菅首相 “SNSや動画を活用した広報強化”

「今後、テレビコマーシャルの他にSNSや動画も活用し、若い世代にも届けるよう広報に力を入れていきます」(2021年3月5日、菅首相会見)

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1都3県への緊急事態宣言の再発令に伴い行われた3月5日の記者会見で、菅首相は、新型コロナウイルス感染症の予防のための広報発信を強化していく考えを示した。早速その4日後の3月9日から、若者向けにコロナ対策を呼びかけるCMがインターネット(Yahoo! ~3月21日)や渋谷・新宿・池袋・有楽町の大型ビジョン(3月15日~21日)、そしてSNS(YouTube、Instagram、Twitter、LINE ~3月31日)で公開されている。

【2021年3月7日「Live News イット!」放送】

“若者に響かない…” 政府も発信に苦悩

今回、この若者向けCMの制作現場にFNNのカメラが独占密着した。CMを企画したのは、若手の政府職員で、きっかけは、「緊急事態宣言」を再び出す契機となった年末年始のクリスマスや忘年会などによる若い世代の感染拡大だ。

政府が「緊急事態宣言」の再発令を決定した1月7日の首相会見の前夜、ある政府関係者はこのように危機感をあらわにしていた。

「東京の感染者数で顕著なのが若い人だ。年代別の感染者数でみても、30代以下の感染者数が5割から6割に増えている。若者に対するメッセージをどれだけ訴えられるが重要なのに、今の総理は発信が弱い」

また、首相周辺も「若者への発信が一番難しい。どうしたらいいのか」と、感染につながる行動を控えるよう若者世代に伝える方法に苦慮する中、会見で菅首相は次のように呼びかけた。

「若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることはありません。しかし、若い方々への感染が更なる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんの御両親や祖父母、御家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために御自身のことと捉えていただいて、行動をお願いしたい」(1月7日、菅首相会見)

政府関係者が「公徳心に訴えるしかない」と解説したこの菅首相の発言は、若者に対象を絞った初の感染予防の呼びかけとして一定の話題となったが、首相の発言だけでは、若者の行動変容になかなか繋がらないとして、内閣官房内で今回のCM制作プロジェクト(「#keep safe forプロジェクト」が始まったのだ。

若手職員の声で変わった政府広報の新スタイル

CM制作を立案した内閣官房で広報を担当する太田瑛介さん(24)は、「紙芝居型の広報がこれまで主流だった。紙芝居型や文字が多い広報だと、若者はSNS上でスキップしてしまう」と同世代ならではの視点を生かし、「かっこよくて、オシャレでキャッチーな作りになるよう、良い意味で“政府広報らしくない”作りにすることにこだわった」と語った。

(※紙芝居型とされる従来の政府広報 【政府インターネットテレビ「会食時の感染予防2」CM】)

また、内閣官房でコロナ対応にあたる鬼頭真沙美さん(26)も、「若者は重症化しないので、自分のためだけでは積極的に対策する気持ちになれないと思った。例えば、夢の実現のためとか、大切な家族や友人、恋人のためにも対策をしませんか?と前向きに呼びかけたかった」と強調した。

そうした狙いを踏まえ、出演者も人気モデルの紺野彩夏さんや俳優の藤間爽子さん・山下航平さんら新進の若手タレントを起用し、「・・・のため」というセリフを重ね「あなたは?」と問いかけるスタイルのCMの骨格ができあがった。

高まる菅首相・西村大臣の期待…広報強化が必要なワケ

そして企画を進めていくにつれ、このCMがリバウンド防止の鍵の一つになるとして、菅首相やコロナ担当の西村経済再生相からの期待が高まっていったという。首相周辺は、「総理は(広報発信に)かなり力が入っている」と述べ、政府が広報発信を強化していく理由について「これまでは『外出しないで』『飲食店は控えて』という呼びかけで分かりやすかったが、これからは、『会食は4人以下』『アクリル板つきの飲み屋さんで』といったきめ細かな呼びかけが必要で、媒体を使うことで徹底的に呼びかけていきたい」と説明した。

「緊急事態宣言」を解除した大阪、兵庫、京都などでは、前週と比べ、新規感染者数も下げ止まり傾向で、感染者数も前週比で増加するなど、早くも感染がぶり返すリバウンドの警戒感が高まっている。若者向けCMなど今後の広報発信強化がどう感染拡大防止に繋がっていくか、その行方が注目される。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 阿部桃子)