宮崎県立美術館で今、動物たちの生き生きとした躍動感に満ちた作品展が大きな注目を集めている。描いたのは、自閉症という個性を持ちながら、独自の視点で動物たちの「心」をキャンバスに写し出す動物画家・石村嘉成さん。会場を埋め尽くす色鮮やかな作品の数々には、一体どんな物語が隠されているのだろうか。石村さんの創作の原点や、宮崎への特別な思いに迫る。
生命力に満ちた動物たちの世界
宮崎県立美術館で3月から5月10日まで開催されている「動物画家 石村嘉成展〜命の色彩〜」。

会場には350にのぼる色鮮やかな作品が展示されている。

動物たちの生き生きとした表情を独自の世界観で描いた作品の数々。

動物たちが今にも動き出しそうな躍動感に満ちている。

この日は動物画家・石村嘉成さん本人も会場に姿を見せていた。

石村さんは描く前に「この動物はいったい何をしているんだろう」と、物語の設定を考えてから描く」という。

また、制作において大切にしていることについて「動物の気持ちになって、動物の気持ちを考えて描いています。大切な目の表情を考えて描いています。そこが一番難しいポイントです」と話す。
毎日コツコツと描き続けて十数年。新しい技法や大きな作品にも挑戦している。

会場には30cm四方のキャンバスが壁一面に展示されている圧巻の「生き物たちのワンダーランド」があり、石村さんが描いた様々な年代の作品が並ぶ。

作品展の楽しみ方は、絵画だけに留まらない。会場に展示された、今にも動き出しそうな動物たちの絵画には、それぞれにユニークな説明パネルが添えられている。
例えば、じっと前を向いているハシビロコウの絵には「あまりの空腹に怒っているハシビロコウ、早く獲物が来ないと爆発しそうです」といった親しみやすい解説文があり、鑑賞者は作品の世界観をより深く楽しむことができる。
2歳の頃に自閉症と診断

愛媛県出身の石村さんは、2歳の時に自閉症と診断された。

幼いころから動物に強く惹かれ、高校時代に版画やアクリル画と出会ったことをきっかけに、絵の制作を開始。

父の石村和德さんは「実はどこも息子を受け入れてくれる場所がなく、最初は版画から始めました。絵が上手くなりたいということで、毎日絵を描く『絵日記』を勧めました」と振り返る。会場には、当時の絵日記も展示されている。

そして、「どのお子さんにも色々な可能性があります。どこで何が出てくるか分からない、そんな楽しみがあるのではないでしょうか」と話す。

3月に行われた開会式では、今は亡き最愛の母との宮崎での思い出を話した石村さん。
動物画家 石村嘉成さん:
私が4歳の時、プールや海で母と一緒に遊びました。宮崎は私と母を優しく迎えてくれました。
石村さんは母との思い出を胸に、絵を描き続ける。
フェニックス自然動物園の動物たち
今回は宮崎での開催に合わせ、フェニックス自然動物園の動物たちを描いた作品も。

マサイキリンと、アジアゾウのみどりちゃん。
動物画家 石村嘉成さん:
みんなに愛されるような優しい気持ちを込めて描きました。

カラフルなフラミンゴの絵は「初めての技法に挑戦して描きました。毛の向き、くちばしの硬さを表現しました。何事も新しい技法に挑戦する“パターンくずし”が大切です」と説明する石村さん。

会場には宮崎会場限定グッズの販売や、1階のカフェでは作品展にちなんだコラボメニューも提供されている。
「どのお子さんにも可能性がある」という父・和德さんの言葉通り、石村嘉成さんの作品は、見る人の心を解きほぐし、優しい気持ちにさせてくれる。「動物たちの気持ち」に寄り添い、進化し続ける石村さんの世界に触れられるのは5月10日まで。ぜひ、美術館でその圧倒的な「命の色彩」を体感してみてはいかがだろうか。
(テレビ宮崎)