岩手・花巻東高校の元硬式野球部員が、一般入試で東京大学に合格した。2浪の末、1956年の創立以来、学校初の快挙を達成。
その道のりがどのようなものだったのか、取材してきた。

3度目の挑戦で見事「東大」へ

岩手町出身の大巻将人さん。3月10日、3度目の挑戦で東京大学・文科二類に合格した。

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大巻将人さん:
頑張り続けて、その努力の結果として合格できたのは、本当にうれしかった

「東大合格」には、どれほどの学力が必要なのか。2020年の数学の試験の問題を解いてもらった。

数式が並ぶ問題文を理解するだけでも、難しいと思うが、とめどなく手を動かし、黒板が方程式で埋まっていく。
そして開始から約15分。

大巻将人さん:
終わりました、答えはこちらになります。途中ちょっと難しい計算、加法定理とかそうなんですけど、ここは発想が難しい問題だったのかなとは思います

滝澤悠希アナウンサー:
大変すごいことをしているというのは、わかりました

かつて大巻さんは、名門・花巻東高校硬式野球部に所属。
3年生の時には主に記録員としてチームに貢献し、2018年の春のセンバツ甲子園の開会式では、プラカードを持って入場行進した。高校時代は、寮生活をしていた大巻さん。
野球の練習に追われる中、夜11時の消灯後、ほかの部員が寝ている時間に勉強していたそう。

大巻将人さん:
周りに受験生が多いとかそういう環境ではないので、自分一人でやっていなかきゃいけないという意志の強さは必要だった。自分のやれること、できることを必死にやっていた

監督「入る高校間違えてる」と思った

東大を目指し始めたのは、高校1年生の時。
当時の東大野球部の監督に話を聞く機会があり、刺激を受け「東京六大学リーグ」でプレーすることを志すようになった。
花巻東硬式野球部の佐々木洋監督は、その姿について3年前、こんな話をしていた。

花巻東高校硬式野球部・佐々木洋監督:
東大行きたいと言われた時はびっくりして、入ってくる高校を間違えていると言ったが、本当に意欲的に勉強に取り組んで目標もぶれない。本人の夢を叶えてあげるのも監督の役割かなと思っている

浪人時代は東京の予備校に通い、強い気持ちでペンを握り続けたが、1年目は「不合格」。
監督は、悔しい思いをしていた大巻さんに、食事をごちそうしたり、メールを送ったりして励ましてきた。

花巻東高校硬式野球部・佐々木洋監督:
相当な喜びだった。学校にいたので大声を出せなかったが、学校中に響き渡るような大声を出したいくらいの喜びだった

大巻将人さん:
監督をはじめ、いろいろな人からサポートをしてもらい、それで頑張れた部分もあったので、合格した時は感謝の気持ちでいっぱいだった。野球も勉強もどちらも頑張り、相乗効果で結果が出たと思う

浪人2年目は、入学の後を見据え、勉強の合間に、トレーニングをしていたと言う大巻さん。
3月19日も、学校のグラウンドで、自主練習に取り組んだ。

目指すのは、六大学のリーグ戦で、56連敗中の東大で「勝利に貢献できる選手」になること。一方で、新たな目標に照準を合わせながらも、野球だけに捉われない姿勢は変わらない。

大巻将人さん:
いろいろな人と出会いながら、いろいろな考えに触れながら、自分の考えや視野を広げていく中で、野球も上達させて、野球と学習、どちらも頑張っていきたい

(岩手めんこいテレビ)

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