新型コロナウイルスの影響を受け、生活がひっ迫する家庭を「つながる」ことで支える新たな形の取り組みが長崎市で広がりつつある。

ニットの帽子にアクセサリー、この世に1つしかない手作り雑貨との出会いの場。2021年2月、長崎市で初めて開かれた「ベッカライマルシェ」。

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訪れた女性:
入ってきてすぐにいろんな作者さんの作品を見て、すごいなって感動した。だから楽しくて

作品を直接手にとってもらえる機会を作家も待ち望んでいた。

出展者:
いったんコロナも落ち着いたのかなと思って活動しようとしてた時に第二波、第三波と来て、(出展予定のイベントが)延期、延期になって悲しかった

新型コロナウイルスの影響でイベントの開催自粛が続く中、作家の背中を押したのが、長崎市のパン屋「ベッカライ長崎」だった。

ベッカライ長崎オーナー・西島直孝さん:
イベントでの出展で生計を立てていた作家たちが本当に困っている状況がわかった

店の空きスペースをイベントに参加する作家に無償で提供している。

ベッカライ長崎オーナー・西島直孝さん:
ただ、参加して頂く方に必ず言っているのは、イベントに出店して(売り上げが)いくら上がっても、100円だけでいいので寄付を、もしよかったらしてくださいと

売り上げの一部を、ひとり親家庭を支援する団体に寄付する予定。出展者と客をつなぎ、そこでの買い物が「応援」にもなる。

訪れた女性:
赤ちゃんのお洋服も沢山買った。それがプラスになるなら私たちも嬉しい。コロナで気持ちが沈むけど、こういうの(イベント)が小さくても、数がたくさんあれば私たちは見に行く楽しみがあるので、頑張ってやって頂きたいなと

アクセサリー作家・田中登喜江さん:
自分の作ったものを手にして喜んでもらう。お客さんの表情を見てやっぱり嬉しい。ぜひこの活動に関しては定着化してマルシェも、毎月1回、寄付型の長崎の活性事業として楽しく頑張っていけたら

手渡しすることで相談に乗れる

「ひとり親家庭福祉会ながさき」が2カ月に1回ほどのペースで続けているのは、生活に困っている家庭への食料や学用品などの無償提供。
親子のささいな変化を見落とさないようにあえて「手渡し」している。

ひとり親家庭福祉会ながさき・山本倫子事務局長:
一番大事なのは来ていただくことで、前回来て頂いた時より、子どもの様子がおかしいなとか、お母さんの調子が悪そうだなとか、その場で声を掛けて相談を受けている

取り組みは企業や個人の寄付が支えている。
長崎県産の豚肉も県養豚協会から贈られた。

ひとり親家庭福祉会ながさき・山本倫子事務局長:
仕事を切られたとか、自分は食事をせずに、子どもたちに食べさせているという意見も。私たちのこの支援は、全員を助けることはできないかもしれないけど、支援を続けることで何かにつながっていくのではと

厚生労働省などによると、国内のひとり親世帯は2016年時点で約142万世帯といわれている。
親が非正規雇用の場合も多いひとり親家庭の生活は、新型コロナの影響で一層、ひっ迫している。

「ひとり親支援協会」が全国のひとり親世帯などを対象に行った調査によると、回答があった約1,800人のうち新型コロナの影響で仕事がなくなったりして「収入が減った、もしくは減る見込み」と答えたのは7割を超えた。
同様の調査を行った2020年10月から約3カ月で7.6ポイント増えている。

支援を受ける女性
離婚したのもあるし、私自身も病気があるので、仕事もパートなので助けてもらっている

支援を受ける女性
私自身は仕事を休まなきゃ、とかはなかったけど、こういう活動がもっと広がってくれるといいなと思います

ひとり親家庭福祉会ながさきでは、2020年12月から132世帯への食料支援を行ってきた。
しかし、1月からは新型コロナの影響で仕事を失ったなどの相談が相次いだため、追加で約370世帯への支援にも乗り出している。

ひとり親家庭福祉会ながさき・山本倫子事務局長:
行政は国や施策で動いているので、そこの部分でしっかり支援をしていただきたいと思う。そこから漏れる方たちを民間の企業や団体が力を合わせて支援ができれば

ベッカライ長崎オーナー・西島直孝さん:
イベントも定期開催で継続することで、継続したひとり親家庭の方への支援をしていくことが主眼。ただ、私たちだけでなくて地域の方々、ほかのイベンターの方々もイベントする時に少し頭の片隅に社会貢献で生活弱者と呼ばれる方に何か寄付するとかそういうことにつながっていけば

ひとり親家庭をサポートする支援の輪が少しずつ広がっている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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