先達山に建設された巨大太陽光発電所が完成し売電を開始するが、景観悪化や災害リスクへの懸念に加え、パネルからの強烈な反射光が車の運転に支障をきたす「光害」という新たな問題が浮上。地域との共存に向けた課題が山積している。
メガソーラーが完成
先達山の麓で暮らす松谷基和さん。朝の日課・散歩の途中いつものように、削られた山肌に敷き詰められた太陽光パネルを見つめていた。
「工事中にはハゲた山が見えるけど、工事が完成したら見えなくなるとか、緑植えるとか言っていましたけど。これが認められて放置されているというのは、もう本当に不思議としか言いようがない」と語る。

「先達山を注視する会」を2025年1月に仲間と立ち上げ、建設に疑問を投げかけてきた先達山のメガソーラーが7月31日に完成を迎えた。
景観悪化や災害を心配する声
2021年11月から工事が始まった先達山太陽光発電所。太陽光パネル約9万6000枚が設置され、9月末からは年間で一般家庭1万6000世帯分の電気が東北電力に売電される。

しかし本格的な工事が始まると、景観の悪化や土砂災害を懸念する声などが強まり、波紋が広がっていった。
パネルの反射が問題に
さらに完成が近付くなか、新たに浮かび上がったのが太陽光パネルからの反射による「光害(ひかりがい)」だ。

2024年9月下旬、最初にこの問題を福島県に伝えたのは、東北自動車道を運転していたトラックの運転手だった「反射光がまぶしくて危うく交通事故を起こすところだった」「事故が起こる前にパネルの角度を変えるなど何かしら対応したほうがよい」との声が寄せられた。
光害への報告相次ぐ
その後も、福島県と福島市に相次いで寄せられた「車の運転に支障がある」という報告。
強い反射光は、西日が差し始める時間帯に直線上に広がっている。

「先達山を注視する会」で副代表を務める梅宮毅さんも、車の運転中に眩しい光を感じた一人。「午後5時を過ぎた辺りから、太陽がもう一つあるような感じで光が出てきはじめて、本当に直視ができなくなるような、強い光を感じる」と話す。
事業者に問題提起するも…
2025年7月1日に開催した事業者との対話会では、この「光害」の問題について「子どもを轢いたりしたら、とんでもない話になってしまう。とにかくこれは早く対応しなければいけないということを認識いただきたい」と事業者にぶつけた。

これに対しAmp社は、2024年から反射状況のシミュレーションを行っているとした上で、結果が出次第、福島市などに情報を共有する考えを示した。
福島市は7月に「状況の報告」と「対策」を事業者に要請していて、現在も回答を待っている状況だ。
共存共栄はできるのか
これから20年間、東北電力への売電が続くことになる先達山のメガソーラー。“共存共栄”はできるのか。その問いに改めて向き合う日が始まった。

先達山を注視する会・代表の松谷基和さん「さらに問題が出てきたときに、ならぬ事をやってしまってやった時の責任とかを誰が負うのか。市民も行政も事業者も、もうちょっと皆まじめに考えようと。皆の問題として考えようと本当にそう思います」と語った。
(福島テレビ)