海なし県・信州の魚博士です。物心ついた時から魚が大好きだという長野県松本市の中学3年生・宮下孔伽さん。夢は「信州に深海魚の水族館をつくること」。安曇野市で開催中の展示会でも魅力を発信しています。
■まるで「魚博士」 中学生が解説
サメの剥製に―。
子ども:
「ウツボ、ハリセンボン、これはなに?」
触ることもできる魚の標本も。
安曇野市で開催中の「魚魚展」です。
200種類を超える海の生物が展示されています。
宮下孔伽さん(14):
「これ、サメのヒレだよ。サメは軟骨魚類といって、硬い骨がないんだ」
訪れた人たちに解説をするのは、松本市の中学3年生・宮下孔伽(こうが)さん(14)です。
宮下孔伽さん(14):
「サメって、卵を産むものと胎生のもの2パターンあって、これは卵黄に栄養を依存して母体からの栄養は受け取らずに育つ卵黄依存型胎生」
生態について詳しく分かりやすく解説する姿は、まるで「魚博士」です。
子ども:
「なんか楽しい。いろんな形とか触った感じがあって楽しかった」
来場者:
「すごく興奮しました(笑)。おいくつなんだろうっていうくらい専門的で」
宮下孔伽さん(14):
「ウロコの質感とかヒレ、全部本物になるので、なかなか水族館でも博物館でも間近に見られないようなところをどんどん観察してほしい」
■1歳の頃から「とと(魚)!」
「こうちゃん、何がいた?」
宮下さん(1歳ごろ):
「とと(魚)!」
物心ついた時には魚が大好きだったという孔伽さん。水族館や図鑑で知識をたくわえ、魚の絵を描くのも得意に。
海について学ぶ体験イベントなどにも積極的に参加してきました。
宮下さん(小学5年生の時):
「ロマンがあって、興味深い生物たちがいっぱいいるから海が好きです」
週末や長期休みには家族の協力を得て、各地の海へ。親しくなった漁業関係者などから魚を提供してもらい、自宅で標本を作るほどに。
■謎だらけの深海魚は「ロマン」
特に夢中なのが深海魚です。
宮下孔伽さん:
「不思議なフォルムをしていて、まだまだ謎だらけ。だから新発見があるかもしれないというのが、すごくロマンを感じて一番好き。知れば知るほどわからないことが出てくるんですよ。そこにはまっちゃって」
■剥製作家の“師匠”と深める知識
そんな孔伽さんが、「恩師」のように慕っているのが、松本市の魚類剥製作家・小川貴光さん(60)です。
博物館や研究機関から剥製の製作を依頼されるほどのすご腕の作家で、魚魚展の剥製も小川さんの作品です。
偶然にも家が近所だったことから、4年ほど前から交流するようになりました。
魚類剥製作家・小川貴光さん(60):
「ありがたいことにたくさんの貴重な魚が入るので、その度に孔伽くんに連絡して、『すごい魚入ったよ、ちょっと見においで』みたいな。そうするとすぐ自転車で飛んでくる。(知識は自分より)もっと深いところを知ってるので『この魚どうなの?』って教えてもらっています」
宮下孔伽さん:
「経験を積ませていただいているところがすごくあるので、師匠というか、人生の恩師みたいな」
■むき出しの歯!体長3mの深海ザメ
2026年で5回目となる「魚魚展」。孔伽さんもスタッフとして運営に携わっています。
2026年のテーマは「危険生物と貴重な生き物たち」。
展示の目玉は、突き出した角とむき出しになった歯が特徴の深海ザメ「ミツクリザメ」です。体長3mを超える大きさで、「ミツクリザメ」としては国内最大級の剥製です。
親子連れの来場者:
「歯、見て。何本ある?」
「こわーい」
宮下孔伽さん:
「このサメ、口が飛び出るんですよ。獲物を食べるときに飛び出してくる。サメの中だったら、口が飛び出すスピードが一番速いと言われてますね」
■さかなクン提供「アオザメ」の剥製
今にも飲み込まれそうな迫力満点の剥製は「アオザメ」。あの「さかなクン」から提供を受けて製作したものです。
宮下孔伽さん:
「危険なサメなので、間近に見られるというか、生きてるものを見る機会はそうそうない」
「ヤマトシビレエイ」は、その名の通り電気を発するエイです。生きている時に触ってしまったそうで―。
宮下孔伽さん:
「思いっきりバチンってきて、もう腕がガーンとくるような衝撃で。弱ってたんですけど、かなり痛かった」
■孔伽さん作・触れる標本で魅力発信
展示会場には、孔伽さんのコーナーもあります。
宮下孔伽さん:
「これはシロシュモクザメっていうサメですね。いわゆるハンマーヘッドシャーク」
こちらの標本は、孔伽さんがエタノールとグリセリンに漬ける方法で製造したもので、常温での保管が可能です。
親子連れの来場者:
「あ、気持ちいいよ」
実際に触って魚の大きさや質感を感じることができます。
孔伽さんは、さらに改良を重ねながら魚の魅力を発信したいと考えています。
宮下孔伽さん:
「魚好きとしても、自分の貴重な魚とかが手元にあるっていうのはすごくうれしいですし、これでまた魚好きになってくれる人が増えると思うと、結構わくわくする」
親子連れの来場者:
「やわらかかったね」
「長野県の中学生が、海がない中で魚に興味を持ってやってるのって素晴らしいこと」
■海なし県に「深海魚の水族館を」
会場には、魚好きの同志も駆け付けています。「お魚イラストレーター」として活動するUMIさんは香川県の中学2年生です。
お魚イラストレーター・UMIさん:
「魚ってひとつひとつ形が違うのでそれが面白い。孔伽くんは知識がすごくあってうらやましいなと。この魚の知識、教えてって聞きます」
あふれ出る魚への愛情で多くの人を引き付ける孔伽さん。いつか実現したい夢があります。
宮下孔伽さん:
「長野県に深海魚の水族館をつくるっていう夢があって、一番、長野県から離れている『深海』という場所をつかって、みんなに興味を持ってもらって、もっと環境問題を身近にしてもらう。深海魚の魅力からいろんなことを考えていける人が増えれば」
【魚魚展】(小学生以上500円 入園料と別)
国営アルプスあづみの公園(堀金・穂高)で8月23日まで
