高齢者への新型コロナワクチン接種が始まってから、約7週間。政府は7月末までに全高齢者のワクチン接種を完了することを目指しているが、進捗状況には地域差も出ている。

高齢者の接種状況(出典:首相官邸ウェブサイト)
高齢者の接種状況(出典:首相官邸ウェブサイト)
この記事の画像(5枚)

こうした中で政府は接種体制の確保に役立ててもらおうと、自治体の工夫をまとめた「ワクチン接種これいいね。自治体工夫集」を首相官邸のウェブサイトで公開した。

自治体の工夫を参考事例として紹介

このまとめでは「医療従事者確保」「効率的な接種体制」「自治体間連携」「予約システム、円滑な予約体制」「余剰ワクチン」「大規模接種会場」「移動手段確保」「民間からの協力」のカテゴリ別に、県や市町村の取り組みを紹介している。

カテゴリ別に自治体の工夫を紹介(出典:首相官邸ウェブサイト)
カテゴリ別に自治体の工夫を紹介(出典:首相官邸ウェブサイト)

例えば「医療従事者確保」だと、奈良県は集団接種会場の稼働率を向上させるため、指導医の指導のもとで研修医を会場に派遣しているという。滋賀県は接種や健康観察を担う看護師を確保するため、県看護協会と協力して潜在看護師に協力を呼び掛けたとのことだ。

医師が巡回し効率アップ…手段はいろいろ

また「効率的な接種体制」では、岡山市は医療機関や会場へのワクチンの移送方法を外部委託して一元化することで、市内で300を超える接種機関を確保できたという。東京都調布市は集団接種会場で医師が巡回して、座席に座る高齢者に接種する方式を導入したところ、接種の効率が約2倍以上になったとのことだ。

効率的な接種体制に関する取り組みの一部(出典:首相官邸ウェブサイト)
効率的な接種体制に関する取り組みの一部(出典:首相官邸ウェブサイト)

そして「大規模接種会場」だと、宮城県・仙台市・東北大学の三者が連携して、ヨドバシカメラマルチメディア仙台(仙台市)にワクチン接種センターを開設した。東北大学病院や看護協会などの協力も得て、1日あたり最大2100回の接種を行うという。このほかにも、さまざまな事例が掲載されている。

大規模接種の取り組みも掲載している(出典:首相官邸ウェブサイト)
大規模接種の取り組みも掲載している(出典:首相官邸ウェブサイト)

6月1日現在、「自治体間連携」「余剰ワクチン」「移動手段確保」「民間からの協力」については、まだ具体例の記載はないが、今後これらの項目についても順次更新していくとのことだ。

※掲載内容は、自治体の取組のごく一部を参考として紹介しているもので、類似の取組等もあり、サイト側で追加・加筆が行われるという

早期の接種完了につながるか

政府は東京と大阪に大規模接種センターを設置するなど、ワクチンの早期接種完了に向けて躍起となっている印象だ。こうした中、自治体単位で大規模接種会場を設置するなど、接種のペースが加速しているところもある一方で、接種が思うように進まない自治体もあるはず。公開された工夫集が少しでも、自治体の助けとなることを期待したい。

首相官邸のサイトでは、新型コロナワクチンの接種状況なども公開されているので、自治体の取り組みとともに確認してみてもいいだろう。

・自治体の工夫集はこちら

【関連記事】
子供を接種会場に連れていってもいい?ワクチン接種8つの疑問を二木芳人氏が解説
大規模ワクチン接種 “前倒し”の予約は50分でいっぱい…一方でキャンセル分の扱いも課題に

>>>【データでみる新型コロナ / ワクチン】 特設ページはこちら

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。