元死刑囚の妹「兄は絶対にやっていない」…亡くなった兄の意思を継ぎ無罪を訴え続ける

1961年三重県名張市で、女性5人が殺害された「名張毒ぶどう酒事件」で、冤罪を訴え続けた奥西勝元死刑囚が亡くなって5年が過ぎた。今も91歳の妹・岡美代子さんが、その意思を引き継いで再審を求めている。

しかし、本人の死後に再審を請求できるのは、直系の親族などに限られ、美代子さんが最後の1人の見込み。その美代子さんは2020年11月10日で91歳になった。

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墓を手入れする岡美代子さん(91)。2015年に無罪を訴え続けながら獄中死した兄・奥西勝元死刑囚(享年89歳)がここで眠っている。岡さんは「絶対、兄はやってませんわ」と無実を信じて疑わない。

1961年、懇親会に参加した女性5人が殺害された「名張毒ぶどう酒事件」。

警察は「ぶどう酒に農薬を入れた」と自白した奥西元死刑囚を逮捕。しかし、逮捕直後に供述を一転し、無罪を主張。

一審は「自白に信用性がない」として無罪判決を下すも、二審で逆転の死刑判決が下されると、1972年最高裁で死刑が確定した。

その後も獄中から、再審=裁判のやり直しを繰り返し求めたが、9回目の再審請求中だった2015年、収容先の八王子医療刑務所で、息を引き取った。

兄の死後、美代子さんはその遺志を引き継ぎ、現在10回目の再審請求の異議審に臨んでいる。

しかし、本人の死後に再審を請求できるのは直系の親族などに限られ、美代子さんが最後の一人の見込みだ。2020年11月10日で91歳になった。

岡さん:
みんな頑張ってくれてはんので守ってや。私、亡くなったら終わりやで。長生きさせてや

「名張毒ぶどう酒事件」に新展開 瓶に貼られた紙の再鑑定結果

2020年10月、新たな動きがあった。「封かん紙」の、のりの成分に関する再鑑定の結果に、弁護団は「再審の扉を開く結果が出た」と主張する。

事件では、懇親会で毒の入ったぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡。

このぶどう酒が入った瓶の蓋に貼られていた封かん紙から、“製造時のり”の他に、当時一般家庭で、文房具や洗濯用として使われていた“家庭用のり”の成分が、明確に検出されたとしている。

名張事件弁護団:
酒瓶がいったん開けられ、貼り直されて、一度も開けたことがないように偽装されたことが明らかになった

有罪の決め手となったのは、「公民館で1人になった10分間に、火ばさみで封かん紙を破り、ぶどう酒の王冠を歯で噛んで開け、毒物を混入した」とする自白。

しかし弁護団は、「再鑑定の結果から、公民館に持ち込まれる前に、別の人物が瓶を開け毒を入れ、封かん紙を貼り直した可能性が高く、奥西元死刑囚の自白と矛盾。これに基づき、裁判所は再審開始、無罪の方向に動いてほしい」と主張する。

「残された時間は、長くない」事件から59年…「重い扉」は開かれるのか

名張事件弁護団:
残された時間は、長くない。岡さんが元気なうちに、兄・奥西さんの名誉を回復させる

発生から59年。奥西元死刑囚の死から5年が経った「名張毒ぶどう酒事件」。再審の重い扉は開かれるのか。

岡さん:
(再鑑定の提出という)こんなええこと聞いて、はよ死んでられんわ。みんなが頑張ってくれてはるのに、私がいかんようになったら本当に申し訳ないです。絶対兄はやってないから

(東海テレビ)