東京・新橋駅からほど近い場所にある人気店「ビストロクワバラ」。
名物の希少部位「オングレ」のステーキコースとともに多くの客を魅了しているのが、サバトラの女の子「ヌガチン」だ。
しかし、オーナーシェフの桑原さんにとって、ヌガチンはただの看板猫ではないという。
「前世から一緒だったと本気で思うくらい、不思議な縁を感じているんです」
桑原さんがそう語るほど絆を深めることになったのは、ある不思議な出来事があったからだ。
フランスの砂糖菓子から命名
出会いは2015年10月21日。当時、福岡市に店を構えていた桑原さんは、帰宅途中に街中を颯爽と歩くヌガチンを目撃。
「多分まだ生後5カ月くらいのころ。美しくて気品のある猫だな、きっと飼い主がいる迷い猫だろうなというのが第一印象でした」
それから1週間ほどたったある日、帰宅途中に偶然知人女性と会い、その女性を送ろうとふだん通らない道を歩いていたところ、通りかかったマンションの警備員がヌガチンに餌をあげる場面に遭遇。
「あの時の猫だと思って警備員さんに話しかけたら、飼い主が見つからず保健所に連れていくかもしれないと。一度も猫を飼ったことはなかったんですが、こんなに美しい猫がもし殺処分されたらかわいそうだと思って、飼い主さんが見つかるまで預かることにしたんです」
結局飼い主は現れず、そのまま桑原さんが飼うことに。あまりの愛らしさから、「甘い名前をつけよう」と、フランスの焼き菓子「ヌガティン」をもとに、ヌガチンと名付けた。
すぐに看板猫デビュー
ヌガチンは家に迎えられてすぐ、毎日のように桑原さんのお店へ同行。
「初めは外にリードでつないでいたんですが、寒くなってきて店内に入れてあげたくなったんです」と、桑原さんは一大決心。店のスタイルを、本格フレンチから猫が店内にいても違和感がない、現在のステーキ中心のカジュアル店へと変更した。
すると、これが奏功してか来客数も増え、ヌガチンは多くの常連客とスタッフの間でアイドル的存在に。
「本当に人が好きな子で、触られてもまったく嫌がらないんです」
そして訪れた、最初の失踪
順調に看板猫として成長していたヌガチンだが、2016年8月、突然の失踪事件が起きる。

