ロシアの批判「ばかげている」
28日の国連安全保障理事会の会合で、ロシアが「日本が軍備を拡大し、憲法改正を公然と議論している」と批判した。
それに対し、日本の山崎和之大使は国連憲章に反してウクライナ侵攻を続けるロシアが日本の防衛態勢を批判するのは「ばかげている」と反論した。
小泉防衛大臣 中国の批判は「虚偽」
またシンガポールで開かれていたアジア安全保障会議(シャングリラダイアローグ)では31日、小泉進次郎防衛相が中国による「新型軍国主義」との批判を「虚偽の主張」だと強く反論した。
小泉氏は中国への名指しを避けたと報じられているが、「核兵器と戦略爆撃機を大量に保有する国が、そのいずれも持たない日本を新型軍国主義と呼んでいるのはおかしいではないか」と言っており、これは「名指し」でしょう。
小泉氏は質疑応答で中国の軍人の反論に対して冷静に再反論した上で、「欠席した中国国防相に日本は常に対話に対してオープンだと伝えて欲しい」と皮肉で締めくくったのにも感心した。
総裁候補に返り咲き?
前々回の自民党総裁選で「夫婦別姓を1年以内に実現する」と言い出した時には、「ちょっとこの人、首相は無理かな」と思った。
だが総裁選で2連敗してもくさらずに与えられた仕事をこなし、今回の防衛相というポストでは国会答弁が面白い上に安定しており、このような外交の場でも堂々と振る舞っている。
どうやら総裁候補に「返り咲いた」印象だ。
習氏が高市総理に激怒?
中国の対日批判に戻ると、1日付の産経新聞は「従来の歴史問題を巡る批判と比べ、日本を現実的脅威(中国国防省報道官)とみなしている点に特徴がある」と分析している。
24日付の英紙フィナンシャルタイムズによると米中首脳会談では、この問題で高市早苗首相を非難した習近平氏は「声を荒げて興奮した様子を見せ、米側の同席者を驚かせた」という。習氏のこの対日非難が2日間の会談で「最も緊迫した場面」だった。
これに対してドナルド・トランプ米大統領が高市氏を擁護し、その後エアフォースワンから直接電話をして説明したことが日本のメディアでは大きく取り上げられたが、筆者は習氏が「声を荒げて興奮した様子」だったことに大変興味を覚えた。
これについて第1次トランプ政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏が米保守系テレビ「リアルアメリカズボイス」の中で面白いことを言っている。
バノン氏によると、「国際世論は台湾海峡ばかりに注目しているが、実際には日本が核武装し、再び軍事大国化することこそが習近平が恐れる悪夢」であり、「平和憲法という呪縛を解き放ってしまうことを最も恐れている」ということだ。
日本が核武装することも、平和憲法をやめてしまうこともありえないということはどう考えてもわかると思うのだが、やはり物事というのは立場というか見る角度が違うと全く別のものに見えるのだろう。
なお中国外務省は、米中首脳会談で習主席が高市首相を強く非難したとのフィナンシャルタイムズの報道について「中国側が把握している状況と合わない」と否定している。
日本は世界7位の“軍事大国”
ただ「再軍備」とか「再び軍事大国化」などと言われるが、日本は今でもかなりの「軍事大国」である。
「グローバルファイヤーパワー」という軍事情報のサイトによる今年の世界の軍事力ランキングで、日本は、米国、ロシア、中国、インド、韓国、フランスに次いで7位。しかも英国を抜いて前年より1つランクを上げている。
日本の軍事力ということで最近話題になったのは、3月に反撃能力を備えた長射程ミサイルを国内に初めて配備したことだろう。
これは熊本にある陸上自衛隊健軍駐屯地に配備された国産の「25式地対艦誘導弾」で、1000キロを飛び、中国沿岸部や台湾周辺海域が射程に入る。
防衛省は敵の脅威圏外から攻撃できるこのような「スタンドオフミサイル」を今後10年かけて国内各地に配備を進める計画で、日本の防衛力強化の要に位置付けている。
こういった日本の防衛力強化は中国にとって確かに脅威なのかもしれない。
国力相応の軍事負担を
高市首相が「台湾有事は存立危機事態になりうる」とした国会発言について「撤回しろ」と言う人がたくさんいる。「中国に早く謝った方がいいですよ」と言わんばかりである。
またイラン危機でトランプ氏が日本にペルシャ湾への艦船派遣を直ちに求めなかった時に、「憲法9条のおかげで船を出せと言われなくて良かったね」と喜んだ人もたくさんいた。
どちらも現在の国際情勢や日本の置かれている立場を考えると少しズレているのではないか。
日本がやるべきことは米国が求めているように、アジアおよび世界の安全保障のために国力相応の軍事負担をすることである。そのためには憲法改正も必要だし、防衛費の増額も必要だろう。
そしてもしホルムズ海峡の安全確保に必要なら自衛隊の艦船の派遣も考えなくてはいけない。
自分たちが世界からどう見られ、どう評価されるか考えてみたら、高市首相の言う「右傾化などではなく普通の国になる」の意味も理解できると思う。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】
