米朝の罵倒ゲームに惑わされるな

ミサイルを巡って米朝の口喧嘩が止まらない。最初に北朝鮮が「グアムにミサイルを4発撃つぞ」と言ったら、トランプ大統領が怒った。「北は炎と怒りに見舞われる」と。

その後、金正恩が「アメリカの出方を見守る」とトーンダウンすると、トランプ大統領は「アメリカを尊重してくれて敬意を払う」と急に優しくなってしまった。

アメリカが北朝鮮に振り回されている印象だが、米朝の宣伝合戦は、他の世界がどうなろうと知ったこっじゃない駄目なリーダー二人が、自分達が生き残るために、自分達の言いたいことをバンバン言っているにすぎないので、世界はこの二人の発言に一喜一憂してはならない。

米朝戦争に粛々と備えろ

おそらくこの二人は、生き残るためには米朝戦争もするし、逆に米朝首脳会談だってしかねない。何が起きるかわからない。いつの日か、北朝鮮はグアムにミサイルを撃つであろう。撃った場合に、アメリカは反撃する。米朝戦争、あるいは米朝衝突みたいなものが起きるだろう。

その時に日本は何をすべきか

その時に日本は二つやるべきことがある。

一つは、「存立危機事態」や「重要影響事態」などの事態になった場合、日本は例えば米艦防護がどれくらい出来るのか、アメリカの戦闘機に給油をしてよいのかなど、先に成立した安保法制のもとで何が可能になったのかをきちんと国会で議論すべきだ。どういう状況下で何が出来るのか明確にすべきだ。森友・加計学園問題や日報問題での稲田イジメなど、そういうことをしている場合ではない。

避難訓練の重要性を認識せよ

もう一つは避難訓練が非常に大事だ。先日、イギリスBBC放送が日本の避難訓練を馬鹿にしていた。日本人が畑の真ん中で頭を手で覆いながら伏せていたのだ。ミサイルは、第二次大戦時の機銃掃射ではないので、動かなくても撃たれない。ミサイルの場合は破片が落ちてくるので、北がミサイルを撃ったという情報が出たら速やかに”屋根のあるところ”に避難すべし。屋根があれば多少破片が落ちてきても死なないが、破片が直接当たると死んでしまう。畑で避難訓練をした人はそういうことも知らなかったらしい。政府はそういう基本的なことも教えてあげるべきだ。

北朝鮮のミサイルに備えて、日本はこの二つを必ず実行すべきと考える。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。