西日本豪雨による浸水被害で廃業した、愛媛・西予市野村町の老舗の酒蔵「緒方酒造」。
そこで作られていた酒「緒方洪庵」を復活させるプロジェクトが立ちあがった。

「復興支援!」と銘打ち、3月1日に始まった日本酒「緒方洪庵」復活のためのクラウドファンディング。
スタートからわずか5日で目標額100万円を達成し、現在、500万円のネクストゴールを掲げてさらに支援を募っている。

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この「緒方洪庵」という酒を作っていたのは、西予市野村町の酒蔵「緒方酒造」。
3年前の西日本豪雨で大きな浸水被害にあい、廃業を決めた。

蔵を生かす…「緒方らぼ」結成

しかし、江戸時代から脈々と受け継いできた歴史深い蔵を「野村のために生かしたい」という酒蔵の主人の思いにこたえ、蔵を拠点に野村の復興やまちづくりを考える「緒方らぼ」が結成された。

コロナ禍でも、酒蔵を会場にオンラインで全国各地の被災者や大学などとつながり、意見を交わしてきた。

緒方らぼ・清家卓さん:
緒方酒造さんは野村の歴史や文化の中心でありましたし、乙亥大相撲も緒方(酒造)さんから始まったと言われています。野村の歴史を支えてきた存在だと認識しています

ーー酒の復活は?

緒方らぼ・清家卓さん:
素直にうれしい気持ちもありましたし、緒方洪庵さんには、100何十年か前の方ですけど、感謝してます

野村の歴史を支えてきた緒方酒造の酒「緒方洪庵」を復活させようと手を挙げたのは、なんと大阪大学。

大阪大学人間科学研究科・佐藤功教授:
今回(豪雨の)ボランティアで行った際に、緒方(酒造)さんの蔵に入らせていただいて、いろいろ話をさせていただくようになったのが一番のきっかけです。
緒方洪庵は、大阪大学の校祖とも称されてる人なので関係があります。(緒方酒造が)水害にあって失われようとしているという話をしたら、それはちょっと行かないかんなと

コロナ禍の今、くしくも幕末に疫病対策に尽力したとされる偉人・緒方洪庵の縁で結ばれた大阪大学と緒方酒造。

「復興のシンボルになれば」

兵庫県の酒蔵とタッグを組み、日本酒・NEO「緒方洪庵」を開発中。

大阪大学人間科学研究科・佐藤功教授:
(野村には)災害にあってそれで嘆くばかりではなくて、それをきっかけとして、さらに何かいいものを作れないかというふうに考えている方がたくさんおられる。酒を飲みながらすごく陽気に語られて、あした前向いていこうというふうにされるところが、僕たちすごく学ばされました。
緒方洪庵のお酒自体も、野村、愛媛ですよね、それと大阪、大阪大学をつなぐひとつのシンボルになればいいなと言う風に思っています

緒方らぼ・清家卓さん:
野村の人のお酒は挨拶のツールというか、コミュニケーションのツールというか、切っても切り離せないものなので、緒方洪庵の人物像に近い厳粛なお酒と伺っていますので、とても飲むのを楽しみにしています

「緒方洪庵」復活プロジェクトには、「頑張ってください!」「復興をこころから願っています」などたくさんの応援コメントが寄せられている。中には、野村の酒文化・サシアイのおともに「緒方洪庵」を楽しみに待つとの声も。

NEO「緒方洪庵」のクラウドファンディングは4月末まで行われ、寄付金は酒づくりのほか、緒方らぼの拠点・緒方酒造の蔵の修繕にも役立てられる。
飲む村=野村とも言われるように、まちにとって欠かせない存在の酒。
復興のシンボルとして期待がかかる。

(テレビ愛媛)

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