3度目の緊急事態に突入して3日が経過した。私は健康だが61歳という年齢もあり、この1年「まじめな」生活を続けてきた。人前でマスクなしでしゃべることはないし、同居家族以外との会食もほとんどしない。仕事はほぼオンラインで、スポーツジムにも行かず代わりに毎朝5キロ散歩している。

そんなまじめな私も「飲食店で酒出すな」と「コンサートなどは全部やめろ」という今回の政府のお達しにはムカッと来た。エビデンスなしに一部の業種だけを半ば強制的に自粛させるというのはフェアではない。

ただ都内のほとんどの飲食店は酒を出さないし、コンサートや落語会などは中止または延期になっている。

「寄席は社会生活の維持に必要なもの」

こうした中、唯一と言っていいだろう、敢然と政府に歯向かっているのが落語の寄席だ。

東京・台東区 浅草演芸ホール 
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都からの無観客開催要請に対し、都内の4つの寄席(浅草、鈴本、池袋、末広)が落語協会や落語芸術協会と話し合って「寄席は社会生活の維持に必要なもの」と判断し、観客入りの興行を続けることを決めたというのだ。ただ感染がさらに拡大すればこの限りではないらしい。

これに対しネットでは好意的な意見が多かったのだが、西村康稔コロナ担当相は「変異株の広がりが問題になっており、感染防止策を徹底しても休業をお願いしたい」と譲らず。落語議連幹事長の小泉進次郎大臣までもが「不満もあると思うがご協力を」と要請に応じるよう求めた。

落語議連幹事長 小泉進次郎大臣も「不満もあると思うがご協力を」

「落語なんてぇものはなくてもなくてもいい仕事だ」

と、政治家と寄席の対立は続いているのだが、面白かったのは落語家の立川志らくさんがTwitterに「落語家の決まりフレーズがある。世の中にはあってもなくてもいい仕事があるが落語なんてぇものはなくてもなくてもいい仕事だ」と書いていたことだ。

志らくさんはもちろん寄席の客入り興行継続を支持しているのだが、「社会生活の維持うんぬん」という寄席側の堅苦しい言い分も茶化しているところがいいね!

東京・台東区 浅草演芸ホール

まあどちらにしても寄席に行くかどうか、あるいは家族との外食で酒飲むかどうか、この1年間、まじめに感染防止対策をしてきた私としては国家権力に決めてもらうのではなく自分で決めたいものだ。

残念ながら酒を出す店はないようなので行けないが、寄席には客入り興行を続けてほしいし、もしやってるんなら明日あたり行ってみようかなと思っている。
…と思っていたら、寄席は5/1から休業することを決めてしまった。あーあ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】