時計とビスケット 不思議な組み合わせのサービスが話題

腕時計の修理を頼んだところ、送られてきた郵送用の箱になぜかビスケットが入っていた…そんな“不思議現象”が今、Twitterで話題になっている。

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話題となっているのは、愛知県名古屋市に本社を置く時計修理業者、株式会社修理工房。
とあるtwitterユーザーがインターネットから腕時計の修理を依頼したところ、時計を郵送するための箱が送られてきたが、その中に一枚のビスケットが入っていたという。

投稿には、同封されていた梱包手順などが記された説明書に「ビスケットが欠けていた場合は、配送経路になんらかの支障があるかもしれませんのでご相談ください。ビスケットは細やかなお礼として差し上げます」との説明が書いてあったという。

twitterには「安心して任せられるし、おしゃれ」「すごい気配り!」とのコメントが続々寄せられ、たちまち話題となったこの取り組み。
しかし気になるのが、実際にコメントにもあったように「ビスケットって結構割れやすいよね?」ということ。
さっそく、修理工房にこの取り組みについてお話を聞いてみた。

割れていたことは?「月に2件ほど」

――この取り組みはいつから続けている?

2012年2月から続けています。「見積もり依頼申込書」「返送用着払い伝票」「梱包用テープ」のほか、お時計を衝撃から守る2枚のスポンジに、無色透明の「保護パック」、その中に「ロータス社のビスケット」を挟んでいます。もしも、ビスケットが欠けていた場合は、配送経路に何らかの支障があるかもしれませんので、返送を取りやめ、弊社へのご連絡をお願いしております。

――実際にビスケットが割れていた…ということはある?

月に2件ほどあります。その場合は、通常ゆうパックを使用しておりますが、別の配送業者さまからの発送に切り替えるなどの対応をしております。


修理工房によると、この「ビスケットを入れた梱包パック」は
・時計の輸送ルートの安全性の検証
・無料郵送パックを申し込んでもらったことへのお礼
・時計を入れるときの一番安全な位置を明確にする

といった意味合いがあるそう。

このサービスは長年続けてきたもの。一カ月に2件ほど「ビスケットが割れていた」という報告が寄せられるとのことだが、そうした場合は配送方法を変える対応をしているという。

また、梱包パックが届いたときにビスケットが割れていても「もし気にされないようでしたら、そのまま梱包して送っていただいても大丈夫です」とのことだったが、これまでに配送が原因となったトラブルは「1件もない」そうで、大切な時計を預けたいと考えている人は安心していただきたい。

――SNSで話題となったことで、何か変化はあった?

月に500件ほどの修理依頼が寄せられていますが、3日間でこれまでの1カ月分の依頼をいただくなど、大きな反響をいただいています。


ちなみにこのビスケットは、ベルギーの菓子食品メーカー・ロータスベーカリ―から発売されている「ビスコフ」という商品だが、この「ロータス(=蓮)」が「輪廻転生の象徴」であることから、「力尽きたお時計にふたたび命を吹き込むのが、私たち時計修理工房の使命とお考えいただければ幸いです」と語っている。

反響に輸入代理店からも“プレゼント”が…

さらにこの「ビスケット入り梱包パック」は意外な方向にも広がりを見せた。

このサービスが話題になったことで、なんと、「ビスコフ」の輸入代理店である伊藤忠商事株式会社から、通常使用しているカラメル味と、チョコのかかったタイプの2種類・600枚以上の「ビスコフ」が贈られたのだ。

この“プレゼント”に、修理工房は公式ブログにて「窓口に直接お越しくださいましたお客様にも、この度の流れをご紹介すると共に、お召し上がりいただくなど、おもてなしとして有り難く活用させていただきます」「これからも、ロータス ビスコフ カラメルビスケットに、お世話になります。何卒よろしくお願い申し上げます」と紹介している。


――この反響について

本当にありがたいという言葉に尽きます。我々を信頼して時計を預けてくださっているということに対して、不備のないよう努めさせていただきたいと思います。
 

時計の修理工房とベルギーのビスケット、全く関係が無いように思えた、話題のサービス。
利用者の安心を守るだけでなく、その“バズ”が意外な企業同士の架け橋にもなったようだ。

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プライムオンライン編集部
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