「激安の殿堂」改め、近頃は「驚安の殿堂」というキャッチコピーを掲げるディスカウントストアのドン・キホーテが、今度は「ダメ出しの殿堂」として商品の改善点を大募集し始めた。

ドン・キホーテは2月24日から「ダメ出しの殿堂 ドン・キホーテ-情熱的改善要求-」というサイトを新設し、同月にリニューアルしたPB=プライベートブランド「情熱価格」のダメ出し募集をスタートした。

「情熱価格」とは2009年から展開しているPBで、国内外のメーカーと手を組みこれまでに3900以上の商品をラインアップしてきた。
しかし、ドン・キホーテによれば、安さばかりを追い求めた姿勢になり、“ドンキらしさ”の見られないPBになってしまったという。
そこで、一同猛省して「情熱価格」をリニューアル。
会社の所有物としての「プライベートブランド」ではなく、客と一緒に商品をつくる「ピープルブランド」へ変革すると宣言した。

こうして作られた「ダメ出しの殿堂」サイトでは、7点の商品(今後増加予定)をピックアップし、それぞれ「売上が年々落ちています」「おいしいけど、売上が伸びないんです」など、マイナスポイントまで赤裸々に公表。
さらに「パッケージの嫌なところを教えてください」「価格にダメ出しをください」など消費者側からのダメ出しを投稿1回に付き140文字以内で募集している。
一方で、商品の1つ、PC&タブレットの紹介には「正直すごい売れてます」とも書かれていてダメ出しの必要があるのかと思う商品もある。
その他、執筆時点でダメ出しを募集しているのは「ネットワークカメラ」「枕」「トイレ洗浄スタンプ」「緑茶」「ベビーチーズ」「ミックスナッツ」だが、そもそもなぜダメ出し募集をすることになったのか?またダメ出しで改善された商品はいつ登場するのか?
ドン・キホーテの担当者に聞いてみた。
商品開発が壁にぶつかっていました
――なぜ「ダメ出し」を募集した?
今までは、自社のメンバーのみで商品開発を行ってまいりました。
ドンキを愛するメンバーが考えることでドンキらしい商品が生まれていた一方、ドンキらしさである「驚き」の追求において、壁にぶつかっていたことは否めませんでした。
そこでこれからは、お客さまと共に「驚きのニュース」を生み出すことで新たな「ドンキらしさ」を創りたい。
我々がまだ気づいていない、しかしお客さまは感じている課題に耳を傾け、商品開発に取り入れる事でより一層魅力的な「驚きのニュースをもった商品開発」を実現したいと思い、ダメ出し募集を開始するにいたりました。

――激安PC&タブレットの紹介は「正直すごい売れてます」…ダメ出し いらないのでは?
単に売れていれば良いということではなく、その商品を通してお客様に、どれだけワクワクドキドキしていただけるかが重要であり、売れている商品であってもお客様のダメ出しを元にさらに「驚きのニュースをもった商品」にアップグレードしていきたいと考えております。
――ダメ出しを生かした商品はいつ登場する?
商品や要件によって異なりますが、ダメ出しを受けた内容をもとに商品企画会議を行い、驚きと実現性を基準に開発商品の選定をして、その時点から3ヶ月~半年程度になるのではと考えております。
担当者が驚いた投稿も
――社内・社外で「ダメ出し募集」の反響は?
社内反響:現場からは概ね良好な意見が届いています。
社外反響:賛否それぞれあり、忌憚のないご意見を多数いただいております。
――どんなダメ出しが寄せられている?
仕様に関するご意見から、パッケージデザイン、価格など幅広いご意見をいただいております。
常に最善を尽くし商品開発を行っておりますが、「価格が高い」「デザインがダサい」など予想していたダメ出しについては「やっぱり」と思う部分もございます。
しかし、「安い」「使いやすい」などダメ出しを募集していて「賛辞の声」が散見されるのには驚きました。
賛辞のご意見も自社内だけでは気がつかない「評価していただいているポイント」に気が付く事ができるので今後の商品開発に取り入れていきたいと考えております。
現在は7点だが、ドン・キホーテでは他にも新商品に対する要望やアイデアを受け付けている。
ドン・キホーテが好きな人はこの機会に愛のあるダメ出しをしてみてもいいかもしれない。