災害への備えや東日本大震災の教訓をシリーズでお伝えする「いのちを守る」。
今回は気象庁が始める、新たな大雨の情報についてお伝えする。

平野貴久 気象予報士:
みなさん、この言葉、一度は聞いたことがあると思います。『線状降水帯』です。大雨の要因となる現象ですが、この『線状降水帯』に関する情報が、2021年の出水期から発表されることになりました

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近年の大雨の要因の一つ「線状降水帯」とは

2021年4月25日、仙台管区気象台で6月から運用が始まる、新しい気象レーダーの取り付け作業が行われた。

「二重偏波気象レーダー」と呼ばれるこのレーダーは、水平・垂直、2種類の電波を用いることで、雨の強さをより正確に観測することができる。

気象庁は近年多発する局地的大雨の監視能力を強化するため、このような様々な取り組みを行っている。

その一つが「線状降水帯」の発生を伝える情報。
「線状降水帯」とは発達した雨雲が列をなし、ほぼ同じ場所に停滞して大雨をもたらす現象で、2020年の熊本豪雨や2018年の西日本豪雨など、近年の大雨の要因の一つとなっている。

宮城県に初の大雨特別警報が発表された、2015年の「関東・東北豪雨」も、線状降水帯が大雨の要因だった。
一方で、線状降水帯は事前の予測が難しいという現状がある。

気象庁は将来的には線状降水帯が発生する半日前に情報を出すことを目指しているが、その最初の段階として、2021年の出水期から線状降水帯が発生したことを伝える情報を発表する。

気象庁 長谷川直之 長官:
これまでに多くの災害を引き起こした「線状降水帯」という言葉をキーワードとすることで、多くの皆さんに危機感を高めていただくことが期待できる

2021年から「線状降水帯」発生を伝える

新たな情報は雨の降るエリアが線状で3時間の雨量が100ミリ以上など、一定の条件を満たし、危険度が高い場合にのみ、次のように発表される見込み。

(発表の例)
宮城県では、線状降水帯による、非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっています

情報は大雨の警戒レベルが「4」相当以上の状況で発表される。例えば、2020年7月の熊本・球磨村での豪雨の場合、7月3日午後9時50分にレベル4相当の「土砂災害警戒情報」が発表された。

そして、翌日の7月4日午前4時50分に、レベル5相当の「大雨特別警報」が出た。この3日の「土砂災害警戒情報」と、4日の「大雨特別警報」の間の4日午前2時半に「線状降水帯」情報が発表されていたことになる。

「線状降水帯」情報で危機感を高める

気象庁 長谷川直之 長官:
この情報の役割の大きなところは、「線状降水帯」という非常に危険な気象の状況であるということを、皆さんがわかって、危機感を高めていただいて、もし避難を迷っているようであれば、ただちに避難を考えていただきたいと思います

この情報は、すべての線状降水帯に出るわけではない。
本当に危険度の高いものにのみ、いわば「厳選」して発表されるので、これが発表された時には、本当に大変なことが起きていると思うこと。

そして、もう一つの注意点。
「情報が発表されていないから災害は発生しない」「情報の発表を待てばいい」…こう思うのは間違い。この情報が発表されていなくても、大きな災害が発生するケースはある。

大雨は線状降水帯だけではない。台風のように、もっと広い範囲に大雨をもたらす現象もある。だから、情報が出る出ないに関わらず、気象庁のホームページで危険度分布を確認するなど、自ら判断して適切な避難行動をとることを心がけていただきたい。

(仙台放送)