物価高騰が続く中、秋田市は市民1人当たり3000円分のギフトカードを支給した。生活費の負担軽減につながったと歓迎する声がある一方、使い勝手の悪さや現金給付を求める意見も根強い。秋田テレビが実施した独自アンケートでは約7割が否定的な評価を示した。支援策を巡る市民の本音を追った。
深刻化する物価高 自治体も家計支援へ
食品や日用品の値上げが相次ぎ、家計への負担は増している。
民間の信用調査会社・帝国データバンクによると、9月の飲食料品の値上げは4923品目に上り、2026年で最も多くなった。中東情勢の悪化による原油やナフサ価格の上昇に加え、人件費や物流費、円安などの影響が値上げ品目数を大幅に押し上げている。
こうした状況を受け、秋田県内の自治体は国の交付金を活用しながら独自の物価高対策を展開している。
現金を給付した自治体もあれば、プレミアム商品券や1人当たり2万5000円分の商品券を配布した自治体もある。
その中で秋田市が選んだのが、1人当たり3000円分のバニラVisaギフトカードだった。
「家計の助けになった」歓迎する市民の声
秋田市は約29万人を対象にギフトカードを支給した。カードは国内外のVisa加盟店やインターネットショップで利用できる仕組みだ。
利用した市民からは、生活必需品の購入に役立ったという声が聞かれる。
ドラッグストアで日用品を購入したという30代の会社員は、「子供のおむつなど日常的に使うものがあるので助かった。使える店は限られる印象もあったが、ドラッグストアで使えたのはありがたかった」と話す。
60代の会計年度任用職員も、「食料品や日用品に使った。あっという間になくなったが、もらった分はありがたいと思った」と振り返る。
物価高が続く中、額の大小にかかわらず支援そのものを評価する声は少なくなかった。
ライブニュースあきたが行った独自アンケートでも、「家計の助けになった」「物価高の中でありがたい」など、歓迎する意見が寄せられている。
「現金の方がよかった」不満の声も根強く
一方で、利用のしにくさを指摘する声も目立った。
80代の主婦は、支払いの際に店員が戸惑う場面があったと振り返る。
「店の人がレジで『ん?』という感じだったが、説明したら会計してくれた。こうした手続きにもお金がかかる。だったら現金を直接もらった方がいいと思う」
30代の会社員からは、「なかなか欲しいものがなくて使えていない。全部使い切るのが難しい印象がある」という声が聞かれた。
カードはVisa加盟店で利用できる一方、店舗によっては現金との併用ができないケースもある。
また、店頭で残高確認ができず、QRコードから確認しなければならない点も不満につながっている。
特に高齢者からは「使い方が分かりにくい」「現金の方が使いやすかった」という意見が目立った。
アンケートでは約7割が否定的評価
ライブニュースあきたが秋田テレビの公式アプリで実施したアンケートには、324人の秋田市民が回答した。
事業全体の評価を尋ねたところ、「悪い」「どちらかといえば悪い」と答えた人は約7割に上った。
自由記述では、「残高が分かりにくい」「現金との併用ができない店がある」「高齢者には使いづらい」といった声が相次いだ。
中には「マイナンバーに登録した口座へ振り込んでほしかった」「商品券や現金給付の方がよかった」とする意見もあった。
支援の必要性そのものには理解を示しながらも、手法への不満が評価を押し下げた形だ。
市も想定外だった高齢者の利用の壁
市民の声について、秋田市生活総務課の大渕純子課長は「思った以上に『クレジットカードは普段使わない』『レジでまごついてしまう』という意見を直接いただいた」と話す。
その上で、「同じような支援事業を行う場合には参考にしたい」としている。
市がギフトカードを採用した理由は、市民に口座申請などの負担をかけずに支給できることに加え、利用期限を設けることで消費を促進できるためだという。
また、Visa加盟店が多く、利用先が幅広い点も理由の一つだった。
経費への疑問 市は「現金給付より安かった」
今回の事業には、国の交付金を活用した11億3000万円余りが充てられた。

このうち市民への支給額は8億7000万円余り。カード会社への委託料や発送費などの事務費は約2億5000万円だった。
この金額に対し、市民からは「経費がかかりすぎではないか」という声も上がった。
市は現金給付との比較を行った結果、「現金支給よりも約1000万円事務費を抑えられる試算だった」と説明する。
物価高対策の効果と課題
支援を受けた市民からは、「助かった」という声とともに、「現金の方がよかった」という声が聞かれた。
物価高騰の中で家計を下支えする効果があった一方、カードの利便性や高齢者への配慮、事務コストを巡る課題も浮き彫りになった。
有効期限は10月31日まで。使い切れなかった残高は市を通じて国へ返還されるため、市は利用を呼びかけている。
今回の事業は、市民生活を支える支援策のあり方を考える上で、多くの示唆を残したと言えそうだ。
(秋田テレビ)

