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「わざと選挙に負けようとしているのでは」著名な選挙参謀もトランプ大統領に皮肉 「大事なのは経済です! 大統領閣下」|FNNプライムオンライン
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「わざと選挙に負けようとしているのでは」著名な選挙参謀もトランプ大統領に皮肉 「大事なのは経済です! 大統領閣下」

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「トランプは、わざと選挙に負けようとしているのではないか」

11月3日の米中間選挙を目前に控え、民主党の著名な選挙参謀、ジェームズ・カービル氏が、ドナルド・トランプ大統領にこんな皮肉を浴びせた。

ジェームズ・カービル氏(資料)
ジェームズ・カービル氏(資料)
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10月8日付の米政治専門紙「ザ・ヒル」によると、カービル氏はポッドキャスト番組で「彼のやっていることは、どれ一つとして選挙に勝とうとしている人間の行動とは思えない。議会の共和党議員たちを困らせたいだけなのか。彼らを憎んでいるのか」と語った。

さらに、「ひょっとすると、彼は正気を失っているのかもしれない」とまで言い放った。

カービル氏は民主党の選挙参謀だから、共和党大統領に厳しいのは当然だろう。しかし、この発言には興味深い背景がある。

金言「愚か者よ、問題は経済なのだ」

というのも、カービル氏こそ、米国の選挙史に残る有名な言葉を生み出した人物だからだ。

「It's the economy, stupid(愚か者よ、問題は経済なのだ)」

1992年の大統領選挙で、カービル氏は民主党候補ビル・クリントン氏の選挙参謀を務めていた。対する現職のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は、前年の湾岸戦争で勝利を収め、一時は90%もの支持率を記録した人気大統領だった。

ブッシュ大統領(当時)2001年9月
ブッシュ大統領(当時)2001年9月

しかし、国内では不況が続き、国民の暮らしは苦しかった。そこでカービル氏は、クリントン陣営の選挙本部の壁に「The economy, stupid」と書いた紙を貼り出した。

外交上の成果に目を奪われず、国民の生活に直結する経済問題を選挙戦の中心に据えろ、というスタッフへの戒めだった。

現職ブッシュ大統領を破ったクリントン大統領候補(1992年当時)
現職ブッシュ大統領を破ったクリントン大統領候補(1992年当時)

結果はクリントン氏の勝利。それ以来、この言葉は米国の選挙のたびに引用されるようになった。

それから34年。カービル氏の言葉は、今度はトランプ大統領に向けられているように思える。

看板政策が米国民の経済負担もたらす

なぜなら、トランプ氏が看板政策として進めてきた関税、移民規制、そしてイラン戦争が、いずれも米国民の暮らしに経済負担をもたらしているからだ。

まず関税である。

10月8日付の米CNBCによると、ニューヨーク連邦準備銀行の研究チームは、トランプ政権の関税によって67品目の消費財の物価上昇率が今年2月時点で2.9ポイント押し上げられたとする分析結果を発表した。しかも、関税がなければ、これらの商品価格はむしろ下落していたはずだという。

次に移民政策である。

トランプ氏が進める不法移民の大量強制送還や入国規制によって、外国生まれの労働者が100万人以上減少したとの分析がある。その結果、農業、建設業、ホテル、飲食業などで人手不足が深刻化し、生産コストの上昇が物価を押し上げる要因となっている。

さらにイラン戦争である。

戦争による原油供給の混乱でエネルギー価格が高騰し、米国内のガソリンや軽油の価格も上昇した。トランプ氏が公約したエネルギー価格の引き下げとは逆の結果になっている。

米国民の苦境も改める気配なし

ところが、トランプ大統領には、こうした経済問題の根底にある自らの政策を改めようという気配が見当たらない。

関税問題では、隣国カナダの一部輸入品に50%もの関税を課し、カナダ政府も報復関税で対抗するなど、貿易摩擦は激化するばかりだ。

イラン戦争でも強硬姿勢を改めず、今度はロシアのプーチン大統領と交渉して30万トン以上の軽油を市場に供給してもらうことで、当面の危機をしのごうとした。

しかし、合意直後に一時下落した軽油価格は高止まりし、先物相場も再び上昇した。戦争による供給混乱という根本問題が解決されていないからだ。

移民政策でも姿勢を緩める様子はない。10月12日には、トランプ批判の急先鋒でソマリア生まれの民主党下院議員イルハン・オマル氏の自宅を連邦捜査当局が家宅捜索した。

民主党下院議員イルハン・オマル氏
民主党下院議員イルハン・オマル氏

数十年前の移民手続きや市民権取得に関する虚偽申告の疑惑を調べているというが、オマル氏は不正を否定し、政治的な嫌がらせだと反発している。

ブッシュ政権下の不況とは事情が違う

1992年と2026年では事情が違う。当時のブッシュ大統領は湾岸戦争で勝利したものの、国内の不況によって支持を失った。

一方、トランプ氏の場合は、経済の不振を批判されているだけでなく、自らの政策が物価上昇や経済の混乱を招いていると批判されているのである。

これではカービル氏が「トランプはわざと負けようとしているのか」と疑いたくなるのも無理はないだろう。

34年前、カービル氏は選挙本部の壁に「The economy, stupid」と書いた。今度はホワイトハウスの執務室に、その言葉を貼り出す必要があるのかもしれない。

ただし、相手は大統領である。さすがに「stupid(愚か者)」と呼びかけるのは失礼だろう。

そこで、少し丁寧に言い換えてみてはどうか。

「It's the economy, Mr. President!(大事なのは経済です! 大統領閣下)」
(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)

木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。

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