商業施設での女性殺人事件 逮捕された少年から届いた手紙

2020年8月、福岡市の商業施設で起きた女性殺人事件。
検察は、殺人容疑などで逮捕された少年を2020年12月、家庭裁判所に送致した。

テレビ西日本は、少年から手紙を受け取った関係者に接触。
これまで明かされることがなかった少年の生育過程が浮き彫りになって来た。

少年から手紙を受け取った男性:
手紙が来たよ。A男から。こんな大変なことをしてしまって、ご迷惑をかけてしまい、また傷つけた相手にも本当にどうしようも無いこと、一生かけても償えないような感じですって

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テレビ西日本の取材に応じた男性。

殺人容疑で逮捕された少年の幼少期をよく知る人物で、事件後、少年から「1通の手紙」を受け取っていた。

その手紙には、これまで明かされることがなかった「少年の心情」が綴られていた。

少年から手紙を受け取った男性:
もう自分でも何しているか分かんなかったって。その人を殺そうとか一切思ってない。友だちになりたいから。ただ、もう無我夢中になってやってたみたい

更生保護施設を抜け出し事件を起こした少年

中央警察署 棟杉邦哉署長:
本日、被疑者を殺人で通常逮捕致しました。中学生、A男、15歳

少年は2020年8月、福岡市の商業施設に買い物に訪れていた当時21歳の女性を包丁で刺し殺害したとして、殺人の疑いなどで逮捕された。被害者の女性と面識はなかった。

現場を目撃した人:
通路に出たら犯人がちょうどいて、血まみれの包丁みたいなものをタオルでぐるぐる巻きにして持っていた

少年は、事件の2日前に九州の少年院を仮退院。
引き取り手がいなかったため、県内の更生保護施設に入所していた。

しかし、その翌日に施設を無断で抜け出して事件を起こしたとされている。

少年から手紙を受け取った男性:
手紙に書いてたけど、(施設が)嫌だったって、もう、すぐにどっか行きたかったって

背景には…複雑な家庭環境に学校では暴力行為も

事件後、手紙を受け取った男性は少年について、「どこにでもいるような活発な男の子だった」と話す。

少年から手紙を受け取った男性:
非常に賢くて、優しくて、すごい活発で、自分ともよく釣りに行ったり、サイクリング行ったり普通の子でしたよ。海に行ったり、山に行ってクワガタを見つけに行ったり、釣りに行ったりそういうことばっかりしてたよ

九州の小さな集落で3人兄弟の末っ子として生まれ育った少年。
その家庭環境は「普通」ではなかった。

少年から手紙を受け取った男性:
(母親が)息子に対して、包丁振り回したり、息子が、朝ご飯をせがんだら「何で起こすんだ、くそガキが!ぶっ殺すぞ、お前」って(母親に)言われたらしい。家の中では愛情もくそもなかったね

少年は小学校でも孤立していた。

少年から手紙を受け取った男性:
学校でも上手くいかないで、目立って、暴れたりとか、授業もちゃんと受けない。先生が嫌いだから、施設に入った方がいいんじゃないかって。先生が「また、あんた嘘ついたね」とか信じてくれなかったとかあったみたい。それで、もう先生の言うことも聞くのが嫌になったりとか

少年は小学校の高学年になる前に児童養護施設に送られたが、「暴力行為」が原因で施設を転々とする。
その間に両親は離婚。

そして、施設で職員に暴力を振るったとして2019年、少年院に送られた。

少年から手紙を受け取った男性:
先生とかにすごいいじめられたって。それで手をあげたみたい。すごいいじめられたって、押さえつけられたりとか。あいつは向かっていくタイプだから、怖いとかそういうのない。母親も、もう手に負えないと思ってるからさ

家庭、学校、施設。
どこに行っても“少年の居場所”が見つかることはなかった。

少年から手紙を受け取った男性:
連絡をくれれば、俺が何とかしたのにって。そこが、もう俺自体、悔いが残るところだね

手紙の最後には…「どんな子でも楽しく生活できる施設の社長になりたい」

少年からの手紙の最後にはこう書いてあった。

「社会に出ることがあったら誰でも気軽に入れる施設の社長になりたい。どんな子でも楽しく生活できる。そういう施設を作りたい」

少年からの手紙
少年からの手紙

少年は、刑事責任能力や精神状態を調べる約3カ月間の鑑定留置を終え、2020年12月24日、検察は少年を殺人などの非行事実で家庭裁判所に送致した。

家庭裁判所は今後、大人と同じように裁判にかけるか保護処分にするかを決めることになる。

(テレビ西日本)