種類の違うカニのケンカ
些細な事で、ケンカになってしまうことがあるが、Twitterに投稿されたカニ同士のケンカの攻防が面白いと話題になっている。
カニノケンカ pic.twitter.com/OnAxfsTRlX
— kt2 (@kt2soundlab) November 15, 2020
カニノケンカ
このように投稿したkt2(@kt2soundlab)さん。動画を見てみると、種類の違う2匹のカニが向き合っている。右の丸みを帯びたカニが「トラフカラッパ」、左のトゲのあるカニが「ヒシガニ」だ。

右のカニが近づこうとするが、左のカニは、はさみを使って簡単に押し返す。見るからにリーチの差は歴然だ。

右のカニがめげずにもう一度近づくも、またしてもはさみの左パンチをもらい、トトトトッと後退。どこか寂し気な様子の右側のカニ「トラフカラッパ」を応援したくなる。


投稿された動画はここで終わる。
これで終わりかと思ったら、「決着シーン」のコメントとともに動画がもう1本投稿された。
動画の冒頭、右のカニが果敢に左のカニに飛び掛かり、懐に入ることに成功したのだ。

左のカニは長いリーチをいかせない接近戦となり、抱きかかえることしかできない。そのまま水槽の壁に押し込まれて身動きが取れなくなってしまったところで動画は終わる。
ケンカは右のカニの「トラフカラッパ」の大逆転といった所だろうか。

2匹のカニのやりとりに「可愛い闘い」や「絶対仲良いやん」、「おもしろい」などのコメントが寄せられ6万超のいいねが付いている。(12月2日現在)
ケンカをしているように見えるが、実際は何をしているのだろうか。この動画が撮影された京都大学白浜水族館にお話を伺った。
「場所とり」ではないか
ーーカニはケンカしているように見えるが、何をしている?
「場所とり」ではないかと思います。右側のカニは、左側のカニのいる場所に行きたいが、左側のカニも譲りたくはない、だからあっちに行けとはさみで押しているのだと思います。どちらのカニも水槽内では、壁やガラスを背にした状態でいる場合がほとんどです。これは何もない場所にいるよりは、死角になりやすい背中側に壁やガラスがあることで落ち着くのではないでしょうか。
ーー最後に右のカニが体で押し込んでいますが何をしている?
最終的には右側のカニが、体を押し込む形で砂に潜り、左側のカニも諦めたのか、まあいいかと思ったのかは分かりませんが、はさみで抱きかかえるような形になったのだと思います。
ーーそれぞれのカニの生態は?
「ヒシガニ」は、水深200mぐらいまでの砂底や泥底に生息し、砂や泥に潜っていることが多いです。オス同士は、互いに向き合い、長いはさみを広げて大きさを比べていることがあります。おそらく、どちらが上なのかを争っているのではないかと思います。
「トラフカラッパ」は、水深200mぐらいまでの砂底に生息し、ヒシガニと同じように砂に潜っていることが多いです。右側のはさみにこぶのような突起がついていて、これで巻貝などを割って食べます。

抱きかかえられるような状態は初めて見た
ーーこのようなケンカのような行動はよくみられる?
動画のような行動は時々見ることがあります。ただ今回のように、ヒシガニに抱きかかえられるような状態になったのは初めて見ました。
ーーこの2匹のカニは普段から同じ水槽にいる?
この2種類のカニは、どちらも比較的おとなしく、他のカニを攻撃するようなことはあまりありません。多くの種類のカニを見てほしい、知ってほしいという考えや展示スペースが限られることもあり、喧嘩はしないであろうこの2種類を同じ水槽で展示しています。今はヒシガニ2匹とトラフカラッパ1匹を同じ水槽で展示しています。
京都大学白浜水族館によると、ケンカの理由は「場所取り」ということであった。どちらのカニもおとなしい性格で、今回、ヒシガニに抱きかかえられるような状態は初めて見たということで、珍しい光景を撮影できたことになる。
2種類のカニのケンカは時々あるとのことなので、興味を持った人は一度訪れてみてはいかがだろうか。
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