日本国旗を傷つける行為を処罰する「国旗損壊罪」について自民党のプロジェクトチームは22日、法案の骨子案について大筋で了承した。
国旗を「公然と損壊、除去、汚損する行為」と規定し、SNSの配信も対象としている。
また目的や意図は問わず、他人に不快、嫌悪を抱かせる方法で、実物の国旗を損壊する行為を罰するとした。
自民党から反論は噴出していない
自民党の政調幹部によると、連立を組む日本維新の会も了承するほか、野党では参政党が処罰規定が入るなら賛成することをすでに表明しているのと、国民民主党も「前向き」ということで、今国会で法案成立の見通しだという。
国旗損壊罪について「自民党内からも反対論が噴出している」という報道を見かけるのだが、これははっきり言って間違っている。「噴出」はしていない。
PTメンバーの高鳥修一衆院議員はXに22日のPTの会議に出席した議員約60人のうち反対者は1人だけだったことを明らかにした上で、「マスコミは反対者だけに取材して、その他全員(意見はあるが)賛成なのに全く報道しないから事実とかけ離れた印象になる。報道しない自由か?」とマスコミを批判した。
また青山繁晴議員もXに「PTの後の取材はたった1人の反対者に集中しました。その反対議員も、わざわざPT終了の前に部屋を出て、まるでオールドメディアと呼応するように、独占的に取材を受けていました」と指摘している。
反対しているのは岩屋さんだけ
実は筆者も別のPTメンバーから「反対しているのは岩屋さん(毅元外相)だけなのに、メディアは岩屋さんだけ取材して異論噴出と言うのはおかしいですよ」とクレーム?を受けていた。
岩屋氏は自分の信念に従って慎重論を唱え、それを記者に話しているだけなので何も悪くないのだが、悪いのはそれをもって自民党の意見が二つに割れているように報道する一部メディアだろう。
ちなみにもう1人反対していると報道されていた西田昌司議員は前述の高鳥氏と話した後に「わかった。自分も賛成する」と明言したということだ。
自民党PT会合の前日に「アベマプライム」というネット番組に出演して国旗損壊罪の議論をした。
出演したのは賛成と反対のそれぞれの政治家、さらにタレントや音楽プロデューサーら5人のレギュラーという顔ぶれだった。
「法律があれば裁判所が裁くから抑えが効いて安心」
レギュラーの人たちは、「国旗の損壊はいけないことだから規制が必要というのはわかるが、表現の自由が守られるかどうか心配」というスタンスの人が多かったと思う。
この中でお笑いタレント「EXIT」の「兼近」さんの「世論が最近正義になってしまっている。(外国人が日本国旗を)燃やしたり傷つけた時に法律で裁かれないなら俺たちがというSNSヤンキーみたいな人たちが出ないか心配。法律があったら裁判所が裁くから抑えが効いて安心ということはある」という発言はなるほどと思った
この「EXIT」というお笑いコンビは見た目は赤い髪や派手な衣装でびっくりするのだが、言ってることは極めてまともだ。
前回この番組に出演して憲法改正の緊急事態条項について議論した時は、相棒の「りんたろー。」氏が「コロナでは自粛要請という言葉でグレーゾーンが生まれた。従わないのもその人の権利だったけど密告や白い目で見たりとかあった。外で遊んで仕事を失った芸能人もいた。じゃあ線引いた方がいいのかもしれない」と述べた時にも感心した。
「表現の自由」に過剰反応?
番組の中では「処罰規定が入ることによって表現の自由が萎縮する」という議論にもなったのだが、具体的に何が怖いのか、何をもって萎縮するのか、何回聞いても正直わからなかった。
「表現の自由」という言葉に反応し過ぎているのではないか。
議論していくうちに、判決を積み重ねることによって何が国旗の損壊であり、何が表現の自由なのかは自ずから決まってくるのではないかという結論に落ち着いたように思った。
SNS時代の国旗損壊罪
最後に兼近さんが「国旗を壊したいという人がいたら、これはアートだよとか(裁判で)争えばいい。それはこの先決めていくこと。現状では(国旗損壊罪の制定を)やっといた方がいいという世間の流れだから決まるだろうと思うが、それからがどうなるかだ」と言ったのも良かった。
日本人のほとんどが国旗を焼いたり破ったりすることを不快に思い、自分でやろうなどと思わないだろう。
だが番組の中でも出たのだが、知らないうちに巻き込まれて「国旗損壊しただろ!」とネットでさらされるのが怖い、と思っている人は多いだろう。
だがプロの作家や音楽家が問題提起としてやることと、素人が何も考えずにSNSに投稿することは「表現」というくくりでは同じだし、評価されることもあれば批判されることもある。
国旗損壊罪は「誰でも自分の表現を投稿できる」SNS時代だからこそ出てきた話だということは覚えておいた方がいいと思う。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】
