宮城県仙台市・国分町で増える「客引き」。「客引き」は特定の人に対してその店の客になるよう呼び掛ける行為で、キャッチとも呼ばれる。

風営法や条例で禁止されていて、違反した場合は懲役や罰金が科せられる可能性がある。新型コロナウイルスの影響で国分町の客引き行為は減少したが、少しずつ、その数は増えてきているという。

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コロナ禍で客引きの数は減少しているが…

記者リポート:
東北最大の歓楽街、仙台市青葉区の国分町です。2020年4月5月の休業要請を乗り越えて、国分町にはお客さんの姿がまだ少なくはありますが、戻ってきているように見えます。一方で戻ってきているのはお客さんの姿だけではありません

10月15日、国分町にある雑居ビル。階段の踊り場で、私服の警察官が取り囲んでいるのは、客引きの男。パトロール中の警察官が客引き行為を確認。男は現行犯逮捕された。

コロナ禍でもなくならない客引き行為。月に一度、客引きの実態調査を続けている仙台市によると、2020年5月、国分町での客引き行為は去年の半分以下となった。

仙台市市民生活課 大村仁 課長:
今回、休業要請期間だと居酒屋とかカラオケとかは店舗自体をお閉めになって、すぐコロナの影響を受けて客引きが激減したと。あるいは客引きを、この期間はしないという対応をしたというところは多いのかなと

違法客引きの背後を取り締まる

新型コロナウイルスの影響で例年と比べ、客引きの数は減少しているが、10月は523件と去年の7割ほどに回復した。客引きは、法外な値段を請求されるぼったくりの被害に遭う危険がある。さらに、国分町で客引きの取り締まりを行う仙台中央警察署生活安全課の小出秀幸課長は、別の犯罪につながる可能性もあると指摘する。

仙台中央署生活安全課 小出秀幸 課長:
お客様が楽しく飲食し、支払ったお金が客引き行為者自身にその一部が流れる。行く当ては暴力団組織の資金源としてお金が流れてしまう恐れが十分に考えられます

2020年7月、客引きグループのメンバー9人が逮捕された際には、その背後に暴力団の存在が判明。宮城県警が北海道にある山口組系暴力団の事務所に家宅捜索を行った。警察は、客引きだけでなくその背後を取り締まることで、客引きの撲滅を目指している。

10月15日に逮捕した客引きの男も、取り調べの中で、関与が疑われる飲食店が浮上。警察は1週間後、関係先として、その店を家宅捜索した。

記者リポート:
午後7時15分を過ぎたところです。およそ10人の捜査員がビルの中へと入っていきます

開店直後の店内にいた男性従業員を呼び、令状を示す。捜索は約2時間にも及んだ。この日は、店内のパソコンや従業員のスマートフォン、売り上げを記録した書類などを押収。客引きに仕事を依頼した形跡がないかを慎重に調べている。地道に続けられる警察の取り締まり。

国分町では警察だけでなく、仙台市や住民も参加した見回りも行われ、街を挙げて客引きの根絶に取り組んでいる。

執ような客引きは、その場で110番を

東北最大の歓楽街をよりよい街にするために、私たちができることは?

仙台中央署生活安全課 小出秀幸 課長:
一番お願いしたいのは違法な客引き行為者を絶対に利用しないということです。執ように声をかけられた際は、その場で110番通報をお願いします

新型コロナウイルスの影響が続く中で迎える年末年始。感染対策はもちろん、客引きを根絶するため、私たち一人ひとりの行動が問われている。最近は「客引きに至近距離でマスクをつけずに話しかけられた」という相談も多く寄せられているそう。

(仙台放送)

仙台放送
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