全国に駆け付け応援…あなたの人生を全力で応援してくれる「我武者羅応援団」
コロナで不安が渦巻く今、全力で応援してくれる人たちがいる。サラリーマン10人で活動しているこの「大人の応援団」は、様々なイベントに駆け付け、たくさんの人たちの背中を押している。
2020年度の卒業生がたった8人の、三重県津市美杉町の美杉中学校。コロナ禍でほとんどの学校行事が中止になる中、この学校のPTA会長が「最後の思い出」としてこの全力応援を送った。
春、新たな一歩を踏み出す季節に、背中を押してくれるのが「我武者羅応援団」。
合言葉は「あなたの人生、全力で応援します」。学習塾や企業のイベントなど年間100件以上、全国に駆け付け応援している。
主将の伊沢直人さん（40）は、名古屋大学を卒業後、大手企業に就職するも、27歳で退職。レールに乗って自分で何も決めてこなかった人生、思いきり打ち込めるものを見つけたいと「応援団」への入団を決めた。
コロナの影響で、対面の応援はできなくなってからは、映像での応援を続けている。
限界集落からのオファー…PTA会長も務める寺の住職からの依頼「卒業生に思い出を」
2020年2月、伊沢さんの元に一通のメールが届いた。
＜メールの文面＞
「限界集落の3年生8名。コロナ禍の中で精一杯がんばり、それぞれの道へ歩き出す彼らに、みなさんから熱いエールを」
依頼主は、三重県津市の寺の住職・石山勝彦さん（45）。学校のPTA会長も務める石山さんは、コロナで様々なイベントが中止になってしまった卒業生たちに最後に思い出を作ってあげたい、と依頼をした。
この春それぞれの道へ…小学校から9年間ずっと一緒 家族のような8人
三重県津市の山間部、美杉町。人口4000人のうち、未成年は4％。この町、唯一の「美杉中学校」は昭和51年の創立時、500人以上の生徒がいたが、現在は36人。2020年度の卒業生はわずか8人だ。
中学3年の正井美穂さんは、学級委員長でクラスのムードメーカー。小学校から9年間ずっと一緒の8人は、家族のような存在だ。卒業後は、高校進学で別々の道を歩む。この1年は、体育祭や部活の大会など、行事はほとんど中止になった。
正井さん:
毎年あった事が無いので…。やっぱり心残りだったりします
住職の石山さんは「コロナで愚痴も言わずマスクしながら、毎日休まず通学した8人に少しでも良い思い出を」と話す。
サラリーマンの傍ら10人で活動する大人の応援団「絆が支えになること伝えたい」
「我武者羅応援団」のメンバー10人は、サラリーマンの傍ら、休日を利用して活動している。伊沢さんは、「何が一番相手に伝わるかを、最後まで模索していくこと自体が応援」とその信念を話す。
この日、伊沢さんたちは依頼主の石山さんと卒業式について打ち合わせをしていた。
石山さん:
美杉で育ってよかったって、どうやったら思ってもらえるか。自信をもって飛び出してほしい
コロナ対策のため、応援は映像で行う事に。映像による応援…。いかに迫力を出すか、大きな動きを付けたり…、声量の塩梅を探る。
そして内容については「一人じゃない」「絆」など、様々なキーワードを出し合う。そして「9年間ずっと一緒だった8人の仲間。その絆はこの後の人生で絶対に支えになる」ことを伝えることに決めた。
伊沢さん:
石山さんの思いを何とか届けたい。寄り添えるような応援がしたい
石山さんからのエールを、言葉にして伝える。
卒業生8人を全力応援…「フレー！フレー！あなた！」
依頼から1か月。卒業式で、「我武者羅応援団」は8人のために全力で応援する。
＜伊沢さんからの応援メッセージ＞
「この1年間で経験するはずだった、かけがえのない瞬間や思い出を、すべて失った。なんで自分たちだけ？行き場のない悔しさを感じたでしょう」
「でも、俺は全く心配していない、大丈夫だ。それは、あなたがいま不安の真っただ中にいるからです。本気じゃなかったら、不安なんて感じないんだよ」
＜伊沢さんからの応援メッセージ＞
「あなたが、自分の人生と本気で向き合っている、何よりの証なんだ。離れていても、共に過ごしてきた8人の「絆」は繋がっている。親御さんたちも、学校の先生方も、地域の皆さんも、そして俺らだって、ずっとあなたのことを応援している」
「だから一人じゃないぞ。あなたほど、あなたを信じている人はいない。あなたの一番の応援団は、他の誰でもない、あなたです」
20分間のエール。コロナ禍の学生生活を乗り越えてきた8人に、大人が敬意を払った。
応援団:
フレーフレー卒業生！
学級委員長の正井さん:
自分自身、応援されたっていうのはすごく伝わってきて、これからは自分のことを信じて前に進んでいこうかなって感じました
石山さん:
平常心で一年過ごしたその姿に感動したというか、大人が逆に応援されたので。それに対する敬意ですね。本当にかっこよかった
春、新たな一歩を踏み出す季節…。
自分を信じて…。「フレー！フレー！あなた！」。
伊沢さんからのエールがいつまでも響き渡る。
（東海テレビ）
