今、マイナンバーカードの申請件数が急速に伸びている。政府は2022年度にほとんどの住民が保有している状態を目標としているが、3月末時点での申請件数は4549万件(交付は3590万枚)と、国民の2人に1人の保有という数字も見え始めてきた。近所や学校、職場でも「まだ申し込んでいないの?」などという会話が広がっているかもしれない。

これは普及促進に向けて政府が今年1月から、QRコードを読み取ればマイナンバーカードの申請が可能な「交付申請書」を発送していることや、5000円分のマイナポイント付与の申請期限が近づいたことが大きく寄与している。

その効果もあって3月に申請が急増し、1日あたりの申請件数は実に22万件。1日約10万枚が交付されている。いずれも1か月の数字としては過去最多となり“マイナンバーカード特需“とも言える現象が起きている。

こうした動きの中、政府は5000円分のマイナポイント付与の条件となる交付申請の申込期限を3月末から4月末まで1か月延長した。この“お得期限”延長効果により、普及がさらに加速することも予想される。

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申請件数5000万人が見えてきたことについて政府関係者は「エストニアなどの例をみると、国民の半分が持つようになれば、加速度的に取得者が増加する。政府の目標達成が視野に入る」と鼻息荒く期待感を示している。

“デジタル後進国”の汚名返上!?菅首相の看板政策

このマイナンバーカードの普及は“菅印”とも言える菅政権の看板政策だ。今の国会では、デジタル行政の司令塔となるデジタル庁の9月創設やマイナンバー活用の拡大を柱とするデジタル改革関連法案が審議入りし、政府与党は今の国会で成立を目指している。

法案が成立すればデジタル庁が設置され、新型コロナ禍で浮き彫りになった、政府や自治体がばらばらに構築してきたシステムも一元化され、行政のデジタル化が進む。そしてマイナンバーカードを活用した国民生活の利便性の向上が一層図られることになる。

“カードでパンパンの財布”にお別れの日は遠くない!?

マイナンバーカードを取得すれば、身分証として利用できるだけではなく全国のコンビニで土日祝日関係なく住民票の写しや印鑑登録証明を取得できる。医療関係では保険証(2021年10月本格運用)やお薬手帳(2023年度)としての活用だけではなく、医療扶助の受給(2023年度)、介護保険資格の確認(2023年度)も可能になる。

就労関係ではハローワークの受付票としての利用(2022年度)や、職務経歴や訓練経歴の確認(2022年度)も可能になるほか、教員免許状の情報(今年度)や大学の職員・学生証、障がい者手帳(昨年度開始)、運転免許証と一体化され、住所変更や更新手続きもスムーズに行えるようになる(2024年度)などカード1枚にあらゆる情報が集約される。

さらに政府は2022年度中にマイナンバーの機能をスマートフォンに搭載できるようにすることを目指していて、実現すれば様々なカードでパンパンな財布とは、「おさらば」と言う時代もそう遠くないかもしれない。

情報集約ゆえにリスクも大きく

一方で、利便性の追求ゆえの課題もある。この春の本格運用を目指していたマイナンバーカードの保険証利用は当初の今年3月から10月に先送りされることになった。マイナンバーと保険者を紐づけできず患者の情報が確認できないというトラブルが要因で、“単純な作業の遅れ“が原因とされているが、初期段階のトラブルで大きな影響や混乱がなかったのが不幸中の幸いだった。

また、前述したようにマイナンバーカードに保険証や運転免許証等多くの機能が集約されるだけに、本格利用された際に、大手金融機関で起きた大規模システムトラブルのようなデジタルならではの障害が発生すれば大混乱に陥ることも危惧される。加えて、個人情報の流出も他人ごとではなく、日々巧妙化・複雑化するサイバーテロも想定し、重層的な情報管理システムの構築も求められてくる。

さらにマイナンバー制度を巡っては今の国会でも国費の支出の累計が過去9年で約8800億円に上り「コストパフォーマンスの悪さ」も指摘されるなど、費用に見合った機能の充実と利便性の向上に向けた政府の努力が引き続き求められる。

(フジテレビ政治部 千田淳一)