7月の熊本地震で活断層が大きくずれ動いた地域では、土砂災害にも警戒が必要となっている。専門家とともに斜面に現れた活断層の痕跡を取材すると、大雨で斜面が崩れるリスクがあることが分かった。
「がっつりずれていますよ。ここは」(熊本大学 鳥井真之特任准教授)

地質学が専門の熊本大学・鳥井真之特任准教授と、今回の地震で地表に現れた「活断層のずれ」を、一緒にたどった。
訪れたのは、震度7を観測した宇城市豊野町山崎の国道218号線。センターラインが1メートル近く横にずれていた。

「この地下に断層がある。おそらくこの方向に沿って断層が(地下に)走っている」(鳥井真之特任准教授)
今回の地震を引き起こした日奈久断層帯。益城町から芦北町を経て、八代海に延びる活断層だ。
北から「高野・白旗区間」、「日奈久区間」、「八代海区間」の3つに分けられている。

今回の地震では、「高野・白旗区間」と、「日奈久区間」の一部がずれ動いたとされている。
「ちょうどこの辺り、山崎付近から大きくずれ動き始めていて。震源断層の影響が地上にそのまま出てきている『地表地震断層』と考えていい」(鳥井真之特任准教授)
山崎地区は、今回ずれ動いた2つの区間の境界付近にあり、至る所で「ずれた断層の痕跡」を確認できる。
「あの亀裂は地震、断層による変位と考えていい。ここで大きく崩壊している。この場所に断層が通っていて、地表を傷めた状況になっている」(鳥井真之特任准教授)
この斜面の上に立ってみると、地面には無数の地割れが入っていた。

「ここにずーっと亀裂が入っている。こういう崖の地形には、地震による振動と断層の亀裂が複合して、さらに斜面そのものの重さで崩れようとするので、複雑な亀裂が発生している」(鳥井真之特任准教授)
さらに鳥井特任准教授は、地震で亀裂が入った斜面では、今後、土砂災害にも警戒が必要だと指摘する。
「雨が降れば、亀裂の中に水が入り斜面が崩れる可能性が高い。断層があり、斜面があるこの地域は、かなり警戒しておいた方がいい」(鳥井真之特任准教授)

山崎地区の斜面沿いの道路には、無数の亀裂や段差が生じていたほか、ガードレールも大きくゆがんでいた。
「道路に並行する形で断層が走っている。こういった所に雨が降ると、おそらく斜面の下に崩れた土砂が流出する可能性は十分にあると想定しておいた方がいい。大雨が降りそうな時には避難してもらう。今の状況では重要なポイントだと思う」(鳥井真之特任准教授)
2016年の熊本地震や、2024年の能登半島地震の際にも、その後の大雨で土砂災害が発生し、犠牲者が出ている。
地震だけでなく、大雨による土砂災害にも今後、警戒が必要だ。

宇城市や氷川町、八代市西部など、今回の地震で揺れの大きかった地域については、「レベル4土砂災害危険警報」などの発表基準が引き下げられている。いつも以上に土砂災害が起こりやすくなっており、今後の気象情報に注意が必要だ。

