「大好きな双海を盛り上げたい」と移住を決意

祖父母が住む大好きな愛媛・伊予市双海町を盛り上げたいと、関東から移住した現役女子大学生がいる。
あふれる地元愛で、新しい年・2021年も挑戦を続ける。

瀬戸内を臨む海岸線沿いに位置し、穏やかな海と豊かな山に抱かれた伊予市双海町。夕日の名所として全国でも有名なこのまちに、関東から移住してきた若者がいる。

穏やかな海と豊かな山の町に移住したのは…
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上田沙耶さん:
【朝のさっぱり】って、【目が覚める】みたいなこと書いとけば、酸っぱいってのは分かるけどね。それを見てさ、わかんない?

冨田敏さん:
わかんねーよ

井上摩耶さん:
いや、朝 = 酸っぱいってわかる?

上田沙耶さん:
わかんないの?

熱く意見を交わす上田沙耶さん、22歳。
実は東京の青山学院大学の4年生で、祖父母が住む大好きな双海を盛り上げたいと、2020年4月、現役大学生ながら移住を決意。「地域おこし協力隊」に就任した。

「地域おこし協力隊」に就任した上田沙耶さん

上田沙耶さん:
きょうはですね、このジュースのパッケージデザインをします

上田さんがこの日考えていたのは、双海産ミカンジュースのラベルデザイン。
地元の農家とタッグを組み、小さかったり、割れたりして出荷できない規格外のミカンを使ったジュースを新しく作った。

双海産ジュースのデザインを考える上田沙耶さん

上田沙耶さん:
全て悩んでます。双海のミカンがブランド化されてるわけじゃないから、デザインの力で表現して選んでもらえるかっていう。その先に、自分が好きな双海の魅力が伝えられたらいいなみたいな感じですね

新しいジュースの「顔」ともいえる大切なデザインを一緒に考えるのは、松山に住むいとこ・井上摩耶さん(22)と、広告マンの経験を持つ、地域おこし協力隊の先輩・冨田敏さん(55)。

冨田敏さん:
(上田さんは)猪突猛進というかね。手あたり次第やってみようって、そこは本当に尊敬します。その勢いに町内の人も押されて、応援しようって人はいっぱいいるので

どんな人に買ってほしいか。双海らしさをどう出すのか。
思いついたことをペンや折り紙を使って、実際に試す。

上田沙耶さん:
かわいいですね

井上摩耶さん:
でも悩ましいね

デザインを絞り切れない上田さんたち。写真を撮り始めた。

上田沙耶さん:
これは投票をします。今からインスタグラムで

インスタグラムでデザインの意見を募集

井上摩耶さん:
行き詰まった時は、世論

大学生ならでは! SNSで、多くの人からの意見を一気に聞く作戦だった。
さらには、地元の人たちの意見も聞いてみる。

地元の人:
個人的には、これおしゃれ

上田沙耶さん:
ありがとうございます

地元のミカン農家・橋本勲さん:
なくてはならん存在と言うか、来てくれて、すごく今までやってきた考え方が、がらっと変わったというか。作ったわが子を育ててくれてるような、そんな感じがして、すごく頼もしいです

双海に新しい風を吹き込み、上田さんがたどり着いたデザイン。

“目覚めの一杯”朝日をイメージしたデザイン

上田沙耶さん:
海と太陽で、太陽とミカンかけてます、双海らしく。極早生(ごくわせ)は酸っぱい酸味があるので、目覚めの一杯ということで朝日をイメージして。爆売れしたらいいですね、ははは

初めての人ともすぐ打ち解け…人懐っこさも魅力

「日本で一番海に近い駅」と言われ、映画やドラマのロケ地としても有名な「JR下灘(しもなだ)駅」。

「日本で一番海に近い駅」JR下灘駅

2020年12月、この駅のそばに上田さんの姿があった。

上田沙耶さん:
この前作った、ふたみファームのみかんジュースです。あとはミカンジャム。これも農家さんが作ってる。実店舗販売ってのもやってったら、認知度が広がっていいかなと思って

テーブルに並べていたのは、デザインを手がけたミカンジュースに、名物・ハートのじゃこ天や老舗のしょうゆなど、双海自慢のお土産品。これまでは、インターネットを中心に販売してきたが、作り手の思いなどを直接伝えることで双海ファンを増やそうと、愛媛県内、そして全国から訪れる人が多い下灘駅での販売に挑戦した。

下灘駅で双海自慢のお土産品の販売に挑戦

お客さん:
おしょうゆ買う?

上田沙耶さん:
ありがとうございます。ミカンもあります

お客さん:
おいしい?

上田沙耶さん:
おいしい。甘いめっちゃ

お客さん:
ほんまか?

上田沙耶さん:
ほんまにおいしい(笑)

初めましてのお客さんともすぐに打ち解ける人懐っこさは、上田さんの才能。
一人旅をしていた男性は、友人と電話で話し中だったようで…

上田沙耶さん:
やっほー、元気? どことつながってるの?

一人旅の男性:
筑波です

上田沙耶さん:
筑波? 私も友達住んでる! ジャムめっちゃおいしいですよ、これお土産に持って帰ってあげたら

一人旅の男性:
筑波に?

上田沙耶さん:
食べたいよね? ジャム

電話の声:
食べたい

一人旅の男性:
だいぶ買いました(笑) 学園祭の出店みたいで、あったかい雰囲気だなと思います

なんと! この男性、そのまま店番を始めてしまった。

上田さんと打ち解けたお客さんが店番を!

上田沙耶さん:
やっぱ若い力が双海を救うんだよな

一人旅の男性:
若い力が双海を救います

「こんなに発展させる人はいない」

上田沙耶さん:
私のばあちゃんちでお店やってるんですけど、ここでゲストハウスしたいなって思ってます

下灘駅の隣駅・JR伊予上灘駅のすぐそばに、上田さんの祖父母が営む商店とレストランがある。(新型コロナの影響で、レストランは休業中)

上田沙耶さん:
ここの部屋も泊まる部屋にして。親とその兄弟が住んでいた部屋で、今は、もうほんと使ってないので、ただのもてあましでもったいないから

親戚が集まって使うという屋内バーベキュー場も、ゲストハウスに生かしたいという。

上田沙耶さん:
私有地は私有地として持ってるっていうのが田舎の感覚かもしれないけど、それがもったいなくて。私有地を使ってないなら、パブリックに広げていった方が

双海を盛り上げようと情熱を注ぐ上田さんだが、当初 祖父母は移住には反対だったという。

祖母・上田千代子さん:
「ここへ帰っても絶対やっていけれんよ」って言うてね、こんこんとね。主人も反対するしね。相当ね、もめたんよな。これではやれんなっていうくらいは、(人が)減って来とるけど、私らで最後くらいで頑張らななって

上田沙耶さん:
って言いよったから、嫌じゃないですか。人が減ったから終わりっていうのを、ばあちゃんから聞きよって。「いやいや、もったいないでしょ」って。(町の)中におらんのやったら、外から呼んでくればいいんじゃないのって

双海を盛り上げるため情熱を注ぐ上田沙耶さん

祖母・上田千代子さん:
こんな今までいないって言ってね、この田舎へ来てね、こんなにね、どんどんどんどん発展させる人はおらんって、みんなに言ってもらってね。なんとか頑張っとるかなって思ってね

上田さんが双海にほれ込むきっかけとなった場所に案内してくれた。

上田沙耶さん:
最高ですね、何回来ても。めっちゃ海広いじゃないですか。この海を一望できる、絶対誰もがうらやむ場所というか。ここもね、たそがれやすい場所にしたい。例えば芝生敷くとか、コーヒー飲めるとか、夜はビアガーデンできるとか。双海を知ってくれる人も好きになってくれる人も、この場所から増えていくといいなみたいなのがありますね。「上田の家」みたいな。「うち泊まりにおいでよ」って

上田沙耶さんがほれ込んだ双海の海

若きエネルギーの塊・上田沙耶さん。
あふれんばかりの「好き」の気持ちで2021年の、さらに未来の双海をどう変えるのか。その挑戦に注目だ。

(テレビ愛媛)