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10万人に3.3人の難病と闘い、拓いた新しい表現 「もっと貪欲にやっていきたい」 仙台の画家・古山拓さん|FNNプライムオンライン
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10万人に3.3人の難病と闘い、拓いた新しい表現 「もっと貪欲にやっていきたい」 仙台の画家・古山拓さん

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仙台市に住む画家・古山拓さん(63)は、発症原因が解明されていない指定難病「CIDP」と向き合いながら、絵を描き続けてきた。仙台市内の百貨店で始まった個展には、難病を経てたどり着いた新たな表現も。「もっと貪欲に」と語る古山さんの作品には、画家としての矜持と、人生への強い意志が宿っている。

絵画とともに生きてきた30年

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川崎町にアトリエを構える古山さんは、フリーランスの画家として30年以上のキャリアを持つ。
各地で個展を開き、絵を買ってもらうことで生計を立て、イラストレーターとしての仕事も請け負ってきた。描くことは「呼吸をすることと同じ」だとも話す。「なりわい」としてだけでなく、自己表現の手法としても「描くこと」は人生から切っても切り離せない。

得意とするのは水彩画。取材の際には、小学生6年生のころにテレビで見て以来、惹かれ続けているというフランスの世界遺産、モン・サン・ミッシェルを描いていた。指で水を置き、にじみの広がりをコントロールする。長年磨いてきた技法と感覚が、一枚の紙の上に凝縮され、見た人を旅へと誘う。

ピリピリとした足の痺れ 10万人に3.3人の指定難病

古山拓さん
古山拓さん

転機が訪れたのは2024年の冬のことだった。入浴中、足にピリピリとした痺れを感じた。古山さんは、“寒い時季にはあることだ”と思い、最初は深く考えなかった。やがて痺れはふくらはぎへと上がってきた。そこで異変を感じた古山さんは、血行不良を疑い整体院などに通ったが、しばらく原因は分からないままだった。

最後に訪問した鍼灸院で、脳神経内科への受診を勧められ、泉病院の関口すみれ子医師のもとを訪れた古山さん。そこで告げられた診断が「CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)」という指定難病だった。

関口医師によると、CIDPは神経を覆う「髄鞘」と呼ばれる細胞が損傷することで起きる病気だ。

泉病院 関口すみれ子医師:
神経は電気刺激をつなげていくのですが、それが外に漏れないように『髄鞘』と呼ばれる細胞がある。この髄鞘が壊れてしまうために、動作指令がうまく伝わらない。

手や足に慢性的な痺れや痛みが現れるこの病気は、2歳から70歳までと幅広い年齢層で発症し、やや男性に多いとされている。発症原因は現在も解明されておらず、国内での患者数は10万人あたり約3.3人で、稀と言われている難病だ。

画家の生命線の手にも痺れが

「思った通りの、きれいな線を描けるのが画家」
そう話す古山さんだが、やがて痺れの症状は、その生命線と言える「手」にも出始めた。筆を落としてしまったり、思うような線を引けなくなったり…これまで通りの描き方が難しくなったことで、イライラが募ったという。

そこで古山さんは描き方を変えた。思わぬ制約の中で、新しいやり方を模索し続けているのだ。

古山拓さん:
線に沿ってスーっと描けない。なので幅の広い筆を使って置くように線を出してつくっていく。そういう描き方にしている。

また、病気になった経験をブログで発信することも始めた。

古山拓さん:
病気になった時にいろいろ調べたが、それでもよく分からなかった。僕が記録に残しておくと、誰か同じような人が心の支えになるかもしれないし、参考になるんじゃないか。

詳しくは解明されていない病で、自らも今どの段階なのか、現在地が分からない。そうした中でも、同じ病を抱える人たちへの道標になろうと、古山さんは自らの病状をできるだけ詳細に書き残しているという。

抽象画という、難病が拓いた新しい表現

制約が、新たな扉を開くこともある。古山さんにとってのそれが抽象画だ。オイルパステルだけでなく、指も使ってキャンバスに向かう。

古山拓さん:
自分の頭の中には旅で見てきた風景がある。それを別の形に置き換えている感じ。筆を持って思うようにいかないイライラ感はどうしても拭えない。抽象画を描いている時はそこから離れられる。筆とは全然違う表現が生まれてくれる。

病によってもたらされた制約から、古山さんは新たな自分を見出してきた。

地元・仙台での個展で訪れた人たちが感じた変化

仙台市内の百貨店で始まった個展には、モン・サン・ミッシェルの水彩画をはじめ、本格的に取り組むようになった抽象画、仙台の街並みを描いた作品などが並んでいる。

訪れた夫婦は「何点か買って部屋に置いているが、訴えるものがある。病気になってからの絵も、ますます深みが出てきたと思った」と話した。

長年古山さんの絵を見てきた鑑賞者の目にも、変化と深化が映っているようだ。

「もっと貪欲にやっていきたい」

古山さんの原点にあるのは、初めて個展で絵が売れたときのギャラリーのオーナー、“心の師匠”と尊敬する人の言葉だ。“心の師匠”から絵が売れた日に食事に誘われ、お祝いかと思った席で古山さんは諭された。

「君は喜んでいるようだが、絵が売れた意味が分かっていない。絵を買った人は壁に絵を飾り、その絵を見る度にあの画家はどうしているかと思い出し、考え続ける。君が一生絵を描き続けるというなら個展を開いてもいいが、売れなくなってやめたくなるなら今のうちにやめなさい」

だから古山さんは、「自分から筆を折ることはない」と話す。

古山拓さん:
今の自分があるのは、過去何十年何百人という方が絵を買ってくださった結果。そういう方々のためにも僕は描いていきたい。もっと貪欲にやっていきたい。

難病でできなくなったことを嘆くのではなく、新たにできることを見つけ、作品を生み出していく。古山さんはこれからも画家として、自分自身や絵と出会ってくれた人たちの人生を彩り続ける。

仙台放送
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