現在、東京都では東京都中央卸売市場の次期経営計画の策定に向けた議論が進行中だ。
中間まとめで物流問題など4点指摘
9月3日、次期経営計画の中間まとめが公表されたのだが、そのなかに赤字で
「円滑な生鮮品等流通が揺らぎかねない」
「中央卸売市場を支える基盤そのものが危機にさらされる」
「基幹的インフラとしての責務を果たせなくなる」
など市場の将来を危ぶむ危機意識が現れている文言が目立つ。
東京都中央卸売市場は、豊洲市場や大田市場など11の市場で構成されていて首都圏の食を支える基幹的な社会インフラとして、安定供給や公正な取引、品質管理を担っている。
中間まとめで指摘されているのは、物流問題、人手不足、施設の老朽化、経営環境の変化の4点だ。
物流問題では、全国から市場に届ける役割を担う、トラックドライバー不足が挙げられている。
全日本トラック協会によると、2024年時点で14.2%不足しているなか、2030年には34.1%まで拡大し、輸送トン数で比較すると、24年の4億トンに対して、30年には9.4億トンの不足になるという。
中間まとめでは、円滑な生鮮品等流通が揺らぎかねない重大な問題と指摘、AIや自動搬送等のDX化を活用するなど業務の効率化を強力に目指すべきだとしている。
市場存続に危機意識 特に人手不足
深刻化する人手不足については、他業種でも同じ状況ではあるものの市場の担い手は、経験や現場判断に支えられているため特に危機感を示している。
東京都の産業別の昼間就業者数の増減では、卸売業・小売業は、対2015年比で約40万人弱減少すると予測されている。
これは全業種のなかで断トツに多い。
中間まとめでは、人手不足とDX化が遅れると、市場を支える基盤そのものが、危機にさらされるとして、労働環境の改善や市場ブランドを確立するなど働く場としての市場の魅力発信、そして業務を標準化して経験値に頼らない作業工程の実現を目指すとしている。
経営環境の厳しさも増している。
独立採算が原則の市場会計では、営業損益は恒常的に赤字が続いているが、物価、人件費の高騰などにより、経常損益は、2016年度以降赤字に転じ、現在は年間約150億円の赤字となっている。
そして、卸売業者や仲卸業者の経営動向についても、営業利益率は1%未満であり、類似業態である飲食料品卸売業と比べても低い水準となっている。
これは、これまでの大量消費の傾向から、必要な量だけ購入したいなどニーズの多様化が進んでいることによる影響とみられている。
今後、多様化するニーズに対応できるよう販路開拓や新たな需要獲得への支援を推進していく必要があるとしている。
市場そのものの存続に対する危機意識が示されている中間まとめ。
市場が生き残るための大きなポイントになるのが、品質管理と市場ブランドだ。
事業の効率化やDX化はこれまでも指摘されてきたが、品質管理は、市場がもっとも信頼されている長所であり、そこをさらに高品質化し、グレードをあげることで差別化を図る。
さらには市場ブランドとして海外への輸出も視野に入れていく。
待ったなしの改革が迫られている中央卸売市場。
次期経営計画は、2026年度中に策定・公表される予定だ。
