画を撮影し、病床の父親にもアドバイスを求めた。

「最初は慣れるまでに時間がかかったというか、手こずったというか、『どうしたらいいんだろう』と、『これからどうしよう』という感じだったんですけど、少しずつ少しずつ、自分でやるべきことはちゃんと自分でやると考えるようになった。ちょっと大人になったかなと思います」

父親の病気がきっかけで、選手として自立するようになったと明かす鍵山。正和さんはその半年後に復帰した。

久々に父親に演技を見てもらったことを「すごく楽しかったというか、自分も久々に見てもらえるので、いい姿を見せたいと思って頑張りました」と話していた。

一方、正和さんに鍵山の自覚の芽生え方などの変化を聞くと、「嬉しかったは嬉しかったです。ただ入院中は側にいてあげられるわけじゃないので、自分自身がいてあげたいなという気持ちにはなりました」と話した。

そして鍵山は、高校1年生の時に全日本ジュニア選手権2019で優勝を果たす。鍵山にとっても「スケート人生で一番手ごたえを感じた時期」だという。

2019年には憧れの先輩と同じ舞台に

全日本ジュニア選手権に出場した鍵山が、フリーのプログラム用に選んだ曲は「タッカー」。正和さんが現役時代に使っていた、大切な曲でもある。

4回転はもちろん、すべてのジャンプに加点がつき、非公認ながら、当時のジュニア世界最高得点で初優勝し、初めて父親を泣かせた。

父親の涙を見たときの気持ちについて、鍵山は「今までたくさん苦労してきたので、努力が報われた瞬間だったので、本当に嬉しかったんだろうなって。自分も嬉しかったですし、お互い嬉しかったのでよかったです」と笑顔を見せる。

演技後には「全日本の表彰台も見えてきたので、確実に狙っていきたい」と意気込み、2019年12月にはジュニアながら全日本選手権の出場権を獲得した鍵山。

2019年の全日本選手権

シニア初の表彰台をかけ、憧れの羽生結弦や宇野昌磨と肩を並べ、戦うことになった。

そしてその言葉通り、全日本選手権では3位になり、羽生や宇野の背中を捉えた。

2019年の全日本選手権

勢いは止まらず、2020年1月には冬季ユース五輪フィギュアスケートで日本人では2人目となる金メダルを獲得。

こうした息子の活躍に正和さんは「きっかけは僕の病気なので、きっかけ自体は良くなかったと思うんですけど、朝起こされて練習に行っていたのが、自分で支度をして、時間の管理をして、練習も管理をするっていうことを、自分でやらなきゃいけなかったので、一つ成長したのかなと」と明かした。

そして「こんなスケーターになってほしいイメージ像はありますか?」と問うと、正和さんは「最終的には究めてほしい。曲が流れてジャンプがなくても、みんなを引き寄せられる、ジャンプだけ見てても美しい技術を魅せられる、いろんなことに関して究めたスケーターになってほしい」と、まだ息子に伝えたことのない思いを語った。

鍵山にとってフィギュアスケートは「スケートがなかったら僕には何も残らないし、楽しいからやり続けていて大事なもの」だという。

そんな鍵山の中でオリンピックは「前は夢。自分の中で『オリンピックに出たいな』とか思っていただけなんですけど、今はちゃんと自分の目指すべきものとして、そこにオリンピックがあるので、出て優勝したいという目標がある。自分にとっては凄く大きな試合だと思います」と話した。

夢から目標へと変わったオリンピックでの“優勝”。表彰台で晴れやかな笑顔が見られるだろうか。

(【前編】鍵山優真「小学生の頃は全国大会の表彰台に上ってない」コーチである父と歩んできた13年

これからの鍵山がどう成長し、進化を遂げていくか。父親と二人三脚で歩む大きな舞台への期待が高まる。