いつか必ず起きる南海トラフ地震から命を守るためにカギとなるのが「住宅の耐震化」だ。
熊本地震では倒壊などの住宅被害が多数発生し、多くの人が避難所生活を余儀なくされている。
南海トラフ地震が発生したら高知県内だけで最大20万4000棟が全壊する見込みだ。自宅で命を落とさないため「耐震化」について改めて考える。
南海トラフ地震の被害想定
2026年で昭和南海地震から80年。南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくない状況だ。
高知県が2026年に公表した南海トラフ地震の被害想定によると、最大クラスの地震が発生した場合、県全体の死者数は約2万3000人で、これまでの4万2000人から2万人近く減っている。
一方で、建物の倒壊による死者数は5200人から8200人に増えている。
県が最新の地形データや揺れに弱い「軟弱地盤」の特性などを踏まえて解析したところ、最大震度7を観測する地域を含む市町村がこれまでの26から33に増えた。
震度7を観測する面積が増えたことで、揺れで全壊する見込みの建物が8万棟から最大13万6000棟と大幅に増加した。
住宅耐震化の現状と補助制度
県内の住宅耐震化は進んでいるのだろうか。
「住宅の耐震化率は2026年3月末時点で90%と推計している」。
県土木部・橋本知世住宅課長は現状をこう語る。
県が20年程前に始めた木造住宅の耐震化促進事業。建物の耐震性を確認する「耐震診断」、地震の揺れに耐える構造に設計する「耐震設計」と「耐震改修」にかかる費用を補助している。
補助には条件があり、対象となる木造住宅は耐震診断がほとんどの市町村で自己負担額ゼロになる。
耐震設計は最大35万6000円、耐震改修は最大165万円の補助が受けられる。
県内の耐震改修の件数は10年前の熊本地震発生後に増加。その後、能登半島地震を受けてふたたび増え、2025年度は1842件の工事が行われた。
平均工事費は173万円で、4割以上が補助により自己負担なしで実施できたという。
県は2026年度、耐震診断を補助する木造住宅を「1981年5月31日以前」から、「2000年5月31日以前」の住宅に拡充した。2035年度までに耐震改修のおおむね完了をめざしている。
「あす起こるかもしれない地震」
「ご自身の命を守るだけでなく、避難や救助のさまたげにならないという意味で周囲の方の命にも関わってくる非常に重要なものだと思っている。あす起こるかもしれない地震であるため、みなさまにはぜひ耐震化を検討していただきたい」と橋本知世課長は語る。
耐震化率は90%と高い印象もあるが、この数字には空き家が含まれていない。空き家の倒壊対策や、高齢者が住む木造住宅の耐震化促進にどう取り組むかも課題だ。
高知城の耐震化も
高知城も耐震化に向け動き出している。県は2026年9月、耐震化にむけて基本計画を策定した。
本丸を囲む塀や黒鉄門などを解体修理し、天守や追手門の屋根をふき替える。2027年度に耐震診断を始め、修理と耐震補強の完了は2046年度を見込んでいる。
耐震化の補助制度や申請方法などは市町村によって違う。詳しくは県住宅課や各市町村の窓口で確認してほしい。
【県住宅課 HP】
https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2025071200034/
