バレーボールアジア選手権準々決勝、女子日本代表は世界ランキング37位の台湾と対戦し、3対0で勝利。予選ラウンドからすべてストレートでの4連勝で準決勝進出を果たした。
準決勝の対戦相手であるタイとは、前回のアジア大会でも日本は準決勝で対戦し敗れている。
ロサンゼルス五輪出場権獲得まであと2つ。この難敵を攻略するためにキャプテンの石川真佑(26)が指摘したポイントは、「サーブ」と「ハードワーク」だ。
初スタメン山口がブロックで貢献
負けたら終わりの樹準決勝で、初スタメンに抜擢されたのが山口真季(27)だった。
世界を見渡せば2メートルにも迫る大型選手が多いミドルブロッカーの中で、山口は176センチ。高さでは劣るが、左右への移動と完成の速いブロックを武器に、昨季日本代表へ初選出され、今季はネーションズリーグにも出場した。
試合序盤はセッター関菜々巳(27)とのコンビが合わず、なかなか得点にはつながらなかったが、第1セットに得意のブロックを決めると、終盤にはスパイクでも存在感を示し、第1セットの最後も山口の速攻で先取。
2セット目以降も要所でブロック得点を挙げる活躍を見せた。

試合後のコートインタビューで「ブロックを得意としているので、まず1点目が取れたのはいい流れができた」と笑顔で喜びを示した。
相手の勢いを封じた“シャット”
山口の活躍を称えたのが、同じミドルブロッカーの島村春世(34)だ。この試合で19得点の和田由紀子(24)、14得点の石川真佑に次ぐ11得点を挙げた島村は「フェロー(フェルハト・アクバシュ監督)から『ミドルを使っていく』と指示を受けていて、セナ(セッターの関)もミドルを使うと意図を持ったトスワークだった」と振り返る。
ミドルからの攻撃が増えたことで、石川、和田、佐藤淑乃(24)へのブロックも分散し、攻撃が通りやすくなったのも勝利の一因だが、第2セットはトスをわざと短くして中に切りこんだかと思えば、サイドから速さを活かす。
パスが返れば多彩な攻撃を展開する台湾に苦戦する場面もあったが、そこで相手の勢いを封じてくれたのが「山口のブロックだった」と島村は明かす。
「相手の攻撃が中に入ってくるのも事前のミーティングでわかっていた中で、コートの中でもちゃんとどこに跳ぶかをコールしていこう、と確認し合っていました。相手がハイボールから攻撃をしてくる時はシャット(※ブロックによるポイント)を狙って、思い切り手を前に出す。真季が何本もシャットしてくれたので、これだけブロックポイント(チームで11本、山口は最多の4本)が出た。リズムに乗ることができました」
崩されたサーブレシーブ
今シーズンを通したテーマとして掲げてきた「ブロック」の向上と、今大会特に重視してきた「ミドルの攻撃を増やす」こと。予選ラウンドの3試合に比べ、準々決勝ではその成果が発揮されていたが、課題も残った。
第1セットを25対14と大差で先取した直後の第2セットは、台湾のサーブにサーブレシーブが崩され、攻撃が単調になったところをディフェンスから切り返され連続失点を喫し、1対4と先行された。
中盤に和田が前衛での攻撃から立て続けに得点し、劣勢を脱したが、日本のサーブの効果もそれほど高くなく、台湾のコンビバレーを気持ちよく決められるシーンもあった。
タイ戦のカギはサーブ
28日の準決勝では前回王者・タイと対戦する。
これまで数多く対戦し、53勝9敗と日本が大きく勝ち越しているが、3年前にタイで開催されたアジア選手権では準決勝で対戦し、フルセットで敗れた苦い経験を持つ。
日本戦の前に行われたタイと韓国の準々決勝には、タイの応援団もスタンドから声援を送る姿があった。
中国開催で共にアウェイではあるが、応援の後押しは選手にとって大きな力になるのは間違いない。加えて、タイは台湾以上に多彩で精度の高いコンビバレーを武器とするだけでなく、数多くの選手が日本のSVリーグでプレーした経験を持つ。
アジア選手権ではヴィクトリーナ姫路でプレーし、今季は埼玉上尾メディックスへの移籍加入が発表されたチャッチュオン・モクシーも復帰し、サーブ、スパイクで高い決定率、効果率を叩き出している。
ベテランの島村が「どんな展開になろうと勝てばいい。きれいな1点じゃなくても、1点は1点なので、決まったら全力で喜んで、最後まで積み重ねたい」と述べる大一番。
攻守のバランスに長けた相手に主導権を握らせないために重視すべき要素は何か。主将の石川が挙げたポイントは実にシンプルだ。
「サーブが大事なので、まずはサーブでしっかり相手を崩すこと。相手よりも自分たちがハードワークして、勢いに乗せない。自分たちから相手を押す気持ちで、出だしから戦っていきたいです」
勝てば決勝進出、ロサンゼルス五輪出場に王手がかかるが、先を見るのではなく1つずつ。一戦必勝を誓い、女子日本代表が準決勝に臨む。
【執筆:フリーランスライター 田中夕子】

