アメリカでUFOに関する真相解明への機運が高まる中で、「UFO目撃情報」アプリに、全米からの投稿が殺到している。政府が機密情報として情報公開を限定している一方で、民間企業を中心に情報収集と分析を進める動きの一環ともなっている。データは多ければ、多いほど良いのだ。その中には、最新のUFOの可能性がある動画もあり、詳細な分析が進んでいる。さらに、実業者のイーロン・マスク氏も巻き込んだ、「UFO騒動」も勃発。落下した謎の物体に全米の注目が集まっている。

「UFO目撃アプリ」に注目 日本でも500投稿

アメリカのスタートアップ「Enigma Labs」が開発したのは、UFOの目撃情報をリアルタイムで収集するアプリだ。携帯で撮影し、簡単な質問に答えるだけで投稿できる。広報担当者によると、2023年の開始以降、すでに目撃情報の直接の提供は1万8000件を超え、過去のデータや第三者からの提供を合わせると27万件以上を保有しているとしている。

「Enigma Labs」は27万件のUFO目撃データを保有している
「Enigma Labs」は27万件のUFO目撃データを保有している
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また、科学者や退役軍人、パイロットなどからの情報提供も行われているという。アプリによって集められたUFO情報はAIや独自の分析ツールにかけられて検証が進められ、今後の結果に注目が集まっている。

UFO目撃アプリには日本からも500件近い情報が
UFO目撃アプリには日本からも500件近い情報が

日本でも超党派の「UFO議連」が立ち上がったが、「Enigma Labs」はアプリに日本でも500件近いUFOの目撃情報が寄せられていることを報告している。

UFO報告殺到 独自映像に謎の物体

今回、「Enigma Labs」にコンタクトを取ると、最新の投稿の中から、UFOの可能性があるとされる2件の映像を提供頂いた。

ラスベガス上空で目撃された謎の白い物体(4月9日)
ラスベガス上空で目撃された謎の白い物体(4月9日)

1つ目は4月9日にネバダ州ラスベガスの集合住宅から撮影された動画だ。空にゆらゆらと白い物体が浮遊している。投稿者は「空に物体が見えたので、最初は飛行機だと思いました。それは飛行機の高さに見え、北東から南西へ、とてもとてもゆっくりと動いていた」と当時の状況を説明した上で、「どんどん南に流れていった。私はただそれを監視し、やがてそれは私の視界から消えていった」と話している。

カリフォルニア州で撮影された発光する物体(5月23日)
カリフォルニア州で撮影された発光する物体(5月23日)

2つ目は5月23日にカリフォルニア州で撮影されたものだ。「最初はロケットかと思った」と投稿者は話す。しかし、よく様子を見ると「物体がピラミッドのような形をしていることに気がついた」としている。

しばらく撮影を続けていると、物体から発せられた光は弱まり、空の彼方に消えていったとしている。「飛行機が通り過ぎる様子も撮影したが、これとはまったく違って見えた」とも話していて、この物体の正体がなんだったのか疑問は深まり、検証が続けられている。

UFOの残骸か?マスク氏の宇宙船か?

一方、UFOを巡り全米が注目する出来事も起きた。5月24日早朝、アメリカ・南部ノースカロライナ州の高級キャンプ場の管理人が、森の奥深くの登山道で謎の巨大物体を発見した。その異様な物体の姿に、一報が報じられると全米で「毛むくじゃらのUFO?」と話題になった。

森の奥深くの登山道で発見された謎の物体
森の奥深くの登山道で発見された謎の物体

ボルトで固定された金属板で覆われた巨大な物体は、厚さは約3cm、高さは約120cm。物体は焦げているように見える。なぜこのような金属片がなぜ森の奥深くにあったのか。このキャンプ場では当時、誰も異常な音などを聞いてはいないという。

ノースカロライナ州は全米UFO報告センターでも上位に入るUFOの目撃情報の多い地域でもあり、真相究明に期待が集まった

現場は高級キャンプ場で訪れる人は多くない
現場は高級キャンプ場で訪れる人は多くない

しかし、ここで注目を集めたのは実業家のイーロン・マスク氏だ。アメリカメディアが専門家の見解として、この物体がスペースX社のクルー・ドラゴン宇宙船から落下したものではないかとの分析を発表したからだ。

謎の物体はイーロン・マスク氏の企業が手がけた宇宙船からの落下物か
謎の物体はイーロン・マスク氏の企業が手がけた宇宙船からの落下物か

キャンプ場はFNNの取材に対して、誰かがこの物体の正体を今後突き止めてくれることを歓迎しつつ、今後このUFOに関連する可能性があるとされる物体を、キャンプ場内に展示するとしている。
(FNNワシントン支局 中西孝介)

中西孝介
中西孝介

FNNワシントン特派員
1984年静岡県生まれ。2010年から政治部で首相官邸、自民党、公明党などを担当。
清和政策研究会(安倍派)の担当を長く務め、FNN選挙本部事務局も担当。2016年~19年に与党担当キャップ。
政治取材は10年以上。東日本大震災の現地取材も行う。
2019年から「Live News days」「イット!」プログラムディレクター。「Live選挙サンデー2022」のプログラムディレクター。
2021年から現職。2024年米国大統領選挙、日米外交、米中対立、移民・治安問題を取材。安全保障問題として未確認飛行物体(UFO)に関連した取材も行っている。