高知県内にある15の消防本部を一つに統合する「消防の広域化」。県は2026年度中に実施計画案を取りまとめたい考えを持っていて、9月3日に開かれた県内の自治体トップが集まる会議で、2029年度に統合するか否か、採決が行われる予定となっていた。
「離脱させていただきたい」突然の表明にどよめき
ところが、採決を前にして想定外の事態が起きる。須崎市の楠瀬耕作市長が発言を求め、協議会からの離脱を表明したのだ。
「今までの流れを勘案した結果、議会にも報告したが、この会からの離脱をさせていただきたい。それをこの会で発言させていただきます。以上、よろしくお願いします」
突然の離脱宣言に、会場にはどよめきが広がった。
浜田知事は、「須崎市長から突然の意見表明がありました。事前にそういう話を相談もなかったので、正直当惑しております」と率直な胸の内を語り、会議は一時中断を余儀なくされた。
知事は急きょ別室で楠瀬市長と協議を行い、約30分後に会場へと戻ってきた。
会議では、須崎市を棄権扱いにしてそのまま採決を進めようとする声も上がったが、高知市の桑名龍吾市長が待ったをかけた。
「一自治体が抜けると前提が違う」
桑名市長は、次のように発言し、慎重な姿勢を求めた。
「きょうの『離脱する』という言葉は大変大きくて、一自治体が抜けると全ての前提が違ってくるかと思います。結果を急ぐよりもプロセスを大切にしていただきたいです」
桑名市長の意見を受け、9月3日の会議の中で「採決を取るかどうかの決」が改めてとられた結果、賛成少数で「見送り」という結果になった。
会議終了後の取材に対し、浜田知事は「今回の協議会の結果は大変残念です。須崎市長、いろいろ考えがあったと思いますが、行政をやる方として大きな意見があるのであれば、事前にご相談いただきたかったというのが正直なところです」と悔しさをにじませた。
一方、須崎市側は取材に対し「スピード感を重視し、スケジュールありきで進められていて、ついていけない」と述べた。
実務協議会から離脱するための規程が現状では存在しないため、事務局を務める県は今後の対応について検討を進める方針だ。
自治体トップたちの足並みが乱れ、計画の前提が揺らぐ中で、舞台は翌日の知事定例記者会見へと移ることになる。
