高知県内の銭湯は、10月から大人の入浴料金が100円値上げされ、550円となることが決まった。物価上昇や経営難を踏まえた、3年ぶりの料金改定だ。
広い浴場でゆったりと入浴し、地域の人と交流できるのが銭湯の魅力だが、その経営環境は厳しい。
46年前には県内に121軒あったものの、利用者の減少や廃業によって年々その数は減ってきた。現在は高知市や四万十市などに7軒のみで、3軒は休業している状態だ。
審議会での議論と値上げの経緯
厳しい現状を受け、高知市では適正な入浴料金について学識経験者や当事者らが審議する会が開かれた。
そもそも銭湯の料金上限は、法律によって都道府県が定める仕組み。物価高騰や経営悪化に苦しむ県公衆浴場同業組合が5月に県へ値上げを要望したことが、今回の議論の発端だ。
県は銭湯で働く人の給与水準を他業種に近づけるため、4つの値上げ案を提示した。審議を重ねた結果、最終的に大人料金を現在の450円から550円へと改定する答申がまとめられた。
利用者の声と経営者の実情
実際に銭湯を利用する人はこの改定をどう受け止めているのだろうか。四万十市にある銭湯へ2日に1度のペースで通う利用者に聞いた。
10月1日から550円になることを伝えると、「いや高い!ほいたら来れんやんか」と驚きの声が上がった。
しかし、「それでも入りに来たいか」と尋ねると、「来たい。人もいるし、優しい人ばかり。ここは伸び伸びと水風呂に入れるから」と話す。
経営する側にとっても値上げは苦渋の決断だ。委員の一人で自身も銭湯を営む長山義正さんは、「お客さんには心苦しいが、経営は四苦八苦だ」と実情を明かし、理解を求めている。
県公衆浴場同業組合の代表も務める長山さんは、「まわりの物価があまりにも上がっている。値上げしたからといって、もうかるようなものでは到底ない。しかし、審議していただいた結果なので、みんなが頑張っていただいたら」と語った。
地域の交流の場をいかに残していくか。
10月1日からの新料金には、そんな銭湯関係者の切実な思いが込められている。

