福島県・吾妻連峰の一角に設置された先達山太陽光発電所が、2026年9月30日で商業運転開始から1年を迎えた。緑化の遅れや光の反射など課題が残る中、対応が進まない現状に市民の焦りが募っている。
市民団体が訴える景観の損失と進まぬ対策
9月25日、福島市内の集会所で会合を開いていたのは「あづま山の景観と自然環境を守る会」。
2024年に市民有志が立ち上げ、事業者や市・県に対応を求め続けてきた団体だ。
半澤敦子さんは、変わりゆく山の姿に胸の内を明かす。
「彼らは利益を出していて、私達は辛い思いをして、景色まで壊されて。山を見たくないと思うほどです」
阿部千恵子さんも、時間との戦いを口にした。
「今、元気で動けるうちに少しでも改善したい。だから時間がないと感じています」
商業運転開始から1年が経っても、緑化は十分に進まず、光の反射も続いたまま。
事業者から具体的な対応は示されていない。
タイムリミットがある…
署名活動や行政への申し入れを続けてきた会長の 矢吹武さん(84)。
「吾妻山は福島市民の宝物」「子々孫々まで美しい山並みを残したい」と訴えてきた。
しかし2026年8月、福島市への2度目の申し入れの場に矢吹さんの姿はなかった。病気のため活動を休止し、療養を続けている。
半澤さんは、矢吹さんの不在が象徴する“時間の重さ”を語る。
「会長も体調を崩していて、私達にはタイムリミットがあると痛感しています」
矢吹さんが入院後に書き留めたノートには、こう記されていた。
「一年たてば一年の実績が積み重なります」
「これほど悲しいこともありません」
事業者が“反射の発生”を認める
2026年9月18日の記者会見で福島市の馬場市長は、事業者と面会した際、太陽光パネルの反射が「発生していない」としてきた従来の説明を改め、事業者が反射の発生を認めた と明らかにした。
市長はこう述べた。
「事業者の行動がないわけではありません。責任ある行動を見届けたいと思っています」
“地域との共生”が問われる
福島県によると、2025年度の県内エネルギー需要に対する再生可能エネルギーの割合は 64.3%。前年度から4.6ポイント伸び、その約8割を太陽光発電が占める。この実績には先達山太陽光発電所も含まれている。
県は 2040年度頃に再エネ100% を目指す方針を掲げる。その中で、地域の景観や生活環境とどう折り合いをつけるのか。
商業運転開始から1年を迎え、事業者と行政の姿勢が改めて問われている。
(福島テレビ)
