今の臨時国会で最大の焦点となっている食料品の消費税減税法案が衆院を通過した。しかし、本会議での採決では、自民党内から退席して棄権する議員も出る事態となった。論戦の舞台は参院に移るが、与党が圧倒的多数を占める衆院とは異なり、少数与党の参院では与野党の攻防が激化するのは必至だ。
4議員の棄権に高市総理「コメント差し控える」
「個々の議員の採決における行動であるので、政府としてコメントをすることは差し控えさせていただく」
本会議での採決で自民党内から棄権する議員が出たことについて、高市総理大臣はこう語った。
食料品の消費税減税法案は、6日の衆院本会議で採決が行われ、与党の自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。衆院に議席を持つ全ての野党が反対した。
法案は、食料品の消費税率を来年4月から2年間、8%から1%に引き下げることが柱だ。1989年の消費税導入後、税率の引き下げは初めてとなる。
本会議での採決に先立ち、石破茂前総理、小渕優子元経済産業大臣、船田元衆院議員、古川禎久元法務大臣の4人が退席し、採決を棄権した。
これに対し、高市総理は記者団の取材に対し、自民党総裁として4人の処分を検討するか問われると、次のように述べるにとどめた。
「ここは官邸なので、あくまでも内閣総理大臣としての立場だ。コメントは差し控えさせていただく」
自民党執行部は、党議拘束は重く、「看過できるものではない」として、4人に対し、文書で説明を求めていて、その内容次第で対応を検討する方針だ。
増える“賛成派” 10月調査で6割超
それでは、食料品の消費税減税について、有権者はどう見ているのか。
10月17日・18日に実施したFNNの世論調査では、食料品の消費税減税について62.6%が「賛成」で、「反対」の32.6%を大きく上回った。8月の調査では、食料品の消費税減税に「賛成」は52.9%、「反対」は40.6%。続く9月の調査では、「賛成」が58.3%、「反対」が35.0%だった。“賛成派”の割合が増えていることが分かる。
一方、10月の調査では、物価高対策として「効果がある」と答えた人は、「大いに(6.0%)」「ある程度(40.6%)」を合わせて46.6%。これに対し、「効果はない」とした人は、「あまり(42.4%)」「全く(9.8%)」を合わせて52.2%で半数を超えた。9月の調査では、「効果がある」と答えた人は、「大いに(5.3%)」「ある程度(41.3%)」を合わせて46.6%。「効果はない」とした人は、「あまり(42.7%)」「全く(9.9%)」を合わせて52.6%だった。物価高対策としての効果について、一定程度の人が疑問を持っていることは間違いない。
ただ、ここで注目したいのは、若い世代の受け止め方だ。10月の調査結果について、年代別に見てみると、食料品の消費税減税に「賛成」と答えた人は、次の通りだ。
18~29歳 75.9%
30代 68.1%
40代 59.6%
50代 65.3%
60代 65.6%
70歳以上 52.3%
そして、物価高対策として「効果がある」と答えた人は、以下の結果だった。
18~29歳 62.6%
30代 56.4%
40代 43.0%
50代 47.6%
60代 48.0%
70歳以上 35.4%
若い世代ほど食料品の消費税減税に“賛成派”が多く、物価高対策としての効果に期待していることが見て取れる。これは9月の調査結果でも同様の傾向だった。
財源「明確に示すべきだ」8割超
財源を明確に示すべきだと求める人も多い。9月の調査で、消費税率を引き下げる際に、政府は必要な財源を「明確に示すべきだ」とする人は82.2%。10月の調査でも、法案を今の国会で審議する際に、政府は必要な財源を「明確に示すべきだ」と思う人は80.9%だった。
国会審議の中で、政府は、必要な財源に加え、中低所得者の負担軽減のために導入する「就業者負担軽減支援金」の対象範囲について明確には示していない。野党幹部の1人は「高市総理に詳細をもっと問いただしたかったが、国会審議になかなか出てきてもらえない」と話す。
自民党と民主改革の会の国会対策委員長が4日、国会内で会談し、消費税減税法案を審議する衆院財務金融委員会で、6日に高市総理が出席して質疑を行うことで合意した。ただ、総理出席の質疑時間については、当初、民主改革が求めていた2時間は受け入れられず、最終的に1時間となった。
会談後、民主改革の後藤国対委員長は記者団の取材に対し、次のように苦しい胸の内を吐露した。
「これが今の4分の1の野党の力の限界だと思う。本当は2時間欲しいところではあるが、せめてその時間全て野党でやらせてくれということぐらいが今の我々の数の限界だ」
11日に審議入り 参院では少数与党
消費税減税法案は、参院では、11日の本会議で審議に入る予定だ。6日に自民党と合意した立憲民主党の斎藤国会対策委員長は、記者団の取材に対し、「衆院の審議の中で、法案の全体像が明確に示されているわけではない」とした上で、次のように強調した。
「参院の方で足らざる部分は補って、百家争鳴な議論ができるように努めていきたい。わずか1時間で、(高市総理が)自ら悲願だと言っている法案について採決に至るのは本当に消化不良だ。参院では、総理には時間を取って出てきていただいて、その思いをお話いただきたい」
参院では、法案を審議するための特別委員会が新たに設置されている。自民党の議員が委員長を務めるが、委員は与党が19人で、野党の20人を下回る。さらに、参院全体でも、与党は過半数に4人足りず、賛成する方針の日本保守党の2人を加えても届かない状況だ。そのため、国民民主党や公明党など野党から賛成を取り付けられるかどうかが焦点となる。

先述の取材の中で、高市総理は、どのように野党の理解を得て法案の成立につなげていく考えかと問われ、次のように語っている。
「質疑を通じて、丁寧に説明を続けていくということだ。真摯に、丁寧に説明をさせていただくということだ。この法律案は自信を持って提出をしている。その意義、効果についてしっかりと説明をさせていただく」
高市総理が今後、国会でどのような説明を行うのか、そして反対から賛成に転じる野党が出てくるのか、さらには自民党内から採決を棄権する議員が出てくるか、その行方には注目が集まりそうだ。
(フジテレビ政治部デスク 木村大久)

