ゆっくりと動く、不思議な海の生物がTwitterに投稿され、話題となっている。

それがこちら。

一歩 一歩 ゆっくり前進してからの遊泳

Twitterに投稿されたのは、水底をゆっくりと“歩く”かのように進んだ後、次第に浮き上がって“遊泳”する謎の生物の動画。背中の模様は変化し、あまり見かけない独特な姿をしている。動きがゆっくりなことから、外敵に襲われた時の反応も気になるところだ。

ゆっくりと歩く
ゆっくりと歩く
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おもむろに泳ぐ
おもむろに泳ぐ

動画をTwitterに投稿したのは、生き物たちのさまざまなパフォーマンスを見ることが出来る「サンシャイン水族館」(@Sunshine_Aqua)。

Twitterでは「模様の移り変わりは見ていて飽きませんね。」「飛べて歩けて、すごいなあ〜」などの声があり、話題となっている。

たしかにあまり見かけない生物であることから、ずっと見ているのも楽しい。そして、この生物について、もっと詳しく知りたくなってきた。生態などについて、飼育している「サンシャイン水族館」の担当者にお話を伺った。

色素胞という器官を伸縮させて体色を変化

ーー名前と特徴を教えて

ハナイカ・ウイカ科ハナイカ属に分類されるイカの仲間です。鮮やかな体色が特徴的です。


ーー生態は?

基本的に海底で過ごすことの多く、2本の腕を使って海底を歩くことができます。


ーー体の構造はどうなっているの?

基本的な体構造はイカの仲間と同様で10本の腕あります。さらに3つの心臓を持つなど、興味深い体の構造をしています。


ーー動いているときに、背中の模様が変わって見えるのはなぜ?

イカの仲間は体表に色素胞という器官を持ち、それを伸ばしたり縮ませたりすることで体色を変化させています。イカはこうした体色変化を仲間とコミュニケーション手段として使っていると考えられています。

ハナイカ(提供:サンシャイン水族館)
ハナイカ(提供:サンシャイン水族館)

驚いた時は漏斗から水を噴射して素早く動く

ーー生息地はどこ?

南西日本~中国とベトナムに隣接するトンキン湾の水深40~100mほどに生息しています。


ーーこの生物は珍しい?

基本的に食用にされることはないため、馴染みのあるアオリイカやケンサキイカなどのイカと比べると、目にする機会は少ないかと思います。


ーー色使いがカラフルなのはどんな理由があるの?

飼育スタッフの私見としては、仲間とのコミュニケーションの際に何らかの利点がある。色が識別しやすい、警告色の役割がある、と考えています。


ーー早く動くことはある?

普段はゆっくり動くことが多いですが、驚いた時には漏斗という器官から水を噴射することで早く動くことがあります。

正面からみるとこんな感じ
正面からみるとこんな感じ

「ハナイカ」の好物は生きたエビ

ーー外敵に襲われた時はどうなる?

多くのイカと同様に墨を吐いて逃げるようとすると思います。


ーーどんなものを食べているの?

自然界では主にエビやカニなどの甲殻類を食べています。またイカの仲間は生きたエサを好むため、当館では生きたエビを与えています。


ーー飼うことは難しい?

イカの仲間は餌の確保が難しく、個体によっては生き餌を好んで食べる個体もいます。かなりデリケートな生き物でありながら、寿命も1年と短命なため飼育はお勧めしません。


ーー反響についてはどう思う?

多くの人にハナイカを知っていただいてうれしいです。

「ハナイカ」の背中の独特な模様が変化しているのは、色素胞という器官を伸縮させていたことが理由だった。

編集部でも過去に数多く海の生き物を紹介しているが、まだまだ我々の知らない生き物がたくさんいる。とても興味深く、次はどんな生き物に出会えるか楽しみだ。

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プライムオンライン編集部
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