そのような猫さんの場合、グレインフリーを選ぶこと自体に、明確な健康上の優位性があるとはいえません。
大切なのは、グレインフリーかどうかだけで判断せず、必要な栄養素を適切に摂取できるフードを選ぶことです。総合栄養食であること、愛猫の年齢や健康状態に適していること、そして無理なく食べ続けられることにも目を向けましょう。
キャットフード選びで大切なこと
猫さんは肉食動物ですが、だからといって植物性の原料を一切受け付けないわけではありません。野生のネコ科動物も特定の植物を口にしますし、猫さんにとって穀物が必ずしも有害というわけでもありません。
グレインフリーは、穀物を避ける必要がある猫さんにとって有用な選択肢です。しかし、健康な猫さんにとって、グレインフリーであることがそのまま健康上のメリットにつながるとは限りません。
キャットフード選びでは、原材料のイメージや宣伝文句だけで判断せず、栄養バランスや愛猫さんの健康状態を踏まえて考えることが大切です。そして、忘れてはいけないのが、猫さん自身の好みです。どんなに評判のよいフードでも、愛猫が食べてくれなければ、必要な栄養を十分に摂取することはできません。グレインフリーという言葉だけにとらわれず、愛猫が喜んで食べ、健康を維持できるフードを選んであげてください。
今日もまた、猫の心に寄り添えた気がします。
参考文献:Franck, A. R., & Farid, A. 2020. Many species of the Carnivora consume grass and other fibrous plant tissues. Belgian J. Zool. 150: 1-70
岩崎永治(いわざき・えいじ)
博士(獣医学)。専門は猫の栄養学。一般社団法人日本ペット栄養学会代議員。麻布大学獣医学部寄付講座ペットケア&ニュートリション研究室特任准教授。著書に『和猫のあしあと 東京の猫伝説をたどる』(緑書房)、『猫はなぜごはんに飽きるのか? 猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密』(集英社)

