東日本大震災後、岩手・陸前高田市を中心に被災地を訪れているフォトジャーナリスト・安田菜津紀さん。震災から10年を前に、中高生や大学生を対象に防災をテーマにしたオンラインツアーを開いた。

地震や津波から命を守る 全国の中高生と「防災」学ぶイベント

宮城県・福島県 最大震度6強を観測
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2月13日深夜、宮城県と福島県で最大震度6強を観測する地震が発生。
県内でも一関市で小屋が倒壊したり、市内で約2万戸が一時停電するなどの影響が出た。

陸前高田市では、津波を経験した漁師があの日の事を思い出していた。

漁師・菅野修一さん:
10年前が一瞬戻った感じで、またこれは、とんでもないものが来るのかなと飛び起きて。幸いあの程度で済んだから

10年前の東日本大震災が…

多くの人が改めて地震の怖さを痛感させられた翌日、ある「防災」のイベントがオンラインで行われた。

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん:
昨日の夜から心の中がザワザワしたり、不安に感じてる方々いると思いますが、押し込める必要はなくて、こういうことが心配だ、こういうことが不安だということを、ぜひ分かち合ってください

参加者へ優しく語り掛けるのは、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん。

安田さんは震災直後から被災地に足を運び、街の復興や前に進む被災者を記録してきた。

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん

その安田さんが近年、力を入れている活動が、全国の中高生などを被災地に招き、地震や津波から命を守るための「防災」を学ぶイベント。

しかし、新型コロナウイルスの影響で被災地に集まることができなかったため、2021年はオンラインでの開催となった。

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん:
忘れないために私たちが今何をすべきなのか、何を学んで何を大切にしていくべきなのかということを、今日は分かち合っていく時間にできればと思っています

講師は被災3県の人々 それぞれの立場で伝える「命を守る」

イベントには、全国の中学生から大学生まで約60人が参加。
講師は、これまでに安田さんが取材をしてきた被災3県の人たち。

次女を大川小学校で亡くした佐藤敏郎さん:
「マニュアルに頼るな」ではなくて、「本気でマニュアルを作れ」ってこと。命を守るためのマニュアルかどうかということを、もう1回点検する必要があると思っています

それぞれの立場で、命を守る大切さについて伝える活動をしてきた。

岩手からは、陸前高田市の防災士・佐藤一男さんと、高校2年生のあかりさん親子が、自宅の災害公営住宅から参加。避難所や8年間続いた仮設住宅の生活について話した。

高校2年生・佐藤あかりさん:
(仮設住宅の時は)同級生との家の差がすごくストレスになっていたんですけど、そのストレスを緩和できるのが地域交流だと思っていて

防災士・佐藤一男さん:
避難所運営をしながら考えたのは、災害が発生するから問題が発生するんじゃないんですよ。普段の生活の中で、“なぁなぁ”で何とかやり過ごしていた問題が、噴き出す。それが避難所生活です

県内で最大5万4000人以上が過ごした避難所生活では、女性への配慮不足や障がい者・妊婦の対応など、さまざまな問題があった。

震災当時の避難所生活

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん:
非常時こそ、日常に何をしてきたかが問われると思いますが、例えば自分たちの学校が避難所になるかもしれないわけですよね。本当に備蓄とか避難所になった時のことが想定されているのだろうかということを、確認することも1つかなと思います

起こりうる災害…大切なことは「人づくり」

参加者は、佐藤さん親子のような身近に起こりうる避難生活や、未来の子どもに伝えたい教訓などを通して「命を守る大切さ」を学んでいた。

参加者:
自分たちの問題として“自分事化”して、日頃から準備しなければいけないんだなということを、改めて学ばせていただきました

参加者:
実際に会ったり、会話したり、活動を共にすることで、災害の時も助け合いができる

例年のように現地で交流はできなかったが、安田さんは参加者の感想に手応えを感じているようだった。

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん:
防災って、よく「街づくりも大切だけど、人づくりも大切」と言われると思うんですけど、非常時に急にできるということはなくて、日常的に意識できるようになるということが復興の形だと思います

「東日本大震災」からまもなく10年。
いつどこで起きてもおかしくない災害に備え、安田さんは若者たちと防災を考え続ける。
未来の笑顔を守るために。

(岩手めんこいテレビ)