タイの市場にひしめき合う無数の屋台群。手頃な値段で食べられる屋台メシは、タイ人の日常生活に不可欠な存在だ。その屋台料理の中に、猛毒ダコの焼串が売られていたことが分かり、地元当局が注意を呼びかけた。

青いリング模様の殺人ダコ

首都バンコク近郊パトゥムタニ県の市場で11月30日、猛毒を持つタコの焼串が見つかった。タコの串焼きはタイでは屋台の定番料理の一つで、甘辛いタレに漬けて焼くもので人気が高い。このタコはタレに漬けられて茶色く変色していたものの、全身に特徴的な青いリング模様があり、これに気づいた客が当局に通報して判明した。幸いなことに食べた人はいなかった。

屋台で発見された猛毒ダコの串焼き (タイ・海洋沿岸資源局)
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このタコはヒョウモンダコと呼ばれる。全長は10センチ程度と小さく、普段は茶褐色をしているが、興奮すると全身に青いリングの模様が浮かび上がることで知られている。その美しい模様からブルーリングオクトパスとも称されている。

だが、この美しいタコは実は人間を死に至らせるほどの猛毒を持つことでも有名だ。タコの唾液にフグと同じ猛毒「テトロドトキシン」が含まれていて、人が咬まれると痺れや吐き気をもよおすほか、呼吸困難に陥ることもある。海外では死亡例も報告されていて、「殺人ダコ」とも呼ばれている。

このタコの毒は熱にも強く、200度の温度にも耐えられるという。このため調理済みであっても、食べれば中毒を引き起こす危険性があるという。

「殺人ダコ」とも呼ばれるヒョウモンダコ (タイ・海洋沿岸資源局)

殺人ダコが屋台で売られていた詳しい経緯は調査中だが、漁の際に他のタコに紛れて出回ることが多い。

今回の事態を重く見たタイの海洋・沿岸資源局は各地に通達を出し、業者に対して調理前に必ず確認してヒョウモンダコを取り除くよう要請した。また客に対しても、タコを食べる際には十分注意するよう呼びかけた。

日本でも発見相次ぐ 十分に注意を

このタコはタイ湾やアンダマン海など暖かい海に生息していることで知られているが、近年は日本でも各地で発見されるケースが相次いでいる。神奈川県横須賀市では2019年8月にヒョウモンダコ1匹が捕獲されたほか、大分市でも10月23日に佐賀関漁港付近の磯で確認されている。

この猛毒ダコは、素手で触ると命を落とす危険もある。日本でも海水浴や磯遊び、釣りなどの際にヒョウモンダコを見つけた場合には、触ったり捕まえたり、食べたりしないよう注意が必要だ。

【執筆:FNNバンコク支局長 佐々木亮】